結局、ナハトと行動することになったが既に後悔し始めていた。
クラルテは深いため息をつく。
先ほどまで街灯があった街と違い、今いる場所は暗い森の中。
どうやったら遠く離れていた街から森に来るのだろう。
ナハトについてきたが、コイツかなりの方向音痴だ。
「あれ~?さっきこの道通った気がする。」
「...4回目だ。」
「ごめんね☆そんな睨まないでよ。」
正直、人間より五感が優れているので森を抜けることは
簡単だが、昼間嫌な夢を見たり、ナハトの相手をしたりで
クラルテは寝不足で疲れている。
だったら、ナハトも森を抜けるのは簡単なのでは?と思うのだが
いくつものにおいを嗅ぎ分けたりすることが苦手らしい。
つまり、頭がすっからかんなのだ。
そんなことを考えていたら少し遠くから女の人の悲鳴が聞こえた。
「あ!人の声だ!仕方ないけど、道を聞きに行こうよ。」
クラルテはあまり人間と関わりたくないが
迷子なのだからしょうがない。
...ってか、悲鳴をあげてる人に道なんて聞けるのか?
少し走ると女の人が数人の男に捕まりそうになっていた。
助ける気なんてまったくなかったが、女の人の姿をとらえた瞬間
クラルテは動き出していた。
男たちは急に現れたクラルテに反応できず、銃の餌食になる。
クラルテとほぼ同時に動いたナハトは女の人を抱え、遠くへ移動した。
そう、女の人はクラルテの母、ナハトの姉であるユーベルに
とてもよく似ていたのだ。
・
・
・
「助けていただき、ありがとうございます。」
深々と女の人は頭を下げている。
「頭をあげてくださいよ。たまたま通りかかっただけですから!」
「......。」
クラルテはじぃーっと女の人を観察していた。
やはり、母であるユーベルと瓜二つなのである。
違うところといえば、ユーベルは青い瞳なのに対し
この人は緑の瞳という所ぐらいだろうか。
ナハトは人間の女の人が大好きな姉に似ているので
デレデレしている。緩んだ顔を引っ叩いてやりたい。
「ところで、こんな森に来るなんて何か用事ですか?」
その言葉で本来の目的を思い出した。
「あ!そういえばオレ達迷子だったんだっけ。
旅(?)の途中だったんだけど...。」
「お前のせいでな。」
「そうだったんですか。明日の朝、森の外まで案内しますよ。
なので、今晩泊まっていってくださいな。
助けていただいたお礼です。」
この女の人は外見だけでなく、優しいところも似ているので
本当はユーベルなのではないのかとすら思えてくる。
「ありがたいなぁ~♡泊めてもらおうよ。」
先ほど、人狩りをしようと言っていたナハトはどこへ行ったのやら。
しかし、クラルテも疲れていたし
母に似ているこの人を殺せる気がしなかった。
「...うん。」
「なら、家まで案内します。
あ、そうだ。お名前を聞いてませんでしたね。」
「オレはナハトです。」
「...クラルテ。」
「私はセレーネです。お2人は兄妹ですか?」
「まぁ、そんなとこです。」
歳も(たぶん)そこそこ近いので兄妹に見えるのだろう。
「私は夫と暮らしているのですが、しばらく仕事に行っていて
1人で寂しかったんです。...あ、ここです。」
そこにはこじんまりとした家があった。
ほとんど人の通らない森の奥に建っている。
それでも、庭はきれいに作られていて人が生活していることが分かる。
「何で、こんな森の奥に?」
「夫の仕事上、森の奥の方が良かったので...。」
「そうなんですか。」
セレーネが言いにくそうだったので、あまり深くまで
聞かないことにした。
ぐぅ~
クラルテのお腹が鳴ってしまった。2週間ぐらい何も食べていない。
「フフッ、早く準備するわね。」
「お願いします...///」
家に上げてもらい、セレーネはキッチンへと向かった。
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
絵描くのも好きなので,そのうちマイキャラたちの
イラストでも描いてみたいです。
では,サヨナラ:*:・( ̄∀ ̄)・:*: