行ってきました。

 

 

 

2024年1月24日(水)19時開演

南葵音楽文庫寄託 記念公演

読売日本交響楽団

華麗なるラフマニノフ&《新世界》

(指揮:原田慶田楼)

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この日をずっと楽しみにしてましたー!笑い泣き

 

 

 

 

3年前の2月、同じく原田慶太楼さん・読響さんとの演奏会が愛知県豊橋市であったのですが

 

コロナ禍当時病院勤務だった私は自粛して伺えず

 

行った方々の「ラテンのノリ」とか「恋人のように見つめ合った」とか「牛田くんがブーツを履いていた」とかいう感想を読んで

 

行きたかった!見たかった!と悔し涙に暮れました(T^T)゚。

 

 

 

↓無念さのあまり妄想力が暴走し、収集つかなくなった記事

 

 

 

 

なので再び原田マエストロと共演するという情報を聴き、もう楽しみで楽しみで…。

 

しかも、ラフマ2番ですよっ!笑い泣き笑い泣き笑い泣きキラキラ

 

 

私、この演奏会に行くために、新年の札幌も福井もガマンしたんですえーん

 

 

 

 

 

ところで、牛田くんって和歌山で演奏会したことあったかな?と思って確認してみたところ、

 

間違っていなければ、どうやら初めてのようです。

 

※2019年10月21日、20歳になって初めてのリサイタルを、同じ和歌山県民文化会館でしていましたm(_ _)m

 

 

 

 

 

 

和歌山県と言えば、まず思いつくのが和歌山みかん。

 

それ以外だと、パンダに会えるアドベンチャーランド?

 

 

あとは、う~ん…。

 

 

こうやって考えてみると、割とイメージしにくい県ですよね。

 

正直場所もよく分からず、近畿なのに自分的には四国とか九州に近い中国地方とかそんなイメージ。

 

 

 

 

10年ほど前、家族旅行で一度だけ行ったことがありますが

 

娘が中学生になるまで毎年行っていた家族旅行、

 

毎回ジャックがあれこれ予定を詰め込んで一度にいろんな県を回るので

 

他の場所とごっちゃになって、ちょっと記憶が曖昧です。

 

 

憶えているのは、

 

アドベンチャーランドに行ったけど娘のテンションが今ひとつ。

 

丸いテントのようなキャンプ場の建物に泊まったのですが、途端に元気になってベッドでぴょんぴょん飛び跳ねていたこと。

 

「とれとれ市場」でまぐろの解体ショーを見たこと。

 

あと、途中車を停めて梅干しを買ったのも和歌山ですね。

 

あ、田んぼの中の大きな鳥居のあった熊野古道も和歌山だ。

 

 

 

 

せっかくなので、パンダに会いに行ったり熊野古道に行ったり、とれとれ市場で新鮮なお刺身を食べようかな、と思ったら

 

同じ和歌山県とはいえ、そういうのは和歌山県の南の方。

 

今回会場のある和歌山市は大阪に近い北の方で、かなり距離があることが分かりました(^^;)

 

 

 

 

 

 

 

そういえば、9月に岸和田に行ったときに、乗換駅でこんな気になるポスターが。

 

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色彩豊かな『極楽橋』?

 

魚のラッピング電車の『加太さかな線』?

 

 

ラブラブラブ

 

 

これ、どっちも和歌山県だったんですね。

 

 

行ってみたいけど、高野山は神聖すぎて私のような俗物がクラシックコンサートど抱き合わせて行くような場所じゃない気がするし

 

加太さかな線も、ちょっと遠い感じ。

 

 

 

 

直前にちょこっと調べてみて分かった知識としては

 

 

・会場と和歌山城が近い

・会場と紀の川も近い

・和歌山ラーメン、金山寺みそ、醤油が有名

 

 

なるへそ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本列島に寒波到来で、全国各地で大雪の予報。

 

でも、東京は朝からいい天気でした。

 

和歌山の予報もくもり。

 

 

飛行機、問題なさそうです。

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羽田空港の木村屋さんで、こんなパンを発見!

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きゃーっ!ラブ

 

 

 

当然買いました。

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いい予感しかしませんキラキラ

 

 

 

 

 

 

 

関西空港のホームに、こんなカッチョイイ電車が!

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メーテルが降りて来そう。

 

 

 

 

 

 

和歌山に向かう電車の窓から海が見えました。

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特急の名前は「サザン号」。ちょっと湘南風。

 

 

 

 

 

 

着きました、和歌山市駅。

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さぶっ!⛄🥶

 

 

 

温暖な気候をイメージしてたのに、こんなに青い空なのに、めちゃくちゃ寒い。

 

風が強くて、冷たい空気が肌に刺さります。

 

 

 

 

 

駅前のスーパーで夕ご飯用のお弁当を買って、バスで会場近くのホテルに向かいましたが

 

何種類かルートがあって、どこからどれに乗ればいいのかよく分からず

 

停車するバス停の読み方も分からず

 

降りたバス停からホテルまで、スマホの地図アプリを頼りに歩きましたが

 

もう手が冷たくて凍えそう…汗

 

 

たくさんの荷物を持ってモタつきながら歩く私。強風で髪がグチャグチャ。

 

寒すぎてヨレヨレでモー牛泣きそうでした(ToT)

 

 

 

でも、

 

思ってた以上にホテルが立派でびっくり!

 

しかも、広々してとっても素敵なお部屋キラキラ

 

 

窓から見える景色

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右の奥に見えるのが紀の川ですね。

 

昔、有吉佐和子さんの小説「紀ノ川」を夢中で読んだことがあるので、川を実際見ることが出来て感激しました。

 

出来たらもっと近くで眺めてみたいなあ。

 

 

まだ明るかったので、会場の場所を確認しがてら和歌山城を散策しようかとも思ったのですが

 

あまりの寒さに心が折れましたえーん

 

 

 

 

太陽が沈み始めて、窓から見えるこんな素敵な光景。

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我が家は南東向きなので、朝焼けは見るけれど夕焼けを見る機会がほとんどありません。

 

綺麗だなあ。

 

 

 

 

 

太陽が姿を消した直後の空の色。いつまでも眺めていたい。

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時間になったので、会場に向かいました。

 

 

寒い。風が強くて本当に寒い。

 

寒いというか、冷たい。凍りそう(T_T)

 

 

 

 

 

 

ここですね。

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平日の夜、制服姿の学生や小さなお子さんの姿もありました。

 

席に座ると、周りから聞こえてくるのはソフトな関西弁。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和歌山県民文化会館 大ホール(2000席)

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(画像お借りしました)

 

 

オレンジ色の木の壁と天井、えんじ色の椅子

 

舞台はシンプルなオフホワイト

 

座席は「あいうえお」の50音

 

 

舞台中央に、既にスタンウェイが設置されていました。

 

オーケストラ用の椅子と譜面台が置かれていましたが

 

いつもは向かって右側にあることの多いコントラバスが今日は左側に配置され、既に何人かが音出ししてました。

 

そのうち、クラリネットやティンパニーの人達も登場してウォーミングアップ。

 

 

 

 

 

プログラム

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♪ネイラー:序曲「徳川頼貞」

 

♪ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18

 

~ ~ ~ 休憩 ~ ~ ~

 

♪ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 作品95<新世界より>

 

 

 

 

 

プログラムに挟まっているチラシの中に、6月のフェニーチェ堺のものがありました。

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ラフ2と新世界は、今年になって聴くのが3回目になりますが

 

最初のネイラー:序曲「德川頼貞」、作曲家も曲名も初めて知りました。

 

 

日本史が苦手で、歴史の登場人物の名前が出ると拒絶反応を起こしてしまう私(*v.v)。

 

プログラムの解説を読んでもチンプンカンプン。

 

え?殿様が自分で作曲を依頼?外人に?

 

「頼貞がケンブリッジ大学で音楽の指導を受けた」?

 

「東京麻布の自宅」?

 

 

…?????

 

 

 

帰ってからちょこっと調べたら、紀州徳川16代とやらのこの人は明治生まれの音楽家(&政治家&実業家)。

 

そして、この演奏会のタイトルにもなっている「南葵(なんき)音楽文庫」とは、紀州徳川家第15代当主の徳川頼倫(つまり頼貞のお父さん?)が設立した私設図書館が関係しているらしい。

 

そして、ホールのすぐそばの和歌山城にも絡めて、徳川のこの人達にリスペクトを込めて選んだ曲…?

 

 

すみません。日本史が分からなすぎて、読んでも読んでも私にはこの程度のことしか分かりませぬえーん

(世界史専攻)

 

 

あ、でもドラマの「大奥」は大好きで、ちょうど昨日、新しく始まったフジの「大奥」第一話の録画を見て

 

娘に「こんなドロドロしたドラマの何が面白いの?ママって趣味悪いね」と、言われたばかりでございますえーん

 

 

 

 

 

 

 

オーケストラの方達が登場しました。

 

男性は裾の長い燕尾服です。

 

 

コンマスは眼鏡をかけた細身の若い男性で、ピアニスト兼お医者様の沢田蒼梧さんを彷彿とさせました。

 

 

 

「ラ」の音が重なり、徐々に厚みを増していくチューニング。

 

この音を聴くと、なんだか心が整う気がして心地よい。

 

 

 

 

 

 

 

早足で登場しました。原田マエストロ。

 

 

黒い衿無しのシャツに黒のズボンと、限りなく黒に近い紺色の光沢のあるジャケット。

 

そして、何よりも目を引くのは真っ赤な靴下。

 

 

攻めてるな~!(≧▽≦)

 

 

勢いよく指揮台に乗って、すぐにタクトを振り上げました。

 

 

 

 

 

ネイラー:徳川頼貞

 

 

私の今までの少ない経験からして、この手の曲は前衛的で難解で

 

時には聴いていて不快になるようなメロディや不協和音があったりして

 

おまけにさっきからチンプンカンプンな私、まったく期待してなかったのですが

 

意外や意外、とても素敵な曲でした。

 

 

穏やかな海のように始まり

 

明るく華やかで

 

「徳川」というよりは、西洋のお城の舞踏会を連想するような。

 

序曲なのに、ちょっと可愛らしい小さな交響曲みたい。

 

 

 

そして、初めて見る原田マエストロの指揮。

 

体全体を使って、ものすごくエネルギッシュです。

 

 

情熱的で、すごいパワー。

 

時々前のめりになって、指揮台から飛び出しそう。

 

それがクセなのか、時折左手で髪を耳にかけ

 

身体中の全ての細胞が躍動しているみたい。

 

 

 

この圧倒的な求心力。

 

ピアニストのラン・ランに似てる気がする…。

 

 

骨格も、見た目の雰囲気も

 

毛量の多い真っ黒な髪を振り乱す姿も

 

陽性で人を惹き付けるパフォーマンスも

 

演奏から垣間見えるおおらかで人懐っこい性格も。

 

 

まるでエネルギーの塊。

 

目が離せません。

 

きっと既に彼の指揮が見たくてチケットを買うファンがたくさんいるでしょうし

 

これから先も世界各国で必要とされ続けるであろうスケールの大きさを感じました。

 

 

そういえば、時々SNSで発信してる美しい奥様とのゴージャスでラブラブなツーショットも、ランランとちょっと似てるかも。

 

牛田くんが将来こういうのポストしたらどうしよう…えーん

(己の精神を鍛えよう!)

 

 

 

 

 

そして、読響さんの弦の色

 

なんとも言えず艶やかで美しい。

 

 

 

 

序曲が終わり、外の寒さとは裏腹に、会場はあたたかく心地よい空気に包まれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

オケの準備が整って、静まりかえったホール。

 

舞台袖から近づいてくる足音に耳をすませました。

 

 

 

 

登場しました、牛田くん。

 

今日も黒のスーツとハイネック。

 

手には黒いタオルを持ってます。

 

 

挨拶をすると椅子に座ってジャケットの前ボタンをはずし

 

熟練ドライバーがアクセルに足を置くように

 

自然な動作で右足をペダルに乗せ

 

マエストロを見上げ、視線を交わして頷きました。

 

 

 

エネルギッシュなマエストロと、冷静沈着で誠実な牛田くん。

 

まったくタイプの違う「静」と「動」の共演は

 

いったいどんな世界を見せてくれるのでしょう。

 

 

 

 

ピアノのソロから始まるラフマニノフピアノ協奏曲第2番。

 

 

今、この会場のすべてをつかさどる彼の集中力。

 

ジャケットの袖口に片方ずつ手をやって

 

呼吸を整え

 

獲物を狙うハンターのように静かに両手を鍵盤に近付けます。

 

 

ソリストも、オケも指揮者も聴衆も一つになったこの瞬間

 

「静寂」という音楽を聴いているようでした。

 

 

 

 

 

 

遠くから近付いてくる低音は

 

水墨画で描いたような反り立つ岩を連想させました。

 

打ち寄せる白い波。

 

 

何層にもグラデーションになるような弦の音色が加わると

 

ピアノは岩にぶち当たり、踊るしぶきのように細かな粒となって広がりました。

 

 

太い旋律を奏でるオーケストラに身を委ね

 

海の下に深く潜って揺らめくように。

 

 

ボン、ボン、と低音で跳ねるチェロやコントラバスのピチカート。

 

 

 

一曲目の「徳川頼貞」では、西洋の舞踏会を連想したはずなのに

 

今度はなぜか、目の前に広がる濃淡豊かな墨の色。

 

 

 

 

 

「墨って200色あんねん」

 

 

ハッ!いけない。なんか変なキャッチフレーズが浮かんでしまった(///∇//)あせる

 

 

 

 

 

 

普段、コンチェルトだと指揮者はピアノの蓋に隠れてほとんど客席から見えないのですが

 

原田マエストロ、ピアノの方を何度も振り向いて、覆いかぶさるように身を乗り出して牛田くんに合図を送ります。

 

 

さっきはオーケストラの方を向いていたので、表情までは分からなかったけど

 

その眼光は鋭く真剣そのもの。

 

 

 

 

それに応えて、何度もマエストロを見上げる牛田くん。

 

こんなにピアノの蓋の向こうからはみ出して見える指揮者は初めてです。

 

 

真央ちゃんがソチオリンピックでステップを刻んだあのパッセージでは

 

迸るように熱量が盛り上がり

 

ピアノの方を向いてタクトを振るマエストロの顔がピンク色に上気して

 

力を入れるあまり頬の肉がぷるぷると震えているのが見えました。

 

 

 

ピアノが穏やかな旋律を奏でると

 

目の前に夕焼けを映したオレンジ色の運河が広がるようでした。

 

 

やがて、一日の終わりを告げるように柔らかなホルンの音色が響き

 

夜の帳(とばり)が下りて、世界は紺色の闇に包まれました。

 

 

 

追憶のようなピアノが混乱するように次第に盛り上がり

 

オケと共に大きなひとつのエネルギーとなって第一楽章のフィニッシュ。

 

 

牛田くんの髪が勢いよく跳ね、

 

弦楽器の弓と マエストロのタクトと 牛田くんの両手が

 

ピッタリ同時に振り上がって空中で静止しました。

 

 

 

既にブラボーと叫びたい…(T^T)゚。

 

 

 

 

 

静かに神秘的に始まった第二楽章。

 

 

運河の水面のようなピアノと

 

郷愁を誘う管楽器。

 

 

優しい。

 

優しくて、寂しい…。

 

忘れていた昔の心の傷に、そっと寄り添ってくれるように。

 

 

全て許して包み込んでくれる聖母のよう。

 

 

今日の音色を表現するならば

 

素直。

 

さりげなくて、まっすぐで。

 

 

 

 

カデンツァ。

 

超高速で動く指。

 

やがて再び優しく、悲しげに。

 

 

ああ、やっぱり宇宙を感じます。

 

ラフマニノフのこの曲は、「心地よい」とか「美しい」とか、そんな一言で言える作品とはちょっと次元が違う気がします。

 

自我を越え、すべてを内包し、すべてを凌駕している。

 

 

 

 

この感情。

 

今さらだけど、これを「感動」と呼ぶんだろうか。

 

 

胸が熱い。

 

胸が痛い。

 

 

 

 

今日も地球の向こう側に 大きな太陽が沈んでいく。

 

さっき見た景色のように

 

黒い大地の上に 白い境界線を引いて

 

紺色の空に オレンジの残像を残して。

 

 

 

第二楽章を弾き終え、牛田くんは黒いタオルで手の汗を拭いました。

 

 

 

 

 

 

テンポ良くオケの演奏で始まった第三楽章。

 

 

鍵盤の上を縦横無尽に駆け出したピアノは

 

黒いマントを翻し、光沢ある布が風を受けて繊細に波打つようでした。

 

 

細やかに、繊細に、ぴちぴち跳ねる音の粒。

 

 

見えない力で音を操る気功師ように

 

オーケストラに、ピアノの方に、体を乗り出すマエストロ。

 

体の動きだけでなく、表情でもソリストに語りかけてきます。

 

 

何度もマエストロの方を見る牛田くん。

 

こんなに濃密なコミュニケーションのやり取りを見たことない気がします。

 

 

 

艶やかに、どろりと広がる漆のように

 

深く 熱く 濃い時間。

 

 

うねうねと続く三連符で綴るのは、短冊に和歌を詠む黒い墨。

 

昨日見た「大奥」のワンシーンをなぜか思い出しました。

 

さっきお城の横を通ったからなのか、徳川にまつわるいろいろに触れたからなのか…。

 

 

 

次第に盛り上がる音楽。

 

来たぞ来たぞ…。

 

 

 

熱を帯びて応酬するピアノとオーケストラ。

 

 

じっとりと手のひらが汗ばんできました。

 

体が熱い。

 

 

緩急を繰り返し、海へと向かい流れていく大運河。

 

 

ピアノがカデンツァを奏でるとき、身を乗り出したマエストロが牛田くんににっこりと微笑み

 

牛田くんも演奏しながら微笑み返したのが見えました。

 

 

 

 

「静」と「動」。

 

二つの異なる個性がぶつかり合って起こる化学反応。

 

まるで発火する理科の実験を見ているみたい。

 

サーカスで火を噴く大男の口から飛び出す炎のように

 

高く燃え上がる火柱が、あっちにもこっちにも。

 

 

 

体全体で音楽を奏でているようなマエストロは

 

今にも指揮台を飛び出してオケやピアノにダイブしそう。

 

 

 

牛田くんが、タオルを手に取り額の汗を拭いました。

 

 

 

オーケストラもノリノリで、最前列のヴァイオリンの男性が

 

大きく首を縦に振って、踊っているように見えました。

 

 

すごい…。

 

今、目の前ですごいことが起きている。

 

一人一人の持つエネルギーが、大きな束になってうねってる。

 

 

足元からゾワゾワと鳥肌が立ちました。

 

 

ああ、この曲を こんなにワクワクしながら聴いたのは初めてです!

 

 

 

最後のカデンツァで、ピアノはさっきよりさらに大きなマントを翻し、はためかせ

 

抱き込むようにすべてを包み込んで盛大なトゥッティ。

 

 

フィニッシュに向けて、自分の体中の血が沸騰してるような感覚になりました。

 

 

 

ブラボーっ!

 

 

 

 

立ち上がると、待ちきれないようにマエストロに駆け寄り

 

互いに両手を大きく広げて豪快なハグ。

 

客席の方に向き直ると、マエストロに向けて手をかざし

 

左手を胸に当ててコンマス、副コンマスと握手。

 

 

 

ああ、音楽ってなんて楽しいんだろう。

 

なんて幸せなんだろう。

 

自然に口許がほころんでしまう。

 

 

 

 

高い音楽性を持った者同士なら、上質な音楽を創り出せるのは当然だけど

 

お互いを信頼し、尊重し合い、遠慮なくぶつかり合って生まれる絆。

 

そんな人達が生み出す音楽は、表面よりももっとずっと心の奥深くに響いてくるのだと知りました。

 

 

 

素晴らしい!

ありがとう!

ありがとう!

 

 

 

ずっと楽しみにしてたし期待してたけど

 

期待してたよりもさらに素晴らしかった笑い泣き

 

 

 

 

 

 

 

挨拶をする牛田くんに拍手を贈る聴衆に向かって

 

マエストロが「もっと大きく!」というように、片手をぐるぐる回しました。

 

 

さらに熱を増す会場。

 

 

 

牛田くんが舞台袖に姿を消し

 

アンコールを求める聴衆が拍手をすると

 

再びマエストロが煽るように腕をぐるぐる回しました。

 

 

笑いながら登場した牛田くん。

 

 

最前列に座っていた小学生の男の子が立ち上がり、両手を高く上げて拍手しました。

 

牛田くんは客席全体に向かって挨拶をすると、小さなお客様ににっこりと笑顔を向けました。

 

 

挨拶をして袖に戻ろうとする牛田くんに

 

マエストロが「何帰ろうとしてるんだよ?」と突っ込むように、ピアノに座れと促して

 

くつろいだ雰囲気で指揮台に腰を下ろしました。

 

 

ピアノの下から見えるマエストロの赤い靴下。

 

まるで牛の興奮を誘う闘牛士の赤い布。笑

 

 

 

 

 

アンコールで牛田くんが弾いたのは、ラフマニノフのヴォカリーズ。

 

グリャズノフ先生の編曲ですね。

 

 

 

涙のしずくのように悲しげに始まったヴォカリーズ。

 

なんて繊細で透き通った弱音。

 

なんて美しいメロディ。

 

 

今年の初め、東京劇場でのアンコールでこの曲を聴いたときは

 

レクイエムのようだと感じたのに

 

今日は、興奮で沸いたホールの熱を冷ますように感じました。

 

 

そして、ラフマニノフやマエストロ、オケに捧げるリスペクトのようにも。

 

 

こんな内声が隠れていたんだ。

 

話し声を聴いているみたい。

 

 

ああ、しばらく聴けなくなるんだな。大好きな牛田くんのラフマニノフ。

 

 

 

…と、しんみりしていたら、

 

演奏は徐々に熱を帯び、熱く情熱的に…。

 

山形のアンコール「革命」の時も感じたけれど

 

今日もさっきの残り火が、何かに燃え移って再燃したみたい。

 

 

聴いているこちらの熱もなかなか冷めません。

 

こんな熱いヴォカリーズ、初めて。

 

 

弾き終わって立ち上がるとき

 

微笑みながら胸の前で両手を合わせてグッと握りました。

 

 

 

 

何度もマエストロに手をかざし

 

最後は下手寄りにいたマエストロに後ろから背中を抱かれるような感じで二人一緒に姿を消しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

すみません。

 

しつこいですが、最後に叫ばせてください(*v.v)。

 

 

 

 

やっぱり牛田くんのラフマニノフは最高!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休憩後の「新世界より」。

 

 

今年に入ってからこの曲を聴くのは、東京、山形に続き今日で3回目です。

 

しかも、全部違う指揮者、違うオーケストラで。

 

なんて贅沢なんでしょう笑い泣きキラキラ

 

 

 

東京公演では不覚にもウトウトしてしまい

 

山形では「革命」に心奪われて抜け殻状態でしたが

 

今回はギンギンになって聴きました(〃∇〃)

 

というか、見ました。

 

 

だって本当に目が離せないんだもん。原田マエストロの指揮。

 

 

命を削るような「全身全霊」とはまた違い

 

自分の持つ陽性オーラですべてを巻き込んでしまうような全身運動の指揮を見ていると

 

軽くハーフマラソンくらいのエネルギーを消耗している気がします。

 

だけど自転車発電のように、エネルギーを出した分

 

オケや聴衆から自分も受け取るエネルギーで

 

さらにパワーアップしているような感じ。

 

 

すごいわあ…。

 

 

そして、こんな私が偉そうに言うのもなんですが

 

意図がとっても明確で伝わりやすい。

 

 

 

演奏するオーケストラもみんな楽しそう。

 

最前列のヴァイオリンの人がさっきからノリノリで

 

見てるこちらも楽しくなってしまう。

 

 

そして、読響さんの弦の音色の美しさ。

 

シャンパンゴールドの絹糸一本一本が

 

絡み合い、撚り合わさって放つ艶々の絹の束。

 

 

プラハ交響楽団の弦の音色の美しさが「シルバー・トーン」と表現されていましたが

 

「シルキー・トーン」という言葉はないのでしょうか。

 

 

 

 

最終楽章の最後、演奏が終わってからもマエストロはピタリと止まったまま動かず

 

最後の音が消えてからも、しばらく会場は静まりかえってました。

 

 

 

やがて、タクトを降ろすと同時に湧き上がる拍手。

 

こんな終わり方初めて!

 

 

 

 


 

オーケストラのアンコールはありませんでしたが

 

マエストロはとっても爽やかな笑顔で挨拶し、

 

最後に客席にバイバイと両手を振って袖に入っていきました。

 

 

 

 

 

楽しかったー!

 

やっぱり音楽は素晴らしいと、あらためて教えてもらった気がします。

 

 

はるばる来て本当によかった(T^T)゚。

 

 

 

 

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まだ熱に浮かされるようにして会場を出ましたが

 

 

 

 

 

 

さぶっ!⛄🥶😭

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

牛田くん Xより

 

 

 

 

 

 

原田マエストロ Xより

 

 

 

 

 

 

読売日本交響楽団 Xより

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく…