悪魔の子~5~ | 梅子と杏子のものがたり

梅子と杏子のものがたり

小説をたまに載せたいと思います

結局、ナハトと行動することになったが既に後悔し始めていた。


クラルテは深いため息をつく。


先ほどまで街灯があった街と違い、今いる場所は暗い森の中。


どうやったら遠く離れていた街から森に来るのだろう。


ナハトについてきたが、コイツかなりの方向音痴だ。


「あれ~?さっきこの道通った気がする。」


「...4回目だ。」


「ごめんね☆そんな睨まないでよ。」


正直、人間より五感が優れているので森を抜けることは


簡単だが、昼間嫌な夢を見たり、ナハトの相手をしたりで


クラルテは寝不足で疲れている。


だったら、ナハトも森を抜けるのは簡単なのでは?と思うのだが


いくつものにおいを嗅ぎ分けたりすることが苦手らしい。


つまり、頭がすっからかんなのだ。


そんなことを考えていたら少し遠くから女の人の悲鳴が聞こえた。


「あ!人の声だ!仕方ないけど、道を聞きに行こうよ。」


クラルテはあまり人間と関わりたくないが


迷子なのだからしょうがない。


...ってか、悲鳴をあげてる人に道なんて聞けるのか?


少し走ると女の人が数人の男に捕まりそうになっていた。


助ける気なんてまったくなかったが、女の人の姿をとらえた瞬間


クラルテは動き出していた。


男たちは急に現れたクラルテに反応できず、銃の餌食になる。


クラルテとほぼ同時に動いたナハトは女の人を抱え、遠くへ移動した。


そう、女の人はクラルテの母、ナハトの姉であるユーベルに


とてもよく似ていたのだ。

   ・

   ・

   ・

「助けていただき、ありがとうございます。」


深々と女の人は頭を下げている。


「頭をあげてくださいよ。たまたま通りかかっただけですから!」


「......。」


クラルテはじぃーっと女の人を観察していた。


やはり、母であるユーベルと瓜二つなのである。


違うところといえば、ユーベルは青い瞳なのに対し


この人は緑の瞳という所ぐらいだろうか。


ナハトは人間の女の人が大好きな姉に似ているので


デレデレしている。緩んだ顔を引っ叩いてやりたい。


「ところで、こんな森に来るなんて何か用事ですか?」


その言葉で本来の目的を思い出した。


「あ!そういえばオレ達迷子だったんだっけ。

 旅(?)の途中だったんだけど...。」


「お前のせいでな。」


「そうだったんですか。明日の朝、森の外まで案内しますよ。

 なので、今晩泊まっていってくださいな。

 助けていただいたお礼です。」


この女の人は外見だけでなく、優しいところも似ているので


本当はユーベルなのではないのかとすら思えてくる。


「ありがたいなぁ~♡泊めてもらおうよ。」


先ほど、人狩りをしようと言っていたナハトはどこへ行ったのやら。


しかし、クラルテも疲れていたし


母に似ているこの人を殺せる気がしなかった。


「...うん。」


「なら、家まで案内します。

 あ、そうだ。お名前を聞いてませんでしたね。」


「オレはナハトです。」


「...クラルテ。」


「私はセレーネです。お2人は兄妹ですか?」


「まぁ、そんなとこです。」


歳も(たぶん)そこそこ近いので兄妹に見えるのだろう。


「私は夫と暮らしているのですが、しばらく仕事に行っていて

 1人で寂しかったんです。...あ、ここです。」


そこにはこじんまりとした家があった。


ほとんど人の通らない森の奥に建っている。


それでも、庭はきれいに作られていて人が生活していることが分かる。


「何で、こんな森の奥に?」


「夫の仕事上、森の奥の方が良かったので...。」


「そうなんですか。」


セレーネが言いにくそうだったので、あまり深くまで


聞かないことにした。


ぐぅ~


クラルテのお腹が鳴ってしまった。2週間ぐらい何も食べていない。


「フフッ、早く準備するわね。」


「お願いします...///」


家に上げてもらい、セレーネはキッチンへと向かった。



▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


絵描くのも好きなので,そのうちマイキャラたちの


イラストでも描いてみたいです。



では,サヨナラ:*:・( ̄∀ ̄)・:*: