中川八洋「地政学の論理」より金言を選びました。
なじみにくい表現は、適宜、趣旨を損ねない範囲で、表現を改めております。


  ●地政学の論理の金言1
    http://blogs.yahoo.co.jp/umayado17/59670346.html

  ●地政学の論理の金言2
    http://blogs.yahoo.co.jp/umayado17/59689533.html

  ●地政学の論理の要点
    http://blogs.yahoo.co.jp/umayado17/59664180.html

  中川八洋「地政学の論理--拡大するハートランドと日本の戦略」
    徳間書店 2100円 http://www.amazon.co.jp/dp/4198627339

 

金言1


国家が危機に直面しているとき、必ず、デマゴーグ(うそや甘い言葉で人をだます詐欺師)たちが大勢表れる。危機が到来した時は、視界が悪くなった時であるから、いかなるウソも、偽りも、ハーメルンの笛で伴奏されれば、さも本当であるかのように錯覚させることができる。

救国の声は、かき消される。正論は、拒絶される。

「救国の正論」は、慎重と熟慮を求め、軽率な行動をつつしむよう求めるものだ。だから、面白くない。汗をかけ、血の覚悟をせよ、子孫への義務を思い起こせ、臥薪嘗胆の時である(がしんしょうたん、辛抱せよ)などと、必ず国民に、マコトに基づいた正しい判断と、勤勉と、倫理性を求める。遊びほうけて、軽薄に慣れ親しんだ日本人は、これを敬遠する。

一方で、現実の世界を、砂漠の蜃気楼のような架空の妄想にすりかえる、マジシャン的な言動ほど、魅力的なものはない。

マッキンダー地政学


東欧を支配する(rule)するものは、「ハートランド」を制し(controle)、
ハートランドを支配するものは、「世界島」を制圧し(command)、
「世界島」を支配するものは、世界を制圧する。

ハートランドは、封じ込められなければ、必ず世界島の覇者となる。

東欧(満洲)を ロシアかドイツ(中国)が支配したとき、
大規模な戦争が勃発する。




金言2


「ハートランド(ロシア・中国)」が強力なランド・パワーなのは許しても、シー・パワー大国になるのを断じて、放置してはならない。

この方策として、まず、「ハートランド(ロシア・中国)」が、ハートランドの国内であれ、海外であれ、海軍基地を建設させない。もし、日本海のような内海をハートランドに与えた場合、日本はこのようなハートランド(ロシア・中国)とは、もはやいかなる友好関係ももってはならない。

この友好関係は必ず、「ハートランド」の日本侵略の準備を、助長・加速させるからである。特に、日本は、ロシアの極東部の港湾の整備にいっさいかかわってはならない。また、ハートランドのエネルギー開発に協力してはならない。

次に、日本海の制空権を絶対に日本側が掌握すること。その方策はただひとつ。同盟国のアメリカのであれ、日本の自前のであれ、ウラジオストクとハバロフスク、および、数十箇所の極東ロシア空軍基地を、ことごとく核兵器で先制破壊できる能力を常に保持すること。これに代わる代替案は何一つない。

スパイクマン地政学


ユーラシア大陸を支配するものは、世界の運命を制する

アメリカはハートランドを封じるべく、リムランドを制せよ

1.ユーラシア大陸を一つの勢力に統合させるな
  ――絶対に拒絶(deny)すべき「世界戦争後のロシア/ドイツ/中国の3国同盟」
2.世界大戦後に出現したソ連大帝国とは、
   「赤いロシア+ドイツの半分+東欧+(満洲と赤い中国を含む)日本の遺産」の
   “ソ独日の統合大帝国”だった
  ――的中したスパイクマンの予見と鋭利な警告
3.「第2次大戦後のアジアでは、軍事的に強大な中国の出現を阻止せよ。
   アメリカの“アジアの盟邦”は日本のみ」




金言3


軍事的に優位な強大国家(もしくは国家群、ロシア・中国)に「包囲」された、軍事的に劣位な国家(日本)は、侵略される。その国が戦略的要衝の位置にあるなら、あるいは、(資源がなくとも)産業力や良質の人口力というおいしい果実をもっている(日本)なら、必ず侵略される

そして、同盟もしくは友好の大国(アメリカ・イギリス)の救援が、迅速かつ大規模に展開されない限り、万が一にも、生存できない。




実践地政学


A.「天然の大要塞」ズデーテンランドを認識できなかったチェコ
B.慢心と時代錯誤が産んだポーランドの大悲劇
  ――「第2のポーランド」の道を歩む、近未来の歴史への「歴史の教訓」
C.戦う術すらなき絶望
  ――亡国の宿命に立ちすくむユーゴスラビア
D.ドイツのオーストリア併合に、全バルカン半島のナチ支配化を予見
  ――チャーチル地政学
E.「対ヒットラー融和政策が、世界大戦を招く」
  ――獅子吼するチャーチルの未来予見
F.「包囲されたドイツ」は、これを「分断(デカップリング)」して反転させ、
    ポーランドを「逆包囲」した








チャーチルの「鉄のカーテン演説」の一部


我々は、先を見通せるわけでもないし、また未来予測に無力であるのに、時がたてば必ず何かよい事態が現れるだろうと、直面する重大な諸問題を先送りしてはならない。先送りすれば、さらに悪化した状況が現れるだけである。(北朝鮮問題を見よ)

西側諸国が、辛抱強くソ連(ロシア・中国)の軟化や変化を待ったとしてしても、そのような期待そのものが勘違い甚だしい妄想としか思えない。(中国を見よ、チベットを見よ)

核兵器の地政学


1.ロシアの核兵器が、日本などリムランドに投下・攻撃させないよう抑止する
2.ロシアの核兵器を、アメリカ本土に投下・攻撃させないよう抑止する
3.アメリカがユーラシア大陸のリムランドへ接近・駐留するのを拒否するために、ロシアの核兵器が使用されないよう抑止する

この理論を、地球的な地理において構築する学問である。

金言4


現在の自衛隊は、驚くほど貧弱な軽武装である。しかし、マスコミ論壇そして防衛省や政治家により、日本国民は、さも一定の軍事力であるかのように錯覚している。自衛隊自体もが錯覚している(錯覚させられている)。

自衛隊に必要な軍事力とは、日本海の制空権を絶対に日本側が掌握することである。その方策はただひとつ。同盟国のアメリカのであれ、日本の自前のであれ、ウラジオストクとハバロフスク、および、数十箇所の極東ロシア空軍基地を、ことごとく核兵器で先制破壊できる能力を常に保持すること。これに代わる代替案は何一つない。











=> 日本にとっての具体的な地政学 地政学の論理の金言2
     -- 対ロシア・対中国の地政学 


中川八洋「地政学の論理」より金言を選びました。
なじみにくい表現は、適宜、趣旨を損ねない範囲で、表現を改めております。


  ●地政学の論理の金言1
    http://blogs.yahoo.co.jp/umayado17/59670346.html

  ●地政学の論理の金言2
    http://blogs.yahoo.co.jp/umayado17/59689533.html

  ●地政学の論理の要点
    http://blogs.yahoo.co.jp/umayado17/59664180.html

  中川八洋「地政学の論理--拡大するハートランドと日本の戦略」
    徳間書店 2100円 http://www.amazon.co.jp/dp/4198627339