行ってきました。
2024年6月15日(土)14時開演
大阪交響楽団 フェニーチェ堺 名曲シリーズ
(指揮:山下一史/ピアノ:牛田智大)
フェニーチェ堺 大ホール(大阪)
簡単なレポになります。
今の自分が忙しく、少し身体を休めた方がいいことは分かっているのですが
牛田くんのシューマンがどうしても聴きたくて
協奏曲はもちろんですが、
もしかしたら、アンコールに私の大好きなソナタ第1番第2楽章のアリアが聴けるかもしれない。
そんな淡い期待を抱きながら大阪に向かいました。
しかし、毎度毎度詰めの甘い私。
最近特急あずさにばかり乗っていて
特急の指定券だけを事前予約してPASMOに紐付けしてカード払い、
乗車券はPASMOで改札を通過するスタイルに慣れてしまってて
今回も新幹線の特急券だけを事前に買ってQRコードの専用機で発券し
乗車券はPASMOで乗れるだろうと思っていたら東京駅の改札でエラー![]()
![]()
駅員さんに「窓口で乗車券を買って下さい」と言われて窓口に急ぐと
土曜の東京駅は長蛇の列![]()
やっと順番が来て、窓口の方に
「あと2分で発車ですよ。どうします?次の電車に変えますか?」
と言われましたが
「いいえ、乗ります!」
と、ダッシュで新幹線に滑り込みました。
ああ、既に疲労が…![]()
(いつもこんな感じ…
)
しかも、この日は9月3日のオペラシティの牛田くんの2大コンチェルトの先行発売日。
新幹線の中でチケ取りをするという重大なミッションが![]()
今日の会場までの行き方もまだ調べてなくて
電車に乗ってから初めて調べました。
(本当にギリギリで生きてる私…
)
関西在住のファン友さんとも連絡を取り
途中で合流して一緒に行くことに。
が、合流したらお互い安心してしまい
電車の中で喋っていて、なんと電車を乗り過ごしてしまいました![]()
会場に行く前に軽くランチでもしようなんて話してたけど、そんな余裕はとてもなく
開演時間に間に合うかどうかも怪しくなってきて
最後は走って会場に向かいました。
よかった。なんとか開演前に辿り着きました。
フェニーチェ堺 大ホール(2000席)
(画像お借りしました)
上の写真だとかなり明るく見えますが
実際には舞台も壁も、限りなく黒に近い焦げ茶色
座面の赤とのコントラストが近代的で
両サイドの壁は凹凸のあるちょっと中華的な独特のデザインです。
舞台の床も、舞台の上に並ぶ椅子も譜面台も黒。
客席の前列3~4席は販売していなかったようで
大きな黒い布が波打つように座席を覆っていました。
舞台中央にはスタンウェイ。
そっか。今日はオケの序曲はなく、最初から協奏曲なんですね(〃∇〃)
プログラム
冒頭のチラシとの違い、分かりますか?
牛田くんの写真部分だけが新しい黒牛田写真に差し替えられています。
ここにも黒子トモハル登場。
(パントマイム風)
♪シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
♪チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 作品74「悲愴」
あとで知りましたが、山下マエストロのプレトークがあったようです![]()
開演時間が近付き、男性の声でアナウンスがありました。
聞くとはなしに聞いていたのですが
「シューマンの深遠な世界をお楽しみ下さい」
というようなことを言ってます。
え?この声…牛田くん!
ナニ?この嬉しいサプライズ![]()
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最後に
「ピアノ・牛田智大がお届けしました」
と。
きゃー!なんてレアなの?
前触れもなくこんな素敵なことをしてくれちゃうなんて
最初から全神経を集中して聴いてればよかったー(T-T)
けど、嬉しい![]()
オーケストラの方達が登場しました。
男性は黒い蝶ネクタイです。
そして、黒いタートルネック&スーツの牛田くん登場。
今日も手には黒いタオル。
マエストロも登場しました。
何年か前、一番最初にこの方を見た時は「役所広司っぽい」という印象でしたが
時の流れと共に役所広司感が薄まっています。
牛田くんがピアノの前の低い椅子に座り
椅子の位置を調整し
マエストロと視線を合わせました。
シューマン:ピアノ協奏曲
ジャンッ!と始まり落石が転がり落ちるような
冒頭のピアノのフレーズが終わるのが待ちきれないように
オケが奏でるクララ(C-H-A-A)の主題。
それを受け、同じメロディを紡ぐピアノは、あまりに悲しく儚げでした。
旋律をオケに手渡すと
ピアノは「時」という川となり
せせらぎの音色を奏でます。
舞台の上からは、赤い座面のシートや客席に座る人の服装で色とりどりに見えるのでしょうか。
それとも暗い照明で、闇のように沈んで見えるのでしょうか。
私の視界には、前列の方のシートを覆う大きな黒い布が
シートの背もたれのシルエットをなぞるように緩やかに波打って
まるで黒々とした川の流れを見ているようでした。
黒い床 黒い椅子 黒いピアノ
黒い衣装の牛田くん。
黒い川に隔てられた向こう岸で奏でられる世界。
今、私の視界に入ってくるものほとんどが黒い色で
「喪」
という文字が浮かびました。
まるで、今の私です。
「三途の川」ってどんなだろう。
川岸には、綺麗な花が咲いているんだろうか。
姉は、綺麗な花の中を歩いて
あちらの世界に行ったのだろうか…。
カデンツァではなぜか
ハッキリと、ある薔薇の花の姿をイメージしました。
黄色くて、花びらの先だけほんのりピンク色。
最近毎週のように実家に行き
日が暮れるまで片付けをして、ヘトヘトになって歩いて従姉妹の家に行くのですが
その途中にある家の庭で咲いている薔薇。
その家には暖炉か薪ストーブがあるのでしょうか。
割った薪が積み重なっているのが見えます。
疲れ切った身体を引きずるように歩いていると 目に飛び込んでくる
その薔薇の花びらの、なんともいえない美しさにいつも癒やされます。
(同じ種類らしき画像を探してみました)
真っ黒な視界の中で
牛田くんが奏でるカデンツァは
彼岸で咲く繊細な花びらの薔薇の花。
そこだけ鮮やかで柔らかな色で光を放っているみたい。
オーケストラと共にドラマチックに盛り上がる第1楽章のフィニッシュでは
牛田くんは鍵盤から離した両手を大げさに振り上げるでもなく
比較的穏やかに胸の前に持ち上げたのが印象的でした。
黒いタオルで額の汗を拭いました。
軽やかにひっそりと始まる第2楽章は森の朝。
朝露が光る黄緑の草の上を
踵を返して走り去っていくバンビの後ろ姿を見ているみたい。
母さん鹿の後を追って
軽やかに跳ねていくバンビの白いお尻と尻尾。
ワルツのような三拍子を弦楽器が低音で奏でるメロディは
今まで聴いた中で一番テンポがゆっくりでした。
室内楽の経験が影響しているのか
それとも真っ黒い衣装のせいなのか
「ソリスト」というよりも
あまりにも牛田くんのピアノとオーケストラが見事に調和し馴染んでいて
まるでピアノ込みのオーケストラという一つの楽器のようでした。
ストンと滑り落ちるような、第2楽章から第3楽章への移行部分がとても好きです。
夜明け
幕開け
ピチピチと跳ねる生命の喜び。
力強い主題を歌い上げるオーケストラとピアノ。
去年、1年の終わりに行った11月の伊豆でこの曲を聴いたとき
迸るような幸福感が押し寄せて
あまりにも幸せで
熱い涙が次々と溢れてきたのを覚えています。
ただ幸せで
ただ愛しくて
圧倒的な歓喜に包まれて聴いたあの時。
たしか、あの時思いました。
心の病や自殺未遂
シューマンの晩年は、そんなネガティブな部分がクローズアップされがちだけれど
こんな風に幸福な時間が確かに存在したんだ。
先日、Tさんともそんな話をしました。
生きている私達は、いつかは病気になって死ぬときが来る。
事故や災害に遭うかもしれない。
だからといって、幸せに過ごした時間が塗りつぶされてしまうわけじゃない。
幸せな時間は、確かに存在する。
幸せな記憶は、消えたりなくなったりしない。
ホール中に溢れて反響する命の躍動。
この演奏を、なんの曇りもなく幸福に身を委ねきって聴くのは、まだ先かもしれない。
今は、自分が果たすべき仕事をしっかりまっとうしよう。
そしてまた、心の底から歓喜の涙を流したい。
そんな決意を新たにするような
大地から力強く芽を出し双葉を広げるような
力強さをもらいました。
鳴り止まない拍手とブラボーの声。
立ち上がり、両膝に手を当てて深々とお辞儀をする牛田くん。
舞台袖に消えた彼を、マエストロが拍手をしながら迎えに行きました。
アンコールを弾くために彼がピアノの前に座り
白い両手がしなやかに交差するのを見た瞬間
涙腺が崩壊しました。
シューマン:ピアノ・ソナタ第1番第2楽章。
ああ…。
聴きたかった。
この曲が聴きたかった…。
石巻で 福岡で 伊豆で
アンコールで何度も聴いた曲。
リサイタルで、いつも心待ちにしてた曲。
亡くなる間際の兵士が、故郷の恋人に語りかけているというこの曲。
5月の軽井沢のアンコールの時は
ずっと母のことを思っていました。
今日は最初から、ずっと姉のことを思いながら聴いていました。
「お姉さんは、きっと今芽々ちゃんに感謝してるよ」
姉が亡くなってから今日までに、いろんな人がそんな言葉を私にくれました。
そうかな。
そうなのかな。
そうだといいな…。
でも、もう私は、姉の声を聴くこともできない。
優しいピアノの音色の中に
姉の「ありがとう」が聴こえたような気がして
次から次から涙が溢れてきました。
ありがとう、牛田くん。
ありがとう。
ありがとう。
ありがとう。
やっぱりあなたは、どんな時も私の希望の光です。
帰り道、何故かマンホールを見るとどうしても写真を撮りたくなるのが私のサガです(*^.^*)
これは、アヤメかな?
あ、こっちはカモメと灯台
あとで分かったことですが、堺市にはとてもたくさんの種類のマンホールがあるらしい。
特に美しいのがミュシャの絵画。
きゃ~、こんな美しいマンホール踏めない…(^^;)
なぜ堺市にミュシャ…?
と思ったら、堺市には「堺アルフォンス・ミュシャ館」なるものがあるそうです。
以上、堺コンサートレポを、牛田ファン・芽々がお届けしました。
《 追記 》
大阪交響楽団さんが、Xで牛田くんの舞台裏でのアナウンスの様子をポストしてくださってます♪
#大阪交響楽団フェニーチェ堺名曲シリーズ Vol.2
— 大阪交響楽団(公式) (@osakakyofficial) June 18, 2024
舞台裏の様子です。#牛田智大 さん@TomoharuUshida
影アナ担当ありがとうございました!
またぜひ堺にお越しください🎶#大阪交響楽団 #フェニーチェ堺 https://t.co/EXuBOpE7og pic.twitter.com/rV7UJWcPgr



















