行ってきました。
2026年6月14日(日)14時開演
読売交響楽団 第150回 横浜マチネシリーズ
指揮:小林研一郎、ピアノ:牛田智大
横浜みなとみらいホール(神奈川)
わ~い!日本では2ヶ月半ぶりの牛田くんの演奏会です!
しかも、指揮者は私が一番好きなマエストロ、炎のコバケン!![]()
どちらも福島県いわき市出身。同郷のお二人の共演です。
この日、私は午前中用事があり
けれどそれがなかなか終わらなくて![]()
一度中断して、コンサートに行ってから夕方6時からまた続きを行う約束となりました。
今日の演奏会は、クリアな頭と感性で聴きたくて
夕べはしっかり寝たはずなのに、なぜか眠くて眠くて…🥱
途中、乗り換えの渋谷駅のコンビニで、アリナミンVを買って飲みました。
私、みなとみらいホールに行く前に、駅で滋養強壮ドリンク買って飲むの多分これで4回目です。
なぜなんでしょうか?(;^ω^)
みなとみらい駅は、電車を降りるとカモメの鳴き声が聴こえます。
駅から直結の横浜みなとみらいホール。
横浜みなとみらいホール(2020席)
(画像お借りしました)
今回ワタクシ、大好きなマエストロのお顔が見たくって
指揮者がよく見える席にしました(*^.^*)
すごいですね。3階席までほぼ満席です。
大ホールのシートを、徐々に人が埋め尽くしていく時間って
何とも言えない高揚感がありますね。
チケットを片手に、自分の席を探す人
パンフレットやチラシを眺める人
知り合いを見つけておしゃべりしてる人
舞台裏から聴こえてくる楽器の音…。
開け放たれた 遠く正面の扉の向こうには
窓越しの横浜の空が見えました。
見下ろすと緩やかな弧を描いて並べられたオーケストラ用の椅子と譜面台。
譜面に置かれた楽譜は、使い込まれたものなのか、どれもちょっと茶色がかっています。
プログラム
♪ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21
~ ~ ~ 休憩 ~ ~ ~
♪チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 作品64
このホールならではの銅鑼の音が鳴り
団員たちが舞台に登場しました。
お髭のコンマスは、初めて見る方のような気がします。
分厚い木の扉の向こうから、登場しました、牛田くん。
黒いスーツと黒いTシャツ。
あっ!
今日はメガネをしています。
なんてレアなんでしょう!![]()
がしかし、
私、コンタクトを遠近両用に変えたばかりなのですが、その時に度数を落としたのと
ピアノの場所から結構距離があったため、レアなメガネ男子の牛田くんをガン見することが出来ませんでした
ムネン…
牛田くんに気を取られている間に、マエストロが登場していました。
後ろ姿の勢いあるグレーの髪は、小澤征爾さんを彷彿とさせました。
目を凝らしてメガネ姿の牛田くんをよく見ようと思うのに
う~ん、よく見えない。このコンタクト失敗だったかも…
などと思っているうちに、ショパンピアノ協奏曲が始まりました。
P席で聴くピアノの響きは、やはり正面の客席で聴く時と少し違う気がします。
私の場所から艶消し(たぶん)のピアノのロゴは見えないけれど
多分、スタンウェイ…?
曲が若い。
懐かしい。
あらためてショパンのこの曲を聴くと、そんなふうに感じます。
「拙い」という意味とは違います。
シンプルで まっすぐで 一生懸命で 苦しくて
美しいものを見て 瞳を輝かせ
誰かの心ない言葉に たちまち自信をなくす。
青くて、眩しくて、移ろいやすくて、ほろ苦い
大人の誰もが知っている、二度と戻れないあの季節。
余裕を感じるほど、伸び伸びと演奏する牛田くん。
大人になったな…。
あ、偉そうですみません(^^;)
でも、最初に牛田くんがこの曲を弾いたローティーンの頃とも
この曲を作ったショパンと同じ二十歳の頃とも
今年27歳になる牛田くんの演奏は、明らかに何かが違います。
様々な経験を重ねて、成長し 成熟し
少し年上のお兄さんが、年下の世代に向ける微笑みのような
穏やかな貫禄を感じます。
美しい音色。
今日も調律は佐々木さんでしょうか。
透明だけど冷たさや鋭さがなく
ガラスのお皿に乗った料理の上で 艶々光るジュレのよう。
ピアノに向かう牛田くんのメガネの縁が
時々きらりと反射します。
穏やかな哲学者みたい。
第一楽章が終わると、同郷のマエストロとソリストは
日本人らしく互いに頭を下げて第二楽章に入りました。
凪いだ朝の海のような、静けさと共に始まる第二楽章。
息をひそめ 集中して
左手からふわりと鍵盤に手を乗せて構えるその姿は
なにか武術の「型」のようでした。
大地のように深く厚い低音。
小鳥の水浴びを思わせる高音のトリル。
ああ、これだ。
私の好きな牛田くんのピアノ。
オレンジ色の夕焼けを映して光る雨上がりの水たまり。
ファゴットの音色は
夕陽に照らされて伸びる長い影。
そんな優美な印象が強い第二楽章の最後の方で
不安げにたれこめた弦楽器の雲を引き裂くように
一筋の稲妻が光りました。
朝凪のように穏やかに始まった第二楽章は
静かに夜のとばりが下りるように幕を閉じました。
コバケンさんと牛田くんは
今度はアイコンタクトを取り
呼吸を合わせて第三楽章に入りました。
「静」から「動」へ。
吹き抜けていく緑色の風。
土の匂い。
祖国への想い。
決意と情熱。
注目の炎のマエストロは、意外にも無表情で動きも少なめです。
オーケストラがよく見えるこの席は
いつもとまるで印象が違いました。
慣れ親しんだマズルカのリズムに乗って
自由闊達に歌うピアノ。
今日初めて気が付いた、左手が紡ぐメロディ。
弦の上で跳ねる弓の音は
頬にあたる細い雨。
双子のように、息ぴったりのクラリネット。
ファゴットが、さっきからいい仕事をしているのも新しい発見です。
私自身もオーケストラの一員になって
共に音楽を作り出しているみたい。
ええ、どうしよう。
ワクワクが止まらない。
肝心のホルンの音色が始まる前は
まるで自分がホルン奏者でもあるかのようにドキドキしました。
最初は高らかに。
続いてもう一人が同じメロディを小さくこだまのように。
光の残像が踊るように
細やかに 楽し気に疾走するピアノ。
オーケストラが朗々と歌う中
鍵盤を離れた牛田くんの片手が、ガッツポーズのように振り上がったのが見えました。
ブラボー!!
モー
最高に楽しかった!![]()
![]()
立ち上がり、またもや二人はお辞儀をしながら日本人らしく握手。
コンマス、副コンマスとも握手。
客席に挨拶をして、袖に入った牛田くんに
マエストロが舞台の上からおいでおいでをしました。
アンコール曲を弾くように促すと
マエストロは第二バイオリンの椅子にちょこんと腰掛けました。
牛田くんが弾いたのは…
あ…!
ブラームスだ!(ToT)
なんとなく、てっきりショパンを弾くかと思っていたのに
3月のリサイタルでたくさん聴いた
ブラームスのOp.118-2でした。
まだあれから3ヶ月しか経っていないのに
懐かしさとせつなさで胸がキリキリしました。
満天の星空を見上げているみたい。
先日一人で行った木曽駒高原のホテルで
見えなかった星空を、今見ているみたい。
お義母さんも、もう星になったのかな…。
そんなふうに思ったら、涙が滲みました。
リサイタルの時より、少しスケールの大きな演奏は
寂しくて
あたたかかった。
こうしてあらためて聴くと
なんて詩的で
なんてささやかなんだろう…。
引き終わった牛田くんは、何度もマエストロやオーケストラを讃えるように
片手をかざしていました。
休憩時間、ロビーに出たら
大きなガラス窓から横浜の景色が見えました。
この建物は、採光が本当に素晴らしいです。
後半になると、オーケストラの編成がさっきより大きくなっていました。
チャイコフスキー交響曲第5番。
この曲は「コバケンの十八番」と言われているそうです。
ショパンコンチェルトの時は、大きな表現がほとんどなかったのに
マエストロの動きがさっきよりずっと大きくなりました。
陰鬱に繰り返される「運命の動機」。
けれどこの場所から演奏を聴いていると
不思議な気持ちに包まれます。
砂鉄を磁石で操った時のように
様々な楽器、たくさんの奏者が、同じ方向に向かって形を作っているのが分かる。
まるで一つの生命体。
同時に動く小さな魚の集まり、スイミーみたい。
操っているのは今年86歳になるマエストロ。
あんなに細くて小柄な体から
放たれるエネルギーが凄い!
ああ、いいもの見れて幸せ![]()
![]()
ここに来るまで眠くって、途中で眠ったらどうしようなんて心配してたのに
…寝てらんねえ!(〃▽〃)
ひとつにまとまった弦の音色は美しく、櫛で梳くたびに艶を増す豊かな髪を思わせました。
第一楽章が終わると
マエストロはオケに向かって小さくお辞儀をしました。
第二楽章の始まりは最高です。
荘厳な祈りとともに訪れる夜明け。
朝もやのようなホルンの音色。
白い霧の中から、こちらに向かって歩いてくる、誰かの影が浮き上がるようなクラリネット。
その輪郭を、さらに縁取るようなオーボエの音色。
同じメロディを、今度はオーケストラ全体が奏でると
崖の上に立って大きく両手を広げ
眼下に広がる雲海を見下ろしているような気持ちになりました。
とはいえ、第二楽章は盛りだくさんです。
さっきまで朝の静けさに浸っていたのに
音楽は徐々に盛り上がり
大きく膨らんでビッグバンのように爆発する。
突然、闇の帝王、ダース・ベイダーが登場し
宇宙戦争が始まるようで、
平和な街をゴジラが踏み散らかすようで。
音楽ライターの飯尾洋一さんの解説によると、
チャイコフスキーは作曲当初この曲に自信が持てず
一時は火にくべることまで考えたそうですが、ピョートルったら、正気でしょうか?
こんなに美しく、エネルギッシュで壮大で
その後何百年たってもなお、こうして愛され続ける曲になるのに。
少し腰の曲がったマエストロ。
オケに向かって、「もっと音を出せ!」と煽るような手つきをしたり
「あそこまで音を飛ばせ!」と、振り返って客席の奥を指さしたり
音に聴き入るようにピタリと動きが止まったり。
その表情は、真剣そのものです。
祈るように
音楽を噛みしめるように
右手を胸に当てて目を瞑るマエストロ。
ああ、やっぱり大好き。
どうか100歳になっても
元気で現役でタクトを振ってください。
優美なワルツの第三楽章。
去年11月、京都でこの曲を聴いた時
指揮者の出口大地さんが、この第三楽章が当時は不評だったと言っていました。
なるほど。
優美ではあるけれど、あの盛りだくさんだった第二楽章の後で聴くと
ちょっと単純で物足りなく感じる的な…?(何様)
でもこれは、いわゆる箸休め的な意図もあるのでは…?
それにしても、木管楽器
本当にいい仕事してます。
そして、最後の方で
「お邪魔します」というように
突然割り込んでくる「運命の動機」。
陰鬱だった第一楽章とは打って変わって
「運命の動機」が、力強く奏でられる最終楽章。
なぜか私は茶色い競走馬を連想しました。
艶やかな毛並みのその下で
躍動する筋肉と血潮。
闘いの曲。
騎手になり
風を切って疾走している気分。
「勝利の行進曲」と言われるけれど
運命は、一筋縄には行かないよ。
そんな風にも聴こえます。
後ろから
打楽器、金管楽器、木管楽器、弦楽器
そして、彼らを束ねるマエストロ。
まるで1つの社会の縮図。
人生のフィナーレのようでもあり
ファンファーレのようでもありました。
きっと、本当の人生はこれからだ。
来るなら来い!
(よくわかんないけど)
金管楽器を筆頭に
すべての楽器が力強く勝利を歌い上げました。
最後、振り上げたマエストロのタクトと
たくさんの弦楽器の弓が
同じ角度でピタリと空中で静止しました。
ああ、もう最高だ!
やっぱり音楽って素晴らしい![]()
眠気どころか、ギンギンだわ!![]()
![]()
演奏後マエストロは、舞台の上でオケに向かって声を張り上げて
各パートを紹介してくれました。
チューバの紹介を忘れてなかった?と心配しながらも
「もし忘れてたら言ってください。
読響さんが凄まじい演奏をしてくれましたが、今度は静かに静かにダニーボーイを聴いてください。」
と。
やったー!アンコールはコバケンの十八番、ダニーボーイです。
優しくて
あったかくて
懐かしくて…
家族への想い
故郷への想い
平和への願い…
とってもハートフルな演奏に
またしても涙が滲んできました。
コバケン
最高!
お願い、150歳までタクトを振って~!(ToT)
こちらからは、以上です。











