こんばんは🌙
真夜中の
宿なし詩人です
浅田次郎さんの
『あやし うらめし あな かなし』を読みました📖
浅田さんの本は
『鉄道員』ぽっぽや以来です
裏表紙の内容説明をお借りしますと
「…著者の母方の生家に伝わる話を元にした『赤い絆』『お狐様の話』など
怖ろしくも美しい全7編。
短編の名手が紡ぐ、味わい深き幽玄の世界。」
いいですね〜
そうまさに
『幽玄の世界』でした
浅田さんの母方のお祖父様は
奥多摩の神社の宮司さんだったそうで
そんな環境が生かされまくった一冊という印象です
特に
結末が予想できない中で読み進めていたら
衝撃的な描写が目に入ってきて固まった『お狐様の話』
が
より強く脳内に残りました
話の中で伯母が
「昔は人の命が軽かった」
「(子どもについて)もう大丈夫という齢にならないうちは人間だと思われていなかったんじゃないだろうか…」
と語る場面があります
そうですよね…
昔は
今では考えられないくらいのつまらないことでも命を奪われていたしワクチンも薬も無いんですから
目が行き届いてないから不慮の事故死も多かったはずですが
子どもが亡くなることに対しての諦めの良さや耐性が今よりあったでしょうね
周りも同じだからもはやそれが普通
そういえば
わたしの祖母(生きていたら100歳超)の時代はトイレは子どもにとって危険な場所であり
小さな子どもが落ちて亡くなる事故があったと聞きました
我が子をこんなふうに亡くすなんて絶対嫌ですよね
わたしが子ども時代にもいわゆる「ぽっとん便所」は残っていました
よく遊びに行っていた友だちの家のトイレが
穴がものすごく大きいタイプのぽっとんで
もっと遊びたくてもトイレが怖いから使えなくて
催すたびに自分の家に帰ったものです
話を戻します
しかしそんな時代背景を鑑みても
お狐様に憑かれたこの子が不憫でした
これぞトップ オブ ザ 理不尽
怖くて哀れで悲しくて
どこかに救いを見出さないとやってられなーい
…ですが
読んだ後の余韻は不快感というわけではなく
残酷なのにベースには荘厳さを感じて
やはりどうにも惹きつけられてしまうのです
これは神社パワー?
そんなお話でした
いつもながらの浅め感想文で恐縮です
ところでお話の順番ですが
最初に『赤い絆』
最後に『お狐様の話』を持ってきたのは意図があるんでしょうね
どちらも
明治末年生まれの伯母の話す「本当にあった話」を子どもたちが蒲団(布団)に潜り込みながら聴くスタイルで話が進みます
これは寝物語だから蒲団ですが
怖い話を聴くときは何かにくるまると安心しますよね
最初と最後に
作者の原点でもある神社を舞台にした
いわば姉妹作のような話を配置していることで
読む側としてはまとまりを感じました
季節が「真冬」と「真夏」で正反対なのには
何か意味があるのでしょうか
でも
真夜中に読んではいけない本でした
おやすみなさい