牛田くんのfacebookで、6月27日習志野文化会館にて クローズドコンサートでラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を演奏すると知ってモーうしびっくり!

 

だって、だって、ラフマニノフピアノ協奏曲第3番って、超大曲の超難曲で、世界で1番難しい曲って聞いたことがあるんだもの!

 

私の大好きな映画『シャイン』の中で、たしかそんなセリフがあったもの。

 

すぐさま図書館からアシュケナージの演奏するラフマニノフピアノ協奏曲3番を借りて来てスマホに落とし込み、通勤時や家事をしながら鬼リピの毎日。

 

聴けば聴くほどに、こんなに魅力的な曲だったのか…と惹きこまれていく。

 

 

そして、いてもたってもいられず、またもや借りてきてしまった。

 

 

元々クラシック(というか牛田くん)が好きになる前からこの映画が大好きで、2回ほどDVDを借りて観たことがあります。

 

2013年9月に牛田くんとの運命の出会いを果たし(一方的にな)、今一度観てみたくなり、また借りて観たこのDVD。

 

今回これで4回目。

 

この作品、日本では1997年に公開されたオーストラリアの映画。

 

実在のピアニスト、デヴィッド・ヘルフゴットをモデルに描かれています。

 

↓実際のデヴィット・ヘルフゴット

 

 

この映画の中の演奏部分の手の映像は、すべてヘルフゴット本人のもの。

 

14歳までピアノを習っていたという主演のジェフリー・ラッシュは、この映画のために数十年ぶりにピアノの練習を再開し、アカデミー賞主演男優賞はじめ、数々の賞を総ナメにしました。

 

そして、この映画は『ラフマニノフピアノ協奏曲第3番』と共に存在しています。

 

 

ざくっとあらすじを説明しようと思いますので、

 

これから初めてこのDVDを観ようと思ってるのでネタバレイヤだわ、という方、

 

印まですっとばしてください。

 

 

 

ピアノの才能を持つデヴィッド。

 

音楽を諦めた過去があり、過剰に息子に期待する支配的な父。

 

ラフマニノフピアノ協奏曲第3番に強いこだわりがあり、レコードでこの曲を聴き、

 

ピアノで冒頭の旋律を弾く少年デヴィッドを嬉しそうに抱きしめます。

 

「ラフマニノフピアノ協奏曲3番を弾いてくれ。世界一難しい曲だ。みんなに自慢できる。」

 

自分の夢を息子に押しつける父親と、そんな父親の期待に懸命に応えようとする息子。

 

デヴィットの才能を見出し、ピアノを教えたいと申し出た音楽教師を一度ははねつけるものの、「ラフマニノフを教えてやってくれ。」と息子を託します。

 

「子供にあんな情熱的な曲は無理。まずはモーツァルトから。」ということで、音楽教師の教えを受け、めきめき才能を開花させるデヴィット。

 

数々のコンクールで入賞し、地元でも有名な少年になります。

 

アメリカの音楽学校から留学の招待を受け、ホームステイ先も決まり希望に胸を膨らせるデヴィット。

 

けれど我が子を自分の手元に置いておきたい一心で「束縛」を「愛」という言葉にすり替えて、アメリカ行きを断念させ、息子のチャンスを奪ってしまう父。

 

まるで翼をもぎ取られたような状態のデイヴィット。

 

そんな時、彼のなぐさめになったのは、パーティーで知り合った老年の女流作家でした。

 

息苦しさから逃れ、深呼吸をしに行くように彼女の家を訪れ、誰も弾かなくなったピアノを演奏するデヴィッド。

そして、デヴィッドに物語を語ってあげる女流作家。

 

「あなたのピアノは言葉に出来ないことを完全に表現している。」

 

年の離れた二人の友情はとても美しく柔らかで、それぞれに自分の持っているものを与え合い、補い合い、癒し、勇気づけ合う素晴らしい関係だと思いました。

 

やがてロンドンの王立音楽学校に奨学金で入学できることになり、女流作家にも背中を押され、「勘当する」という父に背き、ロンドンへ旅立ったデヴィット。

 

風に飛ばされた楽譜を拾い集めるデヴィットの姿を 窓の中から教授たちが眺めながら

「彼の手は実に素晴らしい。体はあんなに華奢なのに大きな手だ。」

と話している場面を見て、思わず牛田くんの手を思い出しました。

某マエストロにも「俺の手と交換しろ。」と言われたほどの牛田くんの手。

ピアノを弾くのに向いている手って、やっぱりあるんですね。

牛田くんの手、大好きラブラブ(〃∇〃)

 

 

話を戻します。

 

教授の元で研鑽を積み、更に腕を上げ、コンクール全国大会の最終選考まで残ったデヴィットが選んだ曲は、もちろんラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。

 

その難し過ぎる選曲に「第3番は大曲だ。正気の沙汰じゃない。」と難色を示す教授。

 

「では、正気でなければいいのですね。」と答えるデヴィッド。

 

そして、まさに狂ったように全身全霊でこの曲に挑みます。

 

女流作家にプレゼントされた赤い手袋の指先部分をハサミで切り落とした瞬間が、覚悟を決めた彼の決意を象徴しているようでとても印象的でした

 

寒さに耐えながら、赤い手袋をはめて、デヴィッドは猛練習を続けます。

 

「目隠しをして弾け!」

 

「片手に10本の指があるつもりで弾け!」

 

恩師のその言葉通りに毎日毎日ラフマニノフと向き合います。

 

「素晴らしい演奏をした記憶は永遠に残る。明日はないと思って弾け。」

 

過去に脳溢血で片手が動かなくなった教授もまた、自分の夢をデヴィッドに託します。

 

 

最終選考当日、渾身の演奏で聴衆の心を鷲掴みにし、全員総立ち、ブラボーの嵐で拍手を受けるデヴィット。

 

オーストラリアの自宅では、そのコンクールのラジオ放送を、1人父親が聴いていました。

 

父親の頬を静かに伝う一筋の涙。

 

しかし、演奏を終えて立ち上がったデヴィットは、緊張の糸が突然ぷつっと切れたかのように、舞台の上で突然倒れ込んでしまいます。

 

 

 

それほどまでに魂を、自分のすべてを注ぎ込んだのでしょう。

 

 

身も心も疲れ果て、我が家に帰ろうとするデヴィットを、父親は受け入れませんでした。

 

 

精神を病んでしまったデヴィットは何年も施設で暮らします。

 

ある日ダンスを踊る入所者のためにピアノを弾いていた女性の譜めくりを気まぐれに手伝ったデヴィット。デヴィットに名前を尋ねる女性。

「あなた、あのデヴィット・ヘルフゴットなの!?」

かつて彼女はデヴィットのファンだったのです。

 

女性に身元を引き取られ、彼女と暮らすようになったデヴィット。

 

けれど、子供のように自由奔放で、すぐ裸になり、家中を散らかしてしまうデヴィットに手がかかり、彼女はデヴィッドを他の人に託します。

 

皮肉なことに、精神を病んでからのデヴィットは、それまでとは別人のように無邪気で天真爛漫。

でも時々、子供の頃父親が繰り返していた言葉をうわ言のように一人で何度も繰り返します。

 

きっと本来はこんな子供らしい部分も持っていた少年だったのでしょう。

 

けれど父親に支配され、「お前のためなんだ」「これが愛情なんだ」とすりこまれることにより、父の期待に応えること、おとなしく言うことをきくことが自分の存在価値だと思うようになってしまったのでしょう。

 

そして、そんな風にしか愛することが出来ず、押さえつけることが愛情だとはき違えていた父親。

傷つき疲れ果てて帰ってきた息子を、許すことの出来なかった父親。

きっと本当は自分でも、そのあやまちに気づいていたと思うんです。

けれども強くてなんでもできる父親でありたい彼は、そんな愛し方しかできなかった。

そんな彼が哀しくて痛々しく、胸が痛くなりました。

(メガネで頭頂ハゲてて、ちょっとサザエさんの波平みたいなの)

 

確か、「ブラック・スワン」では、母親と娘の関係が同じような感じだったと記憶しています。

我が子を自分の所有物のように思い込み、本当は自分のためでありながら「あなたのため」というすりこみをしてしまうと、傷ついた子供の心は大人になってからもなかなか癒えることがない。

これ、親として非常に考えさせられました。

 

 

さて、新しい身元引受人のところでも、ピアノを弾くことを禁じられたデヴィットは、雨の中をさまよい、明かりのついているレストランに飛び込みます。

 

最初は怪しい浮浪者か何かだと相手にしなかった店の人たち。

 

しかし、彼が煙草をくわえたまま店のピアノの前に座り、突然弾き始めた『くまんばちの飛行』を聴いた途端、店中の人がくぎ付けに。

 

この名シーン、鳥肌モンです。

そして拍手喝采。

(これ見てて、煙草の灰が鍵盤にかかって白い鍵盤を焦がしてしまわないか気が気じゃなかった。そして、柄シャツの男がなぜかトランプ氏に見えてしまう)

 

かつての天才少年デヴィット・ヘルフゴットが今やレストランでピアノを弾いている。

 

そんなニュースが新聞に載り、デヴィットの父の目にも入ります。

 

デヴィットの暮らす家に会いに来た父。

 

ちょうど冷蔵庫から缶詰を出して開けようとしていたデヴィットは、父の姿を見て、また自分が何かをやらかしたのかと一瞬怯えます。

 

どれ、貸してみろ、と缶詰を開けて見せ、自分は今でも変わらず万能であることを見せつけ、そして愛しているとデヴィットを抱きしめる父。

 

 

やがてデヴィットはレストランに来ていた一人の女性と知り合います。

星占いの先生でもあり、婚約者もいる立派な女性。

 

デヴィットは出会ったばかりの彼女にプロポーズ。

そしてなぜか二人は結婚!

 

 

彼の純粋な魂が、彼女の心を捉えたのでしょう。

まるで手のかかる子供以下のような中年男と結婚を決めた彼女。

相当な太っ腹です。

 

でもわかる。

全身で喜びを表し、

音楽を、出会った人たち一人一人を、純粋に愛してやまない

こんな彼を見たら 誰も愛さずにいられないと思うの。

 

やがて彼女の力添えもあり、デヴィットは何十年ぶりかで演奏会を行います。

残念ながらそこには既に他界した父の姿はありませんでした。

 

演奏を終え、万雷の拍手に感無量で涙を流すデヴィット。

 

思わず見ている私も胸が熱くなり、涙がボロボロと溢れてきました。

 

 

 

Shine(シャイン)。

人生の輝き。

紆余曲折あって

辿り着いた今の場所。

例え社会的な常識や名誉から

少しそれてしまったとしても

人を愛し 音楽を愛し

心のままに生きている

この主人公の人生は

光り輝いている。

 

 

 

この映画の中には素敵なピアノ曲がたくさん登場します。

 

デヴィットが子供の頃地元のコンクールで演奏するショパンの英雄ポロネーズ。

 

幾度となく登場する「雨だれ」。

 

教授の下で練習する「ラ・カンパネラ」。

 

そして、常に彼の人生と共にあり続けた「ラフマニノフピアノ協奏曲第3番」。

 

 

大切なものは何か。

愛することとは何か。

「幸せ」って、定義があるわけじゃない。

自分が「これでいいんだ。」って思えたら

それでいいんだ。

間違ってないんだ。

 

美しいピアノの音色と優しい人々。

抜けるような青空の中で、子供のようにトランポリンで飛び跳ねる主人公を見て

気持ちがゆったりと落ち着いてくる。

じんわりと幸せになる。

そんな映画です。

 

 

ネタバレイヤ組のみなさ~ん!

お待たせしました。 こっちですよ~\(^_^)/

 

 

さて、ラフマニノフピアノ協奏曲第3番。

 

「お手本」と言われるアシュケナージの演奏でどうぞ。

 

アシュケナージはこの曲を4回にわたり収録しているそう。

こちらは1963年に収録されたものですが、

私が図書館から借りてきた1985年のものと比べると かなりテンポがゆっくりに感じます。

 

 

映画の中で 奏者が神経衰弱になってしまうほどのすごい曲(このくらいはバラしてもいい?)。

 

それをたった17歳で披露する牛田くん。

 

 

この映画が作られた時、まだこの世に生まれてもいなかったんですね。

 

ああ、そしてつくづく思います。

 

牛田くんがご両親に愛情いっぱいに育てられ、

 

自分の意志を尊重され、

 

その翼を自由に広げて羽ばたけることを

 

あらためてご両親と神様に感謝したいキラキラ

 

 

 

まだ幼いデヴィットが 第一楽章の旋律を一生懸命鍵盤の上でたどったように

 

牛田くんもきっと幼いころから小さな指でこのメロディをたどり、

 

この曲に憧れ続け、何度も聴き続け

 

そしてとうとうこの曲を披露する時がきたのですね。

 

 

デヴィットが舞台でこの曲を弾いたのは20歳くらい?

 

じゃ、10歳でデビューしたキーシンは?

 

調べてみたらラフマP3のCDを出したのは2012年で割と最近(演奏自体はもっと前からしていたかもしれませんが)

 

もしかして、牛田くん、世界最年少でこの曲を演奏するのではないでしょうか?

(詳しくないので違ってたらごめんなさい)

 

デヴィットが全身全霊でこの曲と向き合ったように

 

今頃牛田くんも全身全霊で、きっと寝る間も惜しんでこの難曲に取り組んでいることと思います。

 

 

歴史に残る「その日」まであと9日…。

 

 

悩んだり、苦しんだり、もどかしかったり、

 

壁にぶち当たったりしてるかもしれない。

 

ああ、もっともっと時間があれば、と焦ってるかもしれない。

 

 

でも努力を続ける人に、音楽の神様はきっと微笑みます。

 

 

何も出来ませんが、大きな大きな挑戦をする牛田くんの輝かしい未来に

 

精いっぱいのエールを送ります。

 

大丈夫。

牛田くんなら出来る!