森の出口に着き、セレーネと別れることになった。
「お世話になりました。色々と面倒みてもらっちゃって...。」
「いえ、とても楽しかったです。また、いつか会えるといいですね。」
「じゃあ、いこっか!」
クラルテはうなずき、フードを深くかぶった。
「お気をつけて。さようなら。」
ナハトは思いっきり手を振り、クラルテも小さくだが手を振った。
街へ来てみた。まだ、朝だからか人は歩いていない。
「人間は優しい人もいるもんだね。オレ、知らなかったよ。」
ナハトは思い出して、楽しそうにしている。
「...わたし達の正体を知れば、みんな態度が変わる。
怯えて逃げるか、捕まえるかのどっちかだ。」
「...そうなるかもね。」
「こっちに向かってくる男もそうだ。」
そうクラルテが言った瞬間、男達が建物の陰から出てきた。
武器がしっかりとしていて、同じ制服をきたハンター達である。
「チッ...森での気配はあいつらだったのか。逃げるぞ。」
「なんでぇ?倒さないのぉ?」
「お前は知らないと思うが、あいつらは一般人と違って
悪魔用に作られた武器を持っている。
森にいたことがばれてるから大人数で攻めてくるぞ。
そうなると不利だ。」
「あんな奴ら、大したことないじゃん。」
「...あいつらのせいで何人もの悪魔が死んでるんだ。
油断はするな。」
「はぁーい!」
「そのイラッとする話し方やめろ。」
屋根にのぼって逃げたので、追っ手をまくことは出来た。
そして今、街の中心部である広い公園にいる。
朝の散歩やジョギング、市場もやっていて賑わっていた。
「はぁ~疲れた。オレ、見た目ほど若くないんだから
クラルテちゃん考えてよぉ。」
「黙れ。このくらいで悪魔はへばらないだろう。」
「あ、ばれた?いやぁ、さっき朝食食べすぎちゃって
体が重いんだよね。」
「食った分の肉、削いでやろうか?」
「ごめんなさい。冗談です。」
こんな状況で冗談を言ってくるナハトにクラルテは呆れてしまった。
――こいつ、こんなんで本当に大丈夫だろうか...。
クラルテは深いため息をついた。
公園で集まって喋っている人たちがいた。
いわゆる噂好きの奥さんたちだ。
遠くにいるが、耳がいいクラルテとナハトにはよく聞こえる。
「最近、この街にも悪魔ハンターが増えたわねぇ。」
「嫌ねぇ。悪魔って人を不幸にするんでしょ。」
奥さんたちは好き勝手言っている。
「ひどいね。不幸にするなんて、ただの作り話なのに...。
人間が何もしてこなければ、悪魔だって何もしないさ。」
ナハトは頬を膨らませ怒っていた。その間にも会話が進んでいる。
「そういえば、森に住んでる夫婦が悪魔の可能性があるって、
ハンターが奥さんを連れていく所を見たのよ。」
「それなら私も知ってるわよ。指名手配中の悪魔と一緒にいる
所を見た人がいるって。」
「悪魔がそんなに近くにいたなんて怖いわ~。私が昨日
火傷したのも、そいつが不幸を持ってきたからに違いないわ。」
「私なんて先週...――」
クラルテはすぐに気付いた。
自分と関わったせいでセレーネが連れていかれたことに。
連れていかれると事情聴取という名の拷問を受ける。
実際、悪魔か人間かなんて関係ない。
可能性があった時点で殺されるのだ。
「クラルテちゃん今の話って...あ!クラルテちゃんどこいくの!?」
ナハトのことなんて無視して、クラルテは走り出した。
場所は分かっている。ハンターの本部。少し遠いが走ればすぐ着く。
――人間を助けるために走るなんて...。
そんなことを思いながらクラルテはとにかく走った。
「隊長!何者かがここへすごい速さでやってきます!
あまりの速さに映像でもなかなか確認出来ません!」
「...来たか。」
隊長と呼ばれた人はニヤリと口元を歪めマイクのスイッチをいれた。
「全隊員、聞こえるか。今から“あいつ”が来る。
作戦を実行しろ。」
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続けて更新しましたよ(・∀・)/
あと2,3話ぐらいかな。
頑張ろう。うん。
では,サヨナラ:*:・( ̄∀ ̄)・:*: