7月9日

 

梅雨曇りの空ですが明るいので、午後からの雨の予報を、ひょっとして・・・と、

良い方に考えて出かけることにしました。

 

チトセカズラ(千歳蔓)

思ったとおりちょっと早かったようですが、よ~く見れば黄色い蕾の間に点々と咲いています。

 

兵庫県と岡山県を中心とした中国地方に生育し、絶滅危惧Ⅰ類の希少種です。

ゆっくりと成長する常緑の蔓植物で、日当りで育つものには、葉に独特の白い筋が入っていません。

 

花の大きさは約1センチ・・・、雄しべ5本で、雌しべは突き出ています。

花期は短く、ぽろっと落ちてしまいますが、独特の黄色い花姿は、無駄のない気品があり魅力的です。

 

今度は湿原に行ってみましょう。

 

スズランで有名な湿原に来ましたが、この時期に訪れる人はいない雰囲気・・・

小さな池を覗いてみると・・・

 

ほとりの草地に、アギスミレ(顎菫)が何本か出ています。 

アギとは顎のことで、顎の骨のように葉っぱの基部が、ブーメラン状に湾入するのが特徴ですが、下部の

葉はニョイスミレに似ることが多く、上部の葉先は突出気味になり、表面には鈍い艶が有るようです。

比較的日当りの湿地を好み、ヒメアギスミレに比べて倒れた茎の途中から根を下ろす事は少ないそうです。

 

その近く、小さくて目立たない、コバノトンボソウ(小葉蜻蛉草)が、何本も出ています。

小葉というように小さな葉が一枚ついていますが、ついつい花に目がいって、写真はありません。

 

小さなトンボがとまっているようなことから付いた名前の花は、同じ方向を向いて咲く傾向があります。

でも、中には変わりものも居るようで、逆を向くのもいますが・・・、

 

アップで見ると、やっぱり可愛いトンボのような、小さな小さなランでした。

 

 

コバノトンボソウを満喫したら、今度は溜池の鯉が出迎えてくれる、鯉が窪湿原に行ってみましょう。

 

池の周りを歩きます。

 

ピンク色のシモツケソウ(下野草)が、湿地に華やかさを添え・・・

 

 

チダケサシ(乳茸刺)もスリムな姿を見せています。

変った名前ですが、細くて硬い茎に、壊れやすいチチタケ(乳茸)を刺して持ち帰ったのが名前の謂われで・・・

 

丁度、まるでヤラセのようにチチタケが出ています。 傷つくと白い乳液がでる特徴の食べれるキノコです。

 

赤い実をつけているのは、イソノキ(磯の木)です。 でも、山にあるのに磯の木って変です。

そこで調べると・・・昔、稲などを束ねるときに使うワラを「結いそ(ゆいそ)」といい、この木の枝も

しなやかな事から「結いそ」として使っていたらしい。 そして「結いその木」と言われていた物が、

いつしか「ゆ」の字が取れて、イソノキとなったものらしい。 

また、葉のつきかたが変っていて、右右、左左と二枚づつ互生する、二列互生になっています。

 

木道を滑らないように、湿地の周りを歩きます。

 

所々で群生するのは、ハンカイソウ(樊噲草)ですが、

大きく男性的な花姿を、武勇に優れた紀元前の中国の武将、樊噲(はんかい)に見たてた名前です。

 

 

よく見ないと見逃しそうなのは、ホソバノヨツバムグラ(細葉四葉葎)で、湿地のムグラです。

花冠が三列するムグラはこれだけで、大きさは約2~3mm・・・、雄芯は3個、雌芯の先は二つに分かれ、

葉っぱの先は尖りません。

 

その先、オカトラノオ(丘虎の尾)の花で蜜を吸う蝶は・・・ヒメシジミの♀のようです。

花と比べても小さな蝶で、約20mm程・・・、綺麗な環境でしか生きられない、準絶滅危惧種です。

 

湿原はけっこう広くて、だいぶ歩きましたが、まだ木道は続きます。

 

カキラン(柿蘭)がたくさんまとまって、下向きで満開・・・

 

コバギボウシ(小葉擬宝珠)は、もうちょっと先でしょうか・・・

 

池の中ではヒツジグサ(未草)が、未の刻じゃなくても花を開いています。

 

そして、こんな所に顔を出しているのは・・・オオバノトンボソウ(大葉蜻蛉草)・・・、

コバノトンボソウはもう咲いていますが、この花は蕾がついてから咲くまで時間がかかるので、

後、二週間ほど先でしょうか。

 

そして、ほぼ一周した辺りで、猛烈な雨になりましたが、何とか小雨のうちに色々見られたので、

今日は遠出の甲斐があって、そこそこ期待通りの花歩きとなりました。(*~▽~)ノ