ことまどかさんの「君が代の真実」を読んで、

君が代に込められた、互いの恵みと睦み の確かさと、
そして 静かな覚悟 を感じることができました。

このエントリーから、

「海行かば」を思い出しました。


海行かば 水漬く屍     うみゆかば みづつくかばね
山行かば 草生す屍     やまゆかば くさむすかばね
大君の 辺にこそ死なめ   おおきみの へにこそしなめ
かへり見はせじ       かへりみはせじ

このうたは、この部分だけが取り上げられ、
戦意高揚に使われたのですが、元々は、

  『万葉集』巻十八「賀陸奥国出金詔書歌

です。

これを読むと、なぜこの歌に到ったのか、
そこに込められている覚悟と志がひしひしと伝わってきます。

五七調がくずれてしまっていますので、仮訳ですが、
詠み直しをしてみました(3列目)。
(2列目の漢字カナ混じり文は、Wikipediaより)


この長歌は、聖武天皇の御世の大仏建立の際の、
黄金探索の際の歌だと言い伝えられていますが、
そうなんかな・・・?

中に出てくる「陸奥の 小田なる山に 黄金あり」
という話は、アマテルさんのヒタカミ留学の際の
逸話が元になっています。


陸奥国に金を出す詔書を賀す歌一首、并せて短歌(大伴家持)

葦原能 美豆保國乎        葦原の 瑞穂の国を     あしはらの みづほのくにを
安麻久太利 之良志賣之家流    天下り 知らし召しける   あまくだり しらしめしける
須賣呂伎能 神乃美許等能     皇祖の 神の命の      すみおやの かみのみことの
御代可佐祢 天乃日<嗣>等     御代重ね 天の日嗣と    みよかさね あまつひつぎと
之良志久流 伎美能御代々々    知らし来る 君の御代御代  しらしくる きみのみよみよ
之伎麻世流 四方國尓波      敷きませる 四方の国には  しきませる よものくにには
山河乎 比呂美安都美等      山川を 広み厚みと     やまかわを ひろみあつみと
多弖麻都流 御調寶波       奉る みつき宝は      たてまつる みつぎたからは
可蘇倍衣受 都久之毛可祢都    数へえず 尽くしもかねつ  かぞへえず つくしもかねつ
之加礼騰母 吾大王<乃>      しかれども 我が大君の   しかれども あがおおきみの
毛呂比登乎 伊射奈比多麻比    諸人を 誘ひたまひ     もろひとを いざなひたまひ
善事乎 波自米多麻比弖      よきことを 始めたまひて  よきことを はじめたまひて
久我祢可毛 <多>之氣久安良牟登  金かも たしけくあらむと  くがねかも しげくあらむと
於母保之弖 之多奈夜麻須尓    思ほして 下悩ますに    おぼほして しもなやますに
鶏鳴 東國<乃>          鶏が鳴く 東の国の     とりがなく あづまのくにの
美知能久乃 小田在山尓      陸奥の 小田なる山に    みちのくの おだなるやまに
金有等 麻宇之多麻敝礼      黄金ありと 申したまへれ  こがねあり もうしたまへば
御心乎 安吉良米多麻比      御心を 明らめたまひ    みこころを あからめたまひ
天地乃 神安比宇豆奈比      天地の 神相うづなひ    あめつちの かみあいはかり
皇御祖乃 御霊多須氣弖      皇祖の 御霊助けて     すめおやの みたまたすけて
遠代尓 可々里之許登乎      遠き代に かかりしことを  とおきよに かかりしことを
朕御世尓 安良波之弖安礼婆    我が御代に 顕はしてあれば わがみよに あらわしあれば
御食國波 左可延牟物能等     食す国は 栄えむものと   おすくには さかえんものと
可牟奈我良 於毛保之賣之弖    神ながら 思ほしめして   かんながら おぼほしめして
毛能乃布能 八十伴雄乎      武士の 八十伴の緒を    もののふの やそとものおを
麻都呂倍乃 牟氣乃麻尓々々    まつろへの 向けのまにまに まつろへの むけのまにまに
老人毛 女童兒毛         老人も 女童も       おひひとも おむなわらしも
之我願 心太良比尓        しが願ふ 心足らひに    しがねがふ こころたらひに
撫賜 治賜婆           撫でたまひ 治めたまへば  なでたまひ おさめたまへば
許己乎之母 安夜尓多敷刀美    ここをしも あやに貴み   ここをしも あやにかしこみ
宇礼之家久 伊余与於母比弖    嬉しけく いよよ思ひて   うれしけく いよよおもひて
大伴<乃> 遠都神祖乃       大伴の 遠つ神祖の     おおともの とおつかんおや
其名乎婆 大来目主<等>      その名をば 大久米主と   そのなをば おおくめぬしと
於比母知弖 都加倍之官      負ひ持ちて 仕へし官    おひもちて つかへしつかさ

海行者 美都久屍         海行かば 水漬く屍     うみゆかば みづつくかばね
山行者 草牟須屍         山行かば 草生す屍     やまゆかば くさむすかばね
大皇乃 敝尓許曽死米       大君の 辺にこそ死なめ   おおきみの へにこそしなめ
可敝里見波 勢自         かへり見はせじ       かへりみはせじ

等許等太弖            と言立て          とことたて                 
大夫乃 伎欲吉彼名乎       丈夫の 清きその名を    ますらおの きよきそのなを
伊尓之敝欲 伊麻乃乎追通尓    古よ 今の現に       ゐにしへよ いまのまにまに
奈我佐敝流 於夜<乃>子等毛曽   流さへる 祖の子どもぞ   ながさへる おやのこどもぞ
大伴等 佐伯乃氏者        大伴と 佐伯の氏は     おおともと さえきのうじは
人祖乃 立流辞立         人の祖の 立つる言立て   ひとおやの たつるいいたて
人子者 祖名不絶         人の子は 祖の名絶たず   ひとのこは おやのなたたず
大君尓 麻都呂布物能等      大君に まつろふものと   おおきみに まつろふものと
伊比都雅流 許等能都可左曽    言ひ継げる 言の官ぞ    いいつげる ことのつかさぞ
梓弓 手尓等里母知弖       梓弓 手に取り持ちて    あづさゆみ てにとりもちて
劔大刀 許之尓等里波伎      剣大刀 腰に取り佩き    つるぎたち こしにとりはき
安佐麻毛利 由布能麻毛利<尓>   朝守り 夕の守りに     あさまもり ゆうのまもりに
大王<乃> 三門乃麻毛利      大君の 御門の守り     おおきみの みかどのまもり
和礼乎於吉<弖> 比等波安良自等  我れをおきて 人はあらじと われおきて ひとはあらじと
伊夜多底 於毛比之麻左流     いや立て 思ひし増さる   いやたてて おもひしまさる
大皇乃 御言能左吉乃       大君の 御言のさきの    おおきみの みことのさきの
聞者貴美             聞けば貴み         きけばかしこみ



追記


万葉仮名の原文を併記しました。

仮訳は若干修正の必要があります。とりあえず、暫定版ということで。