皆さまこんにちは。

 

無事浜松国際ピアノコンクールの第一次予選を通過した牛田くん。

 

大丈夫だと分かっていても、結果発表はドキドキでしたね~。

 

小川典子審査員長のネイティブな発音で

 

「ナンバー セブンティーナイン、Tomoharu Ushida」

 

の声を聞いた時の湧き上がる歓喜!キラキラ

 

興奮のあまり夕飯を作るのが遅くなったのは、私だけではありますまい。

 

 

さて、二次審査の牛田くんの演奏は11月15日16:10~16:50

 

この日も早起きして新幹線に乗り、浜松に向かいました。

 

会場のパネル。この前はなかった第一次突破者につけられた赤いリボン。嬉しい!(^^)

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平日だと言うのに、開場30分前に着いた時には既に長蛇の列でした。

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10時半開演。

 

この日の演奏者はなんと全員男性。

 

そのうち半分が日本人です。

 

 

コンテスタント1人の持ち時間は40分。

 

今回はその中に日本人作曲家、佐々木冬彦さんの新作品「SACRIFICE」が必ず入ります。

 

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初めて聴く「SACRIFICE」、いかにも現代曲っぽくて斬新で難解でした。

 

直訳すると「いけにえ、捧げもの」。

 

クリスチャンでもある佐々木さんの「十字架への犠牲」「東日本大震災での犠牲」などへの想いがこめられているそうです。

 

コンテスタント達は、この曲を聴くことなく、何ケ月か前に初めて楽譜を目にして仕上げ行くのですから、それはそれは大変だったことでしょう

 

ショップでこの曲の楽譜が売られていましたが、1~2小節ごとに拍が変わっていたりして、「なに?これ、いじめ?いやがらせ?(笑)」とファン智さんと感嘆しました。

 

牛田くんもインスタで、「1,2,3,4…」と指を折って数えてましたね(多分この曲ですよね)

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(牛田くんインスタより)

 

このSACRIFICE、弾く人によってまるで別な曲を聴いているように解釈や表現が違っていて興味深かったです。

 

ほとんどの人が1曲目か最後にこの曲を持ってきていましたが、間に挟んでいる方もいました。

 

選曲から始まり、曲の順番を決めるにもその人なりの意図がある。コンクールって本当に奥が深いと思います。

 

 

前半の演奏で、私がいいな、と思ったのは50番の務川慧悟さんです。

 

破壊的なメロディで退屈になりがちな、SACRIFICEにも奥行きと物語性を感じ、最後ffで終わり(楽譜ではpp)、フィニッシュポーズと共に立ち上がった瞬間はなんともかっこよかったです。

 

あとは無知な私には知らない曲ばかりで、そんな中に知っている曲が出てきたり、メロディラインの美しい曲が出てくると「いいな、好きだな」と思ったりして、判断するには百年早い感じでした。

 

でも、そんな中でも音の透明度には個人差があることがわかってきました。

 

ただうるさく感じてしまうだけのフォルティッシモもあれば、クリアな音で強く訴えかけてくるフォルティッシモもある。

 

 

お昼の休憩時間、ファン智さん達と浜松名物の浜松餃子を食べました。

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餃子の上に茹でたもやしが乗ってます。

 

福島のリサイタルの時に餃子を食べた時は、サイン会で牛田くんに接近する機会があったので必死になって口にミンティアを放り込んだけど、今回はいいの。遠くからそっと見守るだけだから(*^^*)

 

 

さて、舞台のミニスクリーンに79の番号が映し出され、牛田くんが登場しました。

 

一次の時と同じく黒いタートルに黒いジャケット。手にはブルーのタオル。

 

髪はサイドを自然に流していますが、コンサートの時に比べてナチュラルな印象です(ちょっと伸びた?)

 

柔和な表情で歩を進め、微笑みながら深々と頭を下げました。

 

この時点で会場はすっかり牛田くんの色に。

 

彼は登場するだけで聴衆の心をつかみ、会場の空気を支配する力を持っていると思います。

 

 

この日の彼の演奏曲目は

 

♪ラフマニノフ:ピアノソナタ第2番

 

♪ショパン:バラード1番

 

♪佐々木冬彦:SACRIFICE

 

 

彼が最初に弾いたのはSACRIFICEでした。

 

YAMAHAのピアノの響きはとってもクリアで、

 

でも、人間の力ではどうすることも出来ない自然災害の恐怖、

 

畏れ、怒り、悔恨などの負の部分を躊躇することなく表現していると感じました。

 

そこにはしっかりと牛田くんが作り上げた物語があり、

 

最後には一筋の希望のかけらを見た気がしました。

 

 

続いて演奏したのはショパンのバラード1番。

 

深く深く、ためにためて祈るように、悼むように始まりました。

 

その音色の透明度の高さときたら!

 

キラキラと輝きを放ちホール中に広がる音色。

 

まっすぐで、ひたむきで、何かを背負っているようで、

 

鋭いナイフで胸を切り裂かれ、心臓をえぐり取られるような衝撃と胸の痛みを感じました。

 

いつもはもっとゆっくり弾く中間部は今まで聴いたことがないくらい速く激しく10本の指が鍵盤の上を駆けまわり、

 

下り坂を走り出す幼い我が子をハラハラしながら見守っている母親のような気持ちで聴きました。

 

でも大丈夫。牛田くんは転びませんでした。

 

 

ユニゾンは力強く明確で、すごい気迫を感じ、

 

高速パッセージは何故か涙が出るくらい美しく

 

胸が痛くて 苦しくて 息が出来なくなりそうでした。

 

こんな絶品のバラ1、聴いたことがありません。

 

ああ、牛田くんは、1曲目のSACRIFICEで東日本大震災で犠牲になった人たちの魂を悼み、

 

今は中村紘子先生の魂を悼んでいるのではないか、と思いました。

 

牛田くんの額から、一筋の汗が流れていました。

 

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(Iさん、今回もお写真ありがとう)

 

 

バラード1番を弾き終わると、タオルを手に取り、鍵盤をさらっと拭き、手の汗を拭いて次の曲に入る構えを。

 

滑り落ちるように、そして胸のど真ん中に剛速球を投げ込まれたような衝撃で始まったラフマニノフのピアノ・ソナタ2番。

 

冒頭から心をぐっと掴まれました。

 

バラ1と同じく、牛田くんの演奏で何度も聴いてきたけれど、こんな演奏は初めて!

 

どんな言葉を使っても薄っぺらくなってしまいそうで、とても言葉になりません。

 

そこには、解き放たれたようにひたすらにピアノと向き合う牛田くんがいて、

 

ああ、これこそが彼のピアノなんだ、と思いました。

 

テクニックとか、美しさとかさえも凌駕した、まっすぐに心の奥まで響いてくる演奏。

 

ああ、彼のピアノを世界中の人に聴かせたい。

 

聴かせないともったいない!

 

そう。そのために今、彼はここでこうして闘っているんだ。

 

そう思ったら鼻の奥がつん、として、熱いものがこみあげてきました。

 

牛田くんの本気。

 

浜松で中村先生と出会い、背中を押してもらい、

 

成長した自分の演奏を聴いてほしかったのに叶わなかった無念さが

 

きっと胸の奥にずっとあったのでしょう。

 

まるで中村先生と再び心を通わせるように感謝と慈愛に満ちた演奏でした。

 

 

曲が進むにつれ、希望を宿すようなその演奏は、下を向いていた1羽の白い鳥が

 

ゆっくりと頭を上げ、正面を見据えて翼を広げて飛び立っていく様を連想しました。

 

 

迫力のラストは、現実ではないものを見ているようで

 

まるで魂を奪われたようになり、演奏が終わっても聴衆は呆気に取られたようにすぐには拍手が出来ませんでした。

 

すっかり牛田くんの世界に惹きこまれました。

 

 

ホッとしたように(私のところから表情までは見えませんでしたが)立ち上がり、自分自身に、紘子先生に頷くように

 

こくんと頷いて微笑みを浮かべ

 

19歳のピアニストは立ち上がりました。

 

右手を胸に当てて深々とお辞儀。

 

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ああ、この表情が、このお辞儀が、なんて美しくて人々の心を捉えるのでしょう。

 

彼のステージマナーは天下一品です。

 

単にステージでの場数を踏んでいるからではありません。

 

そこには謙虚で優しい人柄が自然と現れているんだと思います。

 

 

 

牛田くん、本当に素晴らしい演奏をありがとう!

 

きっと中村紘子先生と、心通わせる瞬間がありましたね。

 

よかったね。あの日の悔しさ、きっと晴らせたね!

 

 

 

 

そして皆さま。

 

浜コンのホームページの牛田くんのインタビュー、ご覧になりましたか?

(教えてくれたファン智さん、ありがとう!)

 

→こちら

 

いつかこのリンクが消えてしまうかもしれないので、少々長くなりますがコピペして残しておきたいと思います。

(リンクで読んだ方はスルーしてくださいませ)

 

 

・牛田智大さん(日本)

 

ーリサイタルのような気分で聴くことができるステージでした。

 

 プログラムは、良いものだったかなと思います。1次ではプロコフィエフの7番の「戦争ソナタ」という、悲劇的で神秘的な響きを持つ作品を演奏したので、2次ではラフマニノフのソナタ2番で、叙情性、情熱的な面を見せようと思いました。曲を掘り起こして焼き直すのに思ったより時間がかかったので、倍は準備期間が欲しかったと思っていますが...。最近のリサイタルで弾いているプログラムで挑戦してもよかったのですが、やはり浜松は特別な場所なので、大事な作品を弾きたいと思いました。

 

 

ーどんな想いのある選曲なのでしょうか?

 

 僕にとって、浜松といえば中村紘子先生です。中村先生に初めて演奏を聴いてもらったのも、最後に聴いてもらったのも浜松でしたから、中村先生に捧げるプログラムにしたいと思いました。1次と2次で弾いたプロコフィエフとラフマニノフのソナタは、最後に聴いていただいた(浜松国際ピアノアカデミー20周年記念の)リサイタルのプログラム、そして3次のシューベルトの即興曲Op.90−3は、初めてレッスンしていただいた曲です。そこに、人生を描写するようなリストのソナタを並べることで、中村先生の人生を表現してみたいと思いました。

 ファイナルで選んでいるラフマニノフの協奏曲2番は、「あなたはきっとうまく弾けるだろうからいつか聴いてみたい」と中村先生に言われていて、結局叶わなかった曲です。ファイナルに残ることができたら、演奏したいです。中村先生には、ピアニストとして道を踏み外さないよう、ここまで連れてきていただいたと思います。厳しい指導をうけたこともありますが、今こうして演奏できているのは先生のおかげです。

 

ーラフマニノフのソナタは、どんなことを思って演奏されたのでしょう。

 

 ラフマニノフの作品は、人間の美しい部分を表現していると感じます。理想を追い求めるような音楽に惹かれ、また広大さを表現することが大切なので、この作品を通してその表現を学びたいと思いました。プロコフィエフは、ラフマニノフと対照的な作曲家です。人間の闇の部分も音楽に込める人でした。

 

 

ーその二人の作曲家では、はどちらに共感するのでしょうか。

 

 プロコフィエフですね。ラフマニノフはすばらしいけれど、完璧すぎて闇をみせてくれないというか、作曲家と演奏家の間に一定の距離感があると思います。それに対してプロコフィエフは、もう少し人間味、温かみがあるように思うのです。

 

 

ー「SACRIFICE」は、日本人ピアニスト、また(福島生まれの)牛田さんにとっては意味のある作品かと思いますが。

 

 そうですね。強いメッセージ性を持ち、音は多くないけれど、一つ一つの音に深い内容がこめられた作品です。この曲の意味があまりに大きいので、他のプログラムを選ぶのには悩みました。そこで、いわば十字架を意味するようなこの作品のあとに、同じようなテーマ性を持ち、お互い作品同士を殺さないショパンのバラード1番を置きました。そうして、悲劇的な音楽から、やがて復活していくようなプログラムの流れを作りました。

 テーマのメロディがとても美しい作品です。バッハの「マタイ受難曲」では、悲劇的で深刻な音楽の後に、心が洗われるような児童合唱の美しく純粋なメロディが流れます。この曲では、そのメロディに短3度という苦しみを伴った悲劇的な和音が重なります。初めて曲を見たとき、東日本大震災で、子供たちが歩いているところを津波が飲み込んでいくという悲劇的な光景が浮かびました。悲劇に真正面から立ち向かって行くような作品だと思いました。

 

ー3次では、リストのロ短調ソナタが楽しみです。

 

 うん、大丈夫です、弾かないから(笑)。

 

 

ー何を言ってるんですか、弾きますよ! 聴きどころをお願いします。

 

 リストのソナタは、偉大で崇高で、人生そのものを描いたような美しい作品です。リストがこの長大な作品を作曲した経緯、当時の感情に共感するものがあります。ファウスト交響曲からテーマをとるなど、標題音楽としての要素がたくさんあるのに、あえて絶対音楽としてこの曲を発表したリストの野心、承認欲求のようなものを感じます。全てをかけて書いた音楽に共感して、この舞台で弾いてみたいと思いました。正直言うと、先生たちには止められたんです。でも、これまでピアニストとして活動してきた今挑戦する初めての国際コンクールですから、気持ちを引き締めるためにも、この曲を勉強しておきたいという気持ちがすごくありました。

 

 

ーコンサートとコンクールで、気分は違いますか?

 

 わりと別ものですね。コンクールのほうが、素でいられる気がします。コンサートでは主役がお客さまで、そこに仕えるという意識があるのですが、コンクールでは、常に自分がどう弾きたいか、アイデンティティをそのまま出すことが求められます。僕の中で、コンサートは三角形...作曲家と聴衆と自分との関係で成り立っていますが、コンクールのための準備では、作曲家と自分という一対一の関係の中で音楽に向き合ってきました。結果はもちろんわかりませんが、このコンクールまでの数ヶ月間が、自分自身の音楽にとってかけがえのない恩恵をもたらしてくれるし、成長させてくれると感じています。そんな挑戦を、最高の環境の中、最高の聴衆の前でできて、とてもよかったです。

 

 

ーすでに演奏活動をされているので、多くのファンの方が応援しているでしょう?

 

 普段からコンサートを聴いてくださる熱心なファンの方には、感謝しています。そのおかげで、僕は中学、高校という難しい時期を音楽とともに生きてくることができました。今後も妥協したまま進むことなく、そんなみなさんに最高の音楽を届けたいという想いがあります。今応援してくださっているファンのみなさんを、ちゃんとした実力を持った優れた音楽家のファンにしてあげなくてはという気持ちが強いですね。

 

 

 

モー!モー!言葉になりません!泣き3泣き3泣き3

 

なんて知的で人間性の深さをうかがわせる受け答え!

 

なんて音楽に深い造詣を持って、深く追求しているのでしょう。

 

牛田くんの思ったそのままに、牛田くんの演奏、ちゃんと感じ取ることが出来ました!

 

彼は伝えたいことをちゃんと伝えられるピアニストです。

 

 

ぴろ子先生への深い感謝の想い。

 

決しておごらない謙虚さ。

 

「コンサートは主役がお客様で、そこに仕えるという意識がある」

 

そんな、そんな思いでいてくれたなんて!

 

 

そして、最後のファンへの想い。

 

読みましたか?!

よみましたかーーーっ?!?!?!(←しつこい)

 

 

ファンのおかげで、中学、高校という難しい時期を音楽とともに生きてくることが出来たと泣き3

 

「今応援してくださっているファンのみなさんを、ちゃんとした実力を持った優れた音楽家のファンにしてあげなくてはという気持ちが強いですね。」と!泣き3泣き3泣き3

 

牛田くん、うしだくーーーん!

 

そんな気持ちで、そんなふうに私達ファンのことを想ってくれてたなんて!!!

 

もう、泣けて仕方ないです。

 

ありがとう!ありがとう!ありがとう!

 

私達、あなたを応援し続けていいんですね?

 

迷惑じゃないんですね?

 

ああ、そして私達ファンの存在が、あなたの中高時代を支えていたなんて、なんて、なんて嬉しいことを言ってくれるんでしょう涙目

 

牛田くんのファンでよかった。牛田くんのピアノに出会えてよかった!

 

牛田くん、私達ファンは、すでに優れた人間性の、優れた音楽家のファンですよ!

 

たくさんの、たくさんのプレゼントをありがとう。

 

ファンとして、あなたに恥ずかしくない一人の人間でいたいと強く、強く思います。

 

 

 

第2次審査、牛田くんが突破せずして一体誰が突破するのよ!?

 

リストのソナタ楽しみにしてますよーっ。

 

 

 

あのう…。

 

我慢できないんで、久々に叫ばせていただいてもいいでしょうか?照れる

 

 

行きます!(スーーッ)

 

 

牛田くんが好きだあ!

大好きだあぁぁぁっ!!!