皆さま、こんにちは。

 

 

 

 

こちらの記事を早くアップしたいと思いつつ…

 

 

 

 

 

4月になってしまいました。

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(待ってました!YAMAHAカレンダー4月(≧▽≦) )

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて…

 

 

 

 

 

薄れかけた記憶を辿りつつ書きますね。

 

 

 

 

 

行ってきましたよ。

 

 

 

 

 

みちのくひとり旅

 

 

 

 

 

 

 

古ーっ!(≧▽≦)

 

 

 

 

 

 

失礼 (*v.v)。

 

 

 

 

 

2022年3月27日(日)14時開演

ピアノ・リサイタル

湯沢文化会館(秋田)

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デビュー10周年記念のリサイタルツアー最終日

 

そして

 

オールショパン・プログラムリサイタルの最終日

 

という、特別なリサイタル。

 

 

 

 

 

 

 

 

片道7時間かかろうが

 

 

3月16日の地震により新幹線という手段が絶たれようが

 

 

 

この記念すべき演奏会に赴き

 

ずっと走り続けてきた牛田くんに渾身の拍手を贈りたい。

 

 

 

 

 

 

私、秋田に行くの、生まれて初めて…(*^.^*)

 

 

 

 

 

 

 

陸路が絶たれたのなら空路がある!

 

 

 

 

 

 

 

 

いざ行かん!

生ハゲなまはげの国、秋田へ!

 

 

 

 

 

 

 

 

どう考えても日帰りは難しそうなので、1泊することにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約1年ぶりの飛行機。

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1年前は、福岡に行ってました。

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まだ足を踏み入れたことのない秋田に対する私の知識は…

 

 

 

・寒い

・なまはげ

・きりたんぽ

・いぶりがっこ

 

 

 

こんなところでしょうか…(*^.^*)

 

 

 

 

 

この週末、天気が荒れるとの予報で、ちょっと心配してましたが、飛行機は無事に飛びました。

 

 

 

 

到着した秋田の天気は雨。

 

 

 

 

 

秋田空港ではなまはげと小町娘がお出迎え。

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JR秋田駅では顔面なまはげと巨大秋田犬がお出迎え。

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これは、秋田産のお米の種類らしい。

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在来線で目的の駅に向かっていると、突然始まった牛田くんのライブ配信。

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「無事に秋田に着きました」

 

 

 

 

よかった~ラブラブ

 

(なんてつぶらな瞳…。ラブきゅん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

JR奥羽本線の窓の外は、3月の終わりなのに雪が積もってます。

 

 

電車の扉の開閉は押しボタン式で、よく分からずにぼんやり突っ立ってて危うく乗り過ごすところでしたあせる

 

 

 

 

 

 

まだ雪がこんなに。

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リーズナブルなビジネスホテルだけど、温泉施設と併設しており

 

源泉掛け流しの温泉と岩盤浴もあるというナイスなホテルに泊まりましたキラキラ

 

 

 

 

 

このところ、公私共に本当に忙しく、体もとっても疲れていたのでチェック・インして、まずマッサージを受けることに。

 

 

マッサージなんていつ以来だろう…。

 

 

ちょっと贅沢だけど、日頃頑張ってる自分を今回は甘やかすことにします照れキラキラ

 

 

 

 

 

 

 

マッサージをしてくれたお姉さんに、秋田のことをいろいろ教えてもらいました。

 

 

 

 

あ、皆さま。

 

私この2日間で、秋田に結構詳しくなりましたので、今からこの知識をちょっぴりひけらかしたいと思います。4649!(///∇//)

 

(興味ない方は、コンサート場面まで飛んでね)

 

 

 

 

 

 

お姉さんが教えてくれるには、

 

なまはげもきりたんぽも、秋田とはいえ、それぞれ地域のもので、お姉さんは生まれてから一度もなまはげを見たことないのだそう。

 

私、秋田のちびっ子は全員小さい頃なまはげに泣かされるのかと思ってた…(;^ω^)

 

 

きりたんぽも数えるほどしか食べたことがないんだって。

 

 

 

雪が多いこの地域は、かまくらが有名。

 

大雪で仕事が出来なくなった大工さん達が、冬はかまくら職人になるのだとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


寒い信州の盆地で育った私の子供時代は、授業にスケートがありましたが、こちらではスキー。

 

このへんの子供達は、みんな普通にスキーが滑れるそうです。

 

 

 

 

 

 

秋田出身の有名人は

 

 

柳葉敏郎

高橋優

藤あや子

壇蜜

佐々木希

 

 

おおっ。女性は見事に色白の秋田美人ばかり!

 

 

 

 

 

この町出身の高橋優さんは、毎年夏に野外フェスを開催し、毎回熱く盛り上がるのだそう。

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まだまだ冬景色のこちらの地域では、桜が咲くのはあと1ヶ月ほど先とのこと。

 

 

 

 

 

 

…などと話しているうちに、鼻がつまってきて、話すのも大変になってきた私。

 

 

どうやら滞っていた血の流れが一気に良くなったせいらしい。

 

 

「上半身も腰もガッチガチですね。」

 

って(;^ω^)

 

 

 

 

 

 

あー、おかげでとってもスッキリしましたキラキラ

 

 

 

 

 

 

お風呂の前に夕ご飯。

 

きゃー。ごちそう!ラブ 食べきれるかな?

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(食べきった(〃∇〃) )

 

 

 

 

 

 

秋田は日本酒も有名です。

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お…

 

美味しい~!

(≧▽≦)

 

 

 

 

 

 

 

気分良くなって、そのまま寝たくなっちゃったけど、重い腰を上げて大浴場へ。

 

 

雨がやんでいたので、露天風呂にも入れました。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。ホテルの窓からの景色。

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ああ、今同じ秋田に、牛田くんもいるんだなあ…照れ

 

 

 

 

 

 

ふたたび温泉へ温泉

 

サウナや水風呂も満喫しました。

 

 

 

 

 

 

朝ご飯。

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コロナ禍で、どこでも中止になってたバイキング、復活したんですね。

 

いぶりがっこ(左真ん中)、きりたんぽ汁(右のお椀)おいしかった~♡

 

 

 

 

 

 

ゆっくりめにチェックアウトして、電車に乗って会場へ。

 

 

こちらの地域、電車の本数が少なくて、早く着きすぎてしまう。

 

 

 

そして、前日気付いたことですが

 

帰路の電車や飛行機も少ないため、最後まで聴いてたら最終の飛行機に間に合わないかもしれない…ガーン

 

 

 

 

さんざんいろんなパターンを考えたのですが

 

 

牛田くんの最後のショパンリサイタル、途中で抜けるなんて絶対イヤえーん

 

 

時計とにらめっこしながら時間を気にして聴くのもイヤえーん

 

 

 

ゴールまでしっかり駆け抜けた牛田くんのショパン、

 

アンコールの最後の一音が消える瞬間まで、大切にこの耳で聴きたい。

 

余韻をしっかり味わいたい。

 

 

 

 

 

 

 

と、いうことで、

 

 

もしも間に合わなかったら空港近くにもう1泊して

 

月曜は始発の飛行機で東京に戻り

 

空港から職場に直行しようと腹を括りました。

 

 

 

 

 

 

電車の窓から見える

 

白く平らな雪景色に心洗われました。

 

 

こういう景色は、地元信州でもよく目にしてきたけれど

 

東北の風景は、それとはまた違う、どっしりとした豊かさがあります。

 

 

春の準備で力強く盛り上がった畑の畝は

 

雪と土とがティラミスのように折り重なり

 

立ち並ぶ裸木はそれぞれに

 

孤独と厳しい冬に耐え抜く芯の強さを感じます。

 

 

 

東北の冬にショパンはよく似合う。

 

 

牛田くんがリサイタルツアーを終える場所が

 

都心の有名なホールではなく

 

東北のこんな場所にあるホールであることが

 

なんだかとてもしっくりする気がしました。

 

 

 

 

 

昨夜ぐっすり眠ったにもかかわらず

 

こんな時間が本当に心地よく

 

軽い眠気を感じながら、自分がとっても癒やされているのを感じました。

 

 

遠い場所に体を運んでくる意味。

 

知らない土地を一人で味わう時間。

 

 

なんだか、違う時間が流れているみたい…。

 

 

日常を離れてみて、あらためて、日頃の自分が無意識に戦闘態勢だったのかもしれないなあ、と実感しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

会場の湯沢文化会館は、湯沢駅から徒歩30分以上かかるとのことでしたが

 

時間が余りすぎていたので歩いて行きました。

 

 

 

途中のグランドは、ベンチの上まで雪が積もってます。

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でも、道は雪かきがしっかりされていて歩きやすかったです。

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時間をつぶそうにも、お店が全然なくて苦労したけれど

 

私が入ったここは、とっても居心地良かったです。

 

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ストーブのあったかさが懐かしい。

 

どこに行ってもそうでしたが

 

外は寒くても、駅構内もお店も暖房がしっかりしていて暖かい。

 

 

 

そして、

 

 

なんてことない会話をした人達も

 

ゆっくりお話しした人も

 

この旅で出会った人は、みんな親切で温かい。

 

 

 

秋田、好きだなあ…照れラブラブ

 

 

 

 

 

 

 

旅をした時は、マンホールの蓋を見てみてください。

 

その土地の特色が一目で分かります。

 

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着きました。

 

湯沢文化会館。

 

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週末大荒れの天気と聞いていたのに青い空。

 

牛田くんって、やっぱり持ってると思うキラキラ

 

 

 

 

 

 

 

 

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何かしら?この立体的な美人画とグリグリ目玉の凧。

 

 

 

聞けば、その昔、京都から秋田に嫁いだお姫様が京を恋しがり寂しがったため

 

お姫様を慰めるために描かれた浮世絵美人画のどうろう(灯籠)。

 

 

 

湯沢では毎年8月になると「七夕絵どうろうまつり」が開催されるそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホールのロビーにもいくつか飾ってありました。

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ギョロリとした目玉の凧は「まなぐ凧」。

 

湯沢市の有形民俗文化財にも指定されてます。

 

「まなぐ」とは「目」の意味で、こちらも江戸時代から続く湯沢の伝統文化凧。

 

シンプルな骨組みと、しっぽがないのが特徴だそう。

 

 

 

 

 

 

湯沢といえば、小野小町の生誕の地とも言われています。

(はじめて知ったけど…(〃∇〃) )

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、みなさま。大変お待たせいたしました。

 

 

 

湯沢文化会館(1203席)

 

 

 

 

 

 

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この日のチケット、とっても素敵でしたよ。

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シートは1席ずつ空けて販売されたようです。

 

 

 

 

 

 

プログラム

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チラシとほぼ同じデザイン。

 

 

 

 

 

曲解説は牛田くん♪

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あ、裏面は10周年アニバーサリーのロゴ!

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オールショパン・プログラム

 

 

♪ノクターン 第8番 変ニ長調 Op.27 №2

 

♪バラード 第4番 ヘ短調 Op.52

 

♪舟歌 嬰ヘ長調 Op.60

 

♪ポロネーズ 第6番 変イ長調 Op.53 「英雄」

 

~ ~ ~ 休憩 ~ ~ ~

 

♪3つのマズルカ Op.56、マズルカ ヘ短調 Op.68 №4

 

♪幻想曲 ヘ短調 Op.49

 

♪ポロネーズ第7番 変イ長調 Op.61 「幻想ポロネーズ」

 

 

 

 

 

 

 

舞台の上のピアノは、横にロゴのないタイプのYAMAHAでした。

 

その夜のインスタライブで牛田くんが言ってましたが、YAMAHAが「日本楽器」と呼ばれていた頃の「CF」という種類だそう。

 

 

 

 

 

元々の販売枚数が少なく、ホールが広いからでしょうか。

 

開演時間になると、客席は緊張感のある静寂に包まれました。

 

 

照明が暗くなり、赤い客席が並ぶ会場は、ちょっと上映中の映画館のような雰囲気に。

 

 

 

 

黒いタキシードで登場した牛田くん。

 

手にはトモハル・ブルーのオリジナルタオルを持ってます。

(この表現いいでしょ?羽生ファンのフォロワーさんが考えてくれました)

 

 

 

私はもう、始まる前から

 

「ああ、終わらないで…。」

 

と願ってました。

 

 

 

お辞儀をすると

 

椅子に座り

 

上着のボタンをはずし

 

 

膝の間に一瞬両手を置いて

 

前方上を見上げ

 

袖口を直して

 

かまえに入ります。

 

 

牛田くんのルーティーンです。

 

 

 

 

 

 

ノクターン8番。

 

 

YAMAHAらしい硬質な音色でした。

 

 

第一音が生まれた瞬間

 

凍えた体を温泉のお湯に沈めたときのような

 

ほどけていくような心地よさを感じました。

 

 

 

残響がちょっと短めのような気がするけれど

 

ぼやけることも、溶けることもない

 

混じり気のない、ごまかしのきかない音色。

 

 

この誠実な音色は、牛田くんにとても似合う。

 

 

ショパンコンクールのことを思い出しました。

 

 

 

 

 

 

バラード4番は、今回も冒頭でかなりのタメがありました。

 

 

嘆きのようでもあり

 

愛を語るようでもあり

 

狂気の叫びのようでもあり…。

 

 

ここに来る途中に車窓から見た白い雪景色を思い出しました。

 

 

穏やかで静かな情景を思い浮かべながら

 

なぜか

 

ああ、ショパンは本当に本当に辛かったんだな。

 

苦しかったんだな。

 

と思いました。

 

 

 

弾き終わると、たくさんの拍手が起こり

 

牛田くんは座ったまま、右手を胸に当てて応えました。

 

 

 

 

 

 

舟歌。

 

 

目を瞑って聴きました。

 

右手だけのちょっと心許ない旋律は

 

ロープの切れた小舟が彷徨っているみたい。

 

 

ラストは華やかで雄大で

 

今まで聴いたことがないくらいスケールの大きな印象を受けました。

 

 

 

 

とても心地よく、リラックスした状態で聴いているにもかかわらず

 

勝手にうるうると涙が出てくる…。

 

 

 

 

 

 

英雄ポロネーズを聴きながら

 

「ああ、帰りたくないなあ…。」

 

と。

 

なんかわかんないけど、このままずっと秋田で暮らしたい気分。

 

 

私、気付いてしまったかもしれない…。

 

自分の日常が、実はかなりストレスフルで

 

2年半ずっと続いてる胃の痛みや、味覚障害のような口の中のピリピリを

 

ここに来てから全く感じてない…。

 

 

 

なんということだ!!!

 

 

 

私は、秋田の一人旅に癒やされすぎている…!

 

笑い泣き笑い泣き笑い泣きあせる

 

 

 

 

そして、牛田くんの英ポロを聴いている今この瞬間

 

 

 

 

幸福度MAX!

 

笑い泣き笑い泣き笑い泣き笑い泣き笑い泣きキラキラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、次いつ聴けるかな?牛田くんの英雄ポロネーズ。

 

 

 

 

 

 

 

 

休憩後、

 

柔らかな金色の光をそのまま音色にしたように始まった3つのマズルカ。

 

 

 

 

 

 

そして、マズルカOp.68。

 

 

実は、平野啓一郎さんの小説『葬送』の最終巻をまだ読み終わってなくて(^^;)

 

何度も図書館で借り直して、今回持ってきたのですが

 

なんと、飛行機の中で読んだ箇所に、この作品について書かれていたところがあったんですよ。

 

 

 

 姉の訪れを待ち兼ね、半ば諦めもしながら意気消沈する毎日の中で、ショパンは苦痛の彼方で刻々と薄らいでゆく故国の記憶に追い縋り、自分とその片々たる風景とを結びつける最後の幽かな紐帯を確かめようとベッドの中で一曲の短いマズルカを作曲した。

ヘ短調のロンド形式で書かれたその曲は、外の誰かに聴かせるつもりもなく、ただ自分自身にのみ語りかけるかのような私的な作品となった。

音楽は咳で傷んだ喉を庇って囁くようにしてしかしゃべることの出来ない今の彼の声にも似て、最早彼の内部の響きに於いてのみ嘗ての美しさを止めているのかもしれない。

形式上の工夫はなく、技法に於いても格別新しい試みはなかった。

二小節単位の動機が、一歩々々内奥へと通ずる仄暗い階段を降りて行くようにして長二度で音階を下ってゆく主楽節。

夢想の幻に憑かれて踊り場で躊躇っているかのようなイ長調への転調を経て再び短調へ戻ると、澱んだような薄明りの中で変イ長調のトリオが立ち現れる。

束の間垣間見られ、また再び闇へと没してゆく故郷の風景。

…挫折を繰り返しながらも、辛うじて聴こえてくる一縷の音をどうにか五線の上に留めようと苦心惨憺した。

潜り抜けた独白の果てには蒼々と広がる明るいポーランドの空を描き出したくて、挿入部は何度となく書き直したが、手が届きそうになる度に今一歩のところで音を逃し、或いは触れてはみても霞のように手応えがなくて、どうにか体裁を整えてはみても、やはり望まれていたものとは凡(およ)そ掛け離れているように感ぜられた。

 些細なことが過敏に神経に障って苛立った。

こんなことならば、いっそ一思いに楽にしてもらった方がどんなに有難いことであろう!

布団の中で何度も身悶え、からだを捩った。

苦悩を知らずに済んだのは、皮肉にもただ病の痛みに彼自身を奪われている間だけであった。

 

 

 

 

平衡感覚が少しずつ狂っていくような旋律。

 

 

地の底から手が伸びてきて、

 

未知の世界に引き摺り込まれそうになりながら、持ちこたえる。

 

 

救済のような光に包まれたかと思うと

 

混濁した意識が正気を取り戻し

 

体は再び苦痛に苛まれる…。

 

 

 

 

まさに、ショパンが最後の命を振り絞るかのような演奏でした。

 

 

そして、死にゆく自分自身を、どこか別の場所から俯瞰しているような印象も。

 

「死」への過程を、もう一人の自分が客観視しているような

 

ショパンのちょっと皮肉屋さんな部分も垣間見えました。

 

 

死をことさら美化するわけでもなく

 

最後の一音を聴いたとき

 

白いシーツに喀血した赤いしみが脳裏に浮かびました。

 

 

ショパンの最後のマズルカは

 

しん、と寂しくて哀しかった…。

 

 

 

 

 

死を意識しながら作られた曲で構成されたショパンプログラム。

 

 

ショパンが死を意識することがなかったら、

 

その後何百年も、ショパンの作品はここまで愛されなかったかもしれない。

 

 

なんて皮肉なんでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

弾き終わると、仔猫のように軽くにぎった両手を前にかまえたまま

 

幻想曲に入りました。

 

 

 

2年前、牛田くんのショパンプログラムのリサイタルが始まったとき

 

舟歌も、幻想曲も、バラード4番も

 

私にとっては大曲で難しくて、どう理解していいのか分かりませんでした。

 

 

今だって、ちゃんと正しく理解出来ているわけではきっとないけれど

 

いろんな場所の、いろんなホールで聴いた牛田くんのショパンは

 

今や私にとっては自分の血管の一部のように感じるくらい

 

大切なものとなりました。

 

 

 

「終わらないで」

 

という思いと

 

ずっと感じている言いようのない心地よさ。

 

 

ときどき、墨汁でしたためた書の

 

力強い「はね」のように感じるところがありました。

 

 

 

 

 

 

最後の音の余韻を残したまま幻想ポロネーズへ。

 

 

不思議なんですが、この曲を聴きながら

 

眠いわけでもないのに何度も意識が遠のいて

 

自分の体から心だけがスッと抜けていくような

 

不思議な感覚を体験しました。

 

 

まるで、ショパンに手を引かれ

 

「あの世」と「この世」との狭間を

 

行ったりきたりしているみたい。

 

 

こんなの、初めてです。

 

 

 

牛田くんが最後の一音を奏でた瞬間に

 

「ああ、終わったんだなあ。」

 

と実感しました。

 

 

 

 

ありがとう、牛田くん。

 

お疲れさま、牛田くん。

 

おめでとう、牛田くん。

 

 

10周年記念のリサイタル

 

すべてが無事に開催されて

 

ちゃんと最後まで完走したね。

 

 

見届けられて、本当に嬉しかったです。

 

 

 

 

 

 

 

アンコールの1曲目はコンソレーション。

 

 

白い右手と左手が優雅にクロスする様は

 

音色と同じくらい美しかったです。

 

 

 

 

 

 

この曲の後のトークの内容は

 

だいたいいつもと同じ感じでしたが

 

ショパンが、ワルシャワ蜂起で亡くなった人達を思いながら

 

「人間の最も愚かなる行為は生きることであり、最も素晴らしい行為は死である」

 

という言葉の意味を感じていたのではないか、という話。

 

これは、マルティン・ルターの

 

「最高の芸術とは、人生である」

 

から引用したのであろう、という話もありました。

 

(表現やニュアンスが違うかも。ごめんなさい)

 

 

 

 

 

 

続くアンコールは、「愛の夢」と「献呈」でした。

 

 

この豊かな音楽を聴きながら

 

あたたかな涙と共に

 

自分の中に大きなエネルギーが湧き上がってくるのを感じました。

 

 

 

プログラムが「死」にまつわるものであるならば

 

アンコール曲は「生」と「愛」そのものです。

 

 

 

 

 

コロナの拡大と共に始まった牛田くんのショパンプログラムのリサイタル。

 

結局客席の聴衆からマスクがなくなることはなかったけれど

 

芸術や音楽は、ちゃんと人々に必要とされて

 

私達に癒やしや明日を生きる活力をくれました。

 

 

2年前に川崎で聴いた牛田くんのショパンが

 

コロナ禍に病院で働く私をずっと支えてくれたように

 

今日のこの演奏が

 

きっとこれからの私を支えてくれる。

 

 

そして、牛田くんからもらった活力や喜びを自分だけで留めずに

 

私は、日々私と接する人達にもパワーや幸せを循環していけたらいいな。

 

 

 

 

 

 

3月を無事に乗り越える自信がないくらい

 

忙しくて、いろんなことがあって、疲れ果てていたけれど

 

すっかり癒やされて元気をもらいました。

 

 

 

秋田に来て本当によかった。

 

 

(とはいえ、遠征明けの5連勤キツかったーゲローゲローゲロー

 

 

 

 

 

 

 

 

電車も飛行機も間に合ったので

 

なんとかその日のうちに帰ってくることが出来ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋田のお土産

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牛田くん、リサイタルだけでなくインスタライブも

 

最後まで完走しようと決めてたんでしょうね。

 

 

 

なんと、帰宅してから深夜0時過ぎに始まったインスタライブ。

 

 

演奏会と遠征でお疲れなのに

 

「みんなを待たせてる」と帰路も気が気じゃなかったはず。

 

 

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気の毒なくらいお疲れモードで始まったのに

 

 

音楽の話をしてるうちにどんどん饒舌に、パワーアップしてくこの人🤣

 

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アーカイブも1日残してくれて、とっても嬉しかったし

 

ライブだとコメントに気が行ってしまうので

 

あらためて牛田くんのお話をしっかり聞くことが出来ました(^^)

 

 

めっっちゃ勉強になったー😆

 

 

 

 

ありがう、牛田くんキラキラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日間離れてた間に

 

東京に春が来てました。

 

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最後に。

 

 

 

 

ちょっと私事になりますが

 

 

ブログを始めてから

 

3月26日で、まる8年が経ちました。

 

 

 

 

始める頃は、ひっそり、こっそり、日記をパソコンに打ち込むようなつもりで

 

読者の方が一人ぐらいついてくれてばそれでいいかな、と思ってました。

 

 

 

それが、気が付けばたくさんの方がフォロワーに(T T)

 

 

 

好きなことを書いていたら、いつの間にか牛田くんだらけになってしまったこのブログ(*^.^*)

 

こんなにたくさんの方に読んでいただけるのは、ひとえに牛田くんの人気だと思います。

 

 

 

 

音楽を専門的に学んだことのない私が

 

彼のコンサートレポを書くという愚行について

 

以前から申し訳なさを感じていましたが

 

 

ショパコン以降、フォロワーの方が増え、

 

今回の牛田くんのインスタライブを見るにつけ

 

本当にこのままでいいのだろうかと…あせる

 

 

 

彼のデビュー10周年記念を機に、一旦やめようかな、とも考えました。

 

 

 

 

 

 

が、

 

 

 

 

 

多分これからも書くと思います。

 

 

 

 

(*v.v)。

 

 

 

 

 

ファンにとって一番避けたいのは

 

推しに迷惑をかけてしまうこと。

 

 

知識の浅い独りよがりな私の感想が

 

牛田くんの伝えたい音楽と掛け離れていないか

 

間違った情報を伝えてしまっていないか

 

そんな思いはいつもありますが

 

感じるままに思い描いた風景を綴っていくのもありかな、と。

 


そして、

 

私のブログを通して

 

彼の演奏の魅力や彼自身の魅力を

 

お伝え出来たら嬉しいです照れ

 

 

 

 

 

 

牛田くんのことに限らず

 

 

日常のこと

 

家族のこと

 

仕事のこと

 

今私が感じていること

 

アホな妄想…(///∇//)

 

 

これからもいろんなことを書いていきますので

 

どうぞ皆さま

 

生あたたかい目で見守ってくださいませ。

 

 

m(_ _)m

 

 

 

 

 

 

私のブログを読んで下さる方。

 

コメントやいいねをくださる方。

 

会場で声をかけてくださる方。

 

出会って下さった方。

 

これから出会う方。

 

 

 

本当にありがとうございます。

 

 

 

 

心からの感謝をこめて。

 

 

 

 

 

 

 

芽々

 

 

 

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