WHOが新型コロナウィルス「COVID-19」の感染拡大に関して以下の指摘を行った。

 

「WHO 感染拡大の最大懸念は日本など4カ国と指摘」

https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000177809.html

 新型コロナウイルスの感染拡大についてWHO(世界保健機関)は現状の最大の懸念は中国ではなく、日本など4カ国であると指摘しました。
 WHOのテドロス事務局長は、2日の会見で中国では湖北省以外での1日の感染者の増加は8人だけで過去24時間の感染者の増加は中国以外の方が9倍多いと述べました。そのうえで、現状の最大の懸念は韓国、イタリア、イラン、そして日本の4カ国にあるとしました。韓国では4000人以上、イタリア、イランでは1500人以上の感染が確認されています。一方で感染拡大の仕方など、新型コロナウイルスの特徴を理解することで封じ込めは可能だと強調しました。(引用終了)

 

この事に対してネットでは「WHOは中国に忖度している」「WHOは中国の犬」といった、WHO批判が多くを占めていた。

まぁ、その事に対しては特に強く批判するつもりはないが(そもそも国連とは「そういう組織」だし)、まずは一旦落ち着いて考えてみて欲しい。

 

確かに、ネットの反応では「中国は隠蔽しているだけ」という意見もある。そして、恐らくその通りであろう。なにせ、データとか平気で改ざんしちゃうし、出来ちゃう国家なので。

だが、実際のCOVID-19の感染者数を我々が測れない以上、中国政府が発表しているデータが「嘘であるか否か」を確認する術はない。

ならば、WHOとしては、データが公表されかつ信頼性の高い国家を主体に置き、現在の問題を把握出来る範囲で把握し、正しい情報を発信していかなければならない。そうした流れからの指摘なのではないかと私は考えている。

そしてその意見は、実際に槍玉に挙げられている我が国に住む一国民の立場からしてみても正しいと思う。

 

その根拠が感染者が広範囲に散っていること、中国人の渡航を禁止していないこと、ほとんど対策を取らず、取っても科学的根拠のない場当たり的な対策ばかりであることなど、日本の現状と現政権の対応を見れば懸念の一国として挙げられるのはごく自然であろう。

COVID-19を巡る現在の状況は、例えるなら火元である家から飛び散った火の粉が他の家々を燃やし、元の家は消化されているにも関わらず周りの家は何ら対応しないから轟々と燃え続けている状態と変わらない。

ただし、先にも挙げた通り、中国が意図的にデータを改ざんしている可能性も残っているため、さっきの例えで言うなら火が見えない場所で燻っている可能性は十分にあるため、その可能性を無視して「最大の」と付けられる謂れはない。そういった点を考えるなら「WHOは中国の犬」という意見はあながち無視は出来ないだろう。

 

発生源である中国を無視して、矛先を自分たちに向けられた怒りは理解出来るが、日本の現状が果たして「懸念される状況にはない」と楽観視するのはいささか早計のように感じる。命を守るのなら、特にこういった非常事態の時は努めて冷静に、そして客観的に物事を判断することが大事であろう。

 

さて、耳に痛く、腹の立つ事だとは思うが、それでもあえて言わせて欲しい。「WHOは中国の犬」という話は明確な根拠に欠けている。それを声高に叫び批判することは、中国がデータを改ざんし発表することと、明らかに経済が冷え込んでいるにも関わらず「基調として回復傾向にある」と平然と嘯く日本政府と「同じ存在」になってしまう

そうした人たちと、国を、人を、命を憂いている人たちが同列になることは避けるべきだと思うので、出来れば我々は根拠を明確にし、胸を張って主張できる人たちになるべきだと強く切望する