秋の夕方、外を歩くとほんのり漂ってくるこの香り。
金木犀…?
少し土の匂いが混ざったような植物が発する秋色の香りを胸いっぱいに吸い込みながら、
ああ、牛田くんは こんな素敵な季節に生まれたのだなあ、としみじみ思いました。
牛田くんが18歳のお誕生日を迎える10月。
初日の1日に、新しいプログラムを引っ提げて、彼のリサイタルツアーが幕を開けました。
牛田智大 ピアノ・リサイタル
2017年10月1日(日)14:00~
ホクト文化ホール(長野)
この日、私は緊張と興奮で、間違えて1時間半も早く家を出てしまいました(〃∇〃)
新幹線の座席ポケットには、前日牛田くんがfacebookで紹介してくれたお土産物等の車内誌が。
ああ、牛田くんもこの車内誌のページをめくり、
車窓から同じ景色を眺めていたのね。
まるで、牛田くんを追いかけていく愛の逃避行(///∇//) ナンツッテー
長野に着きました。
お昼はやっぱり信州そばでしょ。
(↑一番シンプルなやつ)
などと、時間もないくせに食に走っていたら、結局開演ギリギリに会場に着くことに。
ホクトホールに来るのは、2014年の3月のリサイタル以来。
あの時の牛田くんはまだ中学2年生で、ロシア曲の小品をたくさん披露してくれました。
その時のサイン会の様子
写真撮影も今のように禁止ではなかったのですね。
まだあどけなさが残る少年ピアニストですね。
(友人の通称グッジョブ撮影)
私はこの時、牛田くんのコンサートは3回目。サイン会は初めてでした。
自分の順番が来たら、目の前にいるのは本物の牛田くん!(当たり前だけど)
写真撮影どころか嬉しさと緊張で固まってしまい、サインが終わっても魔法で石にされたかのように動けなくなり、
スタッフに「止まってないで動いてください」と注意されました![]()
しかも、スピーカーで![]()
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さて、会場でもらったプログラムを開いてびっくり!
チラシにあったように、シャコンヌが一番最後かと思いきや(確かに牛田くんがFBで『前半はバッハでショパンをはさんだ』と言ってたけど)、前半で24の前奏曲を弾き、その直後にシャコンヌ!
そして、トリを飾るのは大好きな英ポロ!
謎のヴェールに包まれていた練習曲は、Op.25より第5番(勉強不足によりよく知らない)と、黒鍵のエチュード!
うわあ、こう来たかあ!
(↑こう書くと、素人の私もなんか音楽ツウっぽい( ´艸`) )
開演時間になり、ピアニストの登場を待つ会場にはぴんと張りつめた空気が。
私もいつも以上に心臓のバクバクが止まりません。
舞台中央よりやや右寄りに置かれたピアノはスタンウェイ。
一瞬舞台上の照明が明るくなり、とうとう登場しました。
この日の牛田くんは、ジャケットにノータイ。
手にはブルーのタオルと小さな使い捨てカイロ。
髪を切ったばかりなのでしょうか。かなり短く、いつもは後ろに流しているサイドの髪も今日はまっすぐ下におりていて、耳が全部出ていました。
やや緊張した面持ちで挨拶すると、ピアノの前に座り、わりとすぐに弾き始めました。
バッハの平均律クラヴィーア。
牛田くんの指が鍵盤に触れ、音を生み出した瞬間、会場の空気が浄化され、どこか神聖な場所にいるような気分になりました。
実はこの日、隣の大ホールで倖田來未のコンサートが開催されていて、会場の周りは独特のファッションに身を包んだ若者たちで溢れかえっていたんです。
だから、牛田くんのコンサートに来たにしては違和感のある雰囲気で、その空気を引きずっていたのですが、一気に侵しがたい神聖な牛田ワールドに弾き込まれました。
私の席からは指が良く見えましたが、白く長い指が鍵盤の上で細かく動き、その周りで小さな蝶が2羽、嬉しそうにひらひらと待っている様子が浮かんできました。
雑然と散らかった本を、一冊ずつ順序良く本棚に並べていくように、頭の中がスッキリと整理され、感覚が研ぎ澄まされていくのを感じました。
弾き終わると一度袖に入り、またピアノの前に座ります。
ショパンの24の前奏曲。
24のプレリュードとフーガからなるという平均律クラヴィーアとの関連付けが面白く、心憎いと思いました。
この曲はいろんな人の演奏を聴いて予習してきました。
うわ!牛田くん色だ!
他の誰の演奏よりも彩豊かで華やかで、音がたくさんあるように感じました。
十分にピアノが歌ってる。
2曲目は1曲目と打って変わって渋い表情に。
鍵盤に顔を近づけて、ほとんど目をつぶっています。
牛田くんが痛みをこらえるような苦悩の表情で演奏するとき、私ついついウミガメの産卵を思い出してしまうんです。
涙を流しながら、命がけで卵を産むウミガメ。
身を削るようにして音色を生み出す牛田くん。
前奏曲は次々とその表情を変えていきます。
全く違うタイプの曲を続けざまに演奏するのに、どうやって気持ちを切り替えているのでしょう。
すべてがショパンで、でも、すべての曲が色を持ち、1曲1曲にしっかり入り込んでいる牛田くんの演奏はものすごい集中力で、聴いてるこちらも息が出来ないほどでした。
2曲目か3曲目のはじめに、演奏しながらゴホン、と咳をしました。
素人の私が知っているのは、「雨だれ」と胃腸薬のCMの曲ぐらいでしたが、優しく繊細な曲、激しい葛藤を感じる曲、哀し気な曲、楽しく戯れているような曲…。
休む間もなく次々と演奏していきます。
まるでものすごく読書に熱中して物語の中に入り込み、無心に本の頁をめくる青年のように。
もう完全に牛田智大の世界です。
いろんな曲を操る、まるで音の魔術師。
少しでも動くと、この世界観を壊してしまいそうで、身じろぎひとつ出来ないような緊迫した空気。
ん…。聴いている私も相当肩に力が入っていたのでしょう。
なんか肩が凝ってきました(^o^;)
そして、すごいものを目の当たりにしているという衝撃に、心臓のバクバクは大きくなるばかり。
もう魂持ってかれて、まだ前半なのに既にヌケガラ状態です。
最後の24番。激しくほとばしる情熱。
ラスト、楔を打ち込むように低音を深く強く響かせて・・・なんとそのままシャコンヌに突入!
ええーっ!?
確かに、24番とシャコンヌは曲調やイメージが共通しています。
だからこそ、メドレーのように彼はこの2曲をつなげるように弾いたのでしょうか。
もう最初からぶちかまされて、打ちのめされて、振り回されて、すっかり魂抜き取られた感じ。
ピアノを聴いてるのになぜか息も絶え絶え…。
久しぶりに聴いたシャコンヌは、今まで粗削りだった演奏にヤスリをかけたかのように、とても洗練された音色だと感じました。
牛田くんの命を削るような演奏に、涙腺が緩み、目頭が熱くなりました。
牛田くんのシャコンヌを聴くと、いつも思うんです。
ああ、自分は生かされてるんだ、って。
全身全霊の演奏が終わり、しばし静寂に包まれる会場。
あまりの迫力に呆気に取られて動けない。そんな感じでした。
やがて広がる拍手の渦。
牛田くんは、立ち上がると、少しホッとしたような表情で、深々と挨拶しました。
拍手を贈りながら、思わず隣の高齢の男性と顔を見合わせてしまいました。
すごかったですね!って、どちらからともなく、大きく肩でため息をついて笑い合いました。
彼はすごいね。どんどんすごくなってるね。とどまるところを知らないね、って。
この方、牛田くんが12歳の時から、ずっと彼の演奏を聴き続けているそうです。
私達より上の世代の方達が、こんなふうに彼の成長を見守り、楽しみにしていることが嬉しかったです。
そしてなぜかふと、中村紘子先生のことを思い出しました。
ああ、ぴろ子先生にも、この牛田くんの演奏聴いてほしかったな。
でも、きっと牛田くんのピアノ、先生のところまで届いていたと思います。
とにかく、すごい前半でした。
座って聴いてただけなのに、すっかり体力を消耗した私。
これでもか、これでもか、とジャブを喰らった感じです。
牛田くんのお疲れはいかばかりか…。
と、ここまで書いて、Yahoo!で「ショパン」と打ち込んだら、こんな画面が出てきました。
170㎝、40㎏!
174㎝、56㎏の牛田くんもかなり痩せてるなあと思ってたけど、
ショパンって痩せてたんですねえ!
さて、後半 舞台に登場した牛田くん。
椅子に座ると、「あー、肩凝った。」とでも言うように、
右手で左肩を、左肩で右肩を抑えて首を少し倒しました。
まるでデスクワークの残業で疲れたサラリーマン(笑)
聴いてる私でさえ肩凝ったんですから、無理もないでしょう。
1曲目の夜想曲17番。
前々日に「そうだ!予習しなきゃ!」と思いついて、慌てていろんな人の演奏を聴いたこの曲。
甘やかでせつなくて懐の深いメロディにすっかり魅了されました。
部屋のカーテンをゆっくり開けて、初秋の柔らかな光を取り込むような牛田くんの演奏。
目をつぶってゆっくり堪能させてもらいました。
曲が終わっても、なぜかその世界観を壊すのが怖くて、拍手をすることが出来ませんでした。
結局牛田くんは、後半一度も立ち上がらずに、一気に駆け抜けるように全曲を通して弾きました。
ソナタのあとは、さすがに少し拍手が起こったのですが、すでに牛田くんはバラードを弾き始めていました。
エチュードのOp.25より第5番は、私にとって、「初めまして。」な曲でした(^_^;) 勉強します
黒鍵のエチュードは、牛田くんの演奏で聴けてとても嬉しかったです。
ちょっとお行儀のいい印象かな。
ピアノ・ソナタ第2番。
牛田くんがこの曲を弾くと知ってから聴くようになりましたが、「葬送行進曲」のイメージが大きく変わりました。
いわゆる「葬送行進曲」のあの有名なフレーズのあとに登場する優美なメロディ。
FBでは夏休みのワルシャワで過ごした日々を振り返る動画に使われてましたが、そんなふうにちょっと郷愁を誘いますね。
第4楽章、牛田くんの指は、まるで鍵盤の上で蠢く二匹の蜘蛛のようでした。
美し過ぎる蜘蛛ですけど。
バラード一番。
なんていうのか…アクが抜けた感じ?
リサイタル初日という事もあるのか、素人の私が言うのも生意気ですが、全体的に楽譜に忠実に、丁寧に演奏しているという印象でした。
ショパンの故郷ワルシャワで学び、よりショパンの心情に寄り添った上での演奏だったのでしょうか。
1曲ずつ丹念に曲と向き合ってきた様子がうかがえました。
ラストの「英雄ポロネーズ」におかれましては…
(≧∇≦)(≧∇≦)(≧∇≦)
もう、なんと言っても私の大好物ですので、
イキのいい、ピッチピチの牛田くんの男前な英ポロが聴けて、感無量でございました![]()
駆け抜けるように弾き続けた後半。
時間の経つのがなんと早く感じたことか。
牛田くん、立ち上がって挨拶をすると、早々に片手を上げて、バイバイと手を振りながら舞台袖に消えていきました。
こんなすごい演奏を聴いた後で、聴衆がおとなしく引き下がるはずがありません。
一向にやまない拍手に、再度姿を見せましたが、挨拶のみ。
次に出てきたときは、ピアノから離れた場所で やはり挨拶のみ。
それでもやまない拍手。
観念したのか(笑)、弾いてくれたのは、情緒たっぷりの「トロイメライ」でした。
ゆっくり ゆっくり 優しく 優しく
眠ってる赤ちゃんを起こさないように
優しく毛布を掛けなおしてあげるように…。
そして、最後は牛田スマイルを見せて、バイバイと片手をひらひら振って舞台袖に消えていきました。
今日の演奏会、言葉にするなら、前半が「衝撃」、後半が「安定」でしょうか。
前半でこれだけ打ちのめし、そのあとで優しく手を差し伸べてくるって…
…ん?なんかデジャヴを感じるわ。
そうそう。4年前、初めて牛田くんのリサイタルに行ったとき。
可愛い見た目とは裏腹に、非常にレベルの高い演奏でワタシを千尋の谷に突き落とし、
そのあとアンコールの「アヴェ・マリア」で、聖母の如く手を差し伸べてくれたあの時の感じ…。
さて、今日初ウシダだったお客様。何人がこの小悪魔トモハルの手にオチたことでしょうか。
↑可愛すぎる小悪魔
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚
今回はサイン会がありましたo(^▽^)o
かなり長蛇の列でしたよ。
牛田くんのいで立ちは、白いTシャツにチノパン、首には磁気ネックレスをつけて黒のダッフルコートを羽織ってました。
言いたいこと、伝えたいことはたくさんあったけど、
胸がいっぱいで、素晴らしかったと伝えるのがやっとでした。
そして、みなさま!ニュースですよ!
なんと、今回から 牛田くんのサインが変わったんです!
ほら!牛さんじゃないんです!
大人なサインになりましたよ。
個人的には、牛さんじゃなくなっちゃうの、ちょっと寂しいなあ。。。
5ケ月ぶりのリサイタル。
新しいプログラムの演奏。
ご本人も「緊張しました」とFBで言っていた通り、
きっとものすごいプレッシャーだったと思います。
ワルシャワでたくさんのピアニスト達の演奏を聴き、レッスンを受けて、
それを自分の音楽にどう取り込むのか、それが結果どんな音楽になるのか、
未知なだけに不安な部分もあったでしょう。
私は、この日、前半が終わって、思わず見ず知らずの隣の方と感嘆のあまり頷き合った
あの瞬間がすべてを物語っていると思います。
牛田くんは本当にすごい。
常に前進し続けてる。
ご自身の身体的な成長以上に、音楽が成長し続けている。
そして、いつだって最高の音楽を届けてくれるために全力を尽くしてくれる。
だからまた聴きたくなるんです。
ツアーはまだ始まったばかり。
牛田くんが試行錯誤しつつ、どんな発見をして、何を見直して、どんな風に変わっていくのか。
ほら、初日って、床屋に行ったその日の頭みたいに、まだ馴染まない部分があると思うんですよね。
(私が行くのは美容院ですけど(*^.^*) )
1週間、2週間とたつうちにしっくりしてくる。
だからこれから、牛田くんの演奏も少なからず変わっていくと思うんです。
私なんぞにその違いが分かるかどうかわかりませんが(^_^;)
楽しみにしています。
次は高知、そして秋川(東京)ですね。
季節の変わり目、長距離移動、どうぞ無理のないように。
そして、何よりも、牛田くん自身が楽しいと感じる実り多きツアーでありますように。
牛田くん、素敵な演奏をどうもありがとう!







