日曜日、牛田くんのリサイタルに奈良まで行ってきました。

 

2016年11月27日(日)15:00~

牛田智大ピアノリサイタル

奈良県橿原文化会館小ホール

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この日、東京の自宅を出る頃はくもりでしたが、新幹線に乗っていると名古屋を過ぎたあたりから窓に雨の筋が。

 

京都で降りて近鉄線に乗り換え。

近鉄京都駅にも何故かせんと君が。

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特急電車に揺られているうちに、ウトウト…。

乗り過ごさなくてよかったー(^_^;)

結構ギリギリに会場に到着しました。

 

駅からすぐの橿原文化会館。

小ホールは300席。

 

牛田くんがFBで言っていたとおり、舞台と客席がかなり近い。

その分、ピアノが舞台の奥寄りに設置されていました。

 

会場もピアノも、かなり年季が入った印象。

今日のピアノはヤマハC7。

見慣れたスタンウェイよりかなり短く見えました。

 

せんくらやお誕生日のイベントを除いて、牛田くんのソロ・リサイタルは5月の秦野以来。

客席に座ると緊張感が高まります。

 

 

この日のプログラム。

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♪ ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 Op.110

 

♪ ショパン:4つのマズルカより Op.33-1,2

 

♪ ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66

 

♪ バッハ/ブゾーニ:シャコンヌ ニ短調

 

                              ~ 休憩 ~

 

♪ チャイコフスキー/プレトニョフ:バレエ音楽「くるみ割り人形」組曲 Op.71より 間奏曲

 

♪ チャイコフスキー/18の小品より「瞑想曲」 Op.72-5

 

♪ リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調

 

 

 

割と明るめの照明の中、登場しました、牛田くん。

 

ベストに赤系のネクタイ。手には紺色のハンカチ。

 

サイドの髪を後ろに流していたので、ずいぶん髪が短く見えます。

 

 

まずはピアノの上にあるハンドマイクを手に取りました。

 

「皆さまこんにちは。牛田智大です。

今日は僕のリサイタルにお越しくださってありがとうございます。

奈良でコンサートをするのは2回目で、1回目は去年の夏、ミハイル・プレトニョフさんが率いるロシア管弦楽団と共演させていただきました。

今日はここで初めてのソロ・リサイタルをすることが出来てとても嬉しいです。

どうぞよろしくお願いします。

 

前半に演奏させていただくのは、ベートーベンのピアノ・ソナタ31番に始まり、ショパンへと続き、最後はバッハの曲になります。」

 

という感じのことを言って、ピアノの前に座りました。

 

 

ワタクシ、牛田ファン歴3年ちょっとでありながら、クラシックの知識はあまりにも浅く、最近自分の無知を痛感するばかりです。

 

いつもながら、素人の感じたままの感想になりますが、今日は特に印象に残った曲についてのみ書こうと思います。

 

 

まず、ベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ31番。」

 

これ、5月に調布や秦野で弾いたのと同じ曲?というくらい演奏が変わっていてびっくりしました。

 

特に調布の時は、初披露の緊張もあったのでしょうか。

表情も硬く、特に第3楽章では苦悩の色を濃く感じさせて、聴いているこちらが息苦しくなるほどでした。

それが、全体的にに優しく柔らかく、包み込むような演奏に変わっていました。

 

キャンバスに、次々と新しい色を重ねていくような彩豊かな音色。

 

やっぱり牛田くんのピアノには色がある。

 

FBで見せてくれた鮮やかに色鉛筆で塗り分けられた楽譜。

 

牛田くん自身は、演奏しながら、楽譜の色が頭に浮かぶのでしょうか。

 

 

 

ショパンの幻想即興曲。

 

今までいろんな人の演奏でこの曲を聴いてきたけれど、

 

牛田くんの幻想即興曲は今まで聴いたどれよりも懐が深く、幅も奥行きもあり、

 

物語性を感じました。

 

狂おしいほどのショパンの望郷の念。熱い情熱。

 

せつなさ、恋しさ。

 

そして、幼少時代を過ごした故郷ののどかな風景を思い出しているようなゆったりとした情感。

 

訴えかけるような、絞り出すような、胸を締め付けられるようなこの感覚。

 

やっぱり牛田くんのピアノが一番好き。

 

 

 

前半最後のシャコンヌ。

 

せんくらで初めて聴いた時もそうでしたが、一瞬にして全く別の世界に私達をいざないます。

 

世界が違う。スケールが違う。

 

感じるのは、ただ、もう神の存在。

 

紡ぎ出される「業」とも言うべき世界観に、畏怖の念を感じます。

 

ひざまずいて祈りを捧げたくなる。

 

神に。宇宙に。生きとし生けるもの、すべての存在に。

 

牛田くんの演奏は、時にきっちりと、ひとつひとつ、寸分の狂いもない大きさの石を積み上げていくような、

 

とてつもなく重いその石を全力で持ち上げ、隙間なく並べ、丁寧に、真摯に音楽を構築していくような、

 

自分の仕事に自信と誇り、責任を持った職人のようにも感じられました。

 

 

そしてピアノから放たれた音たちはすごい勢いでホールの上の方に伸び、

 

天井にぶつかって矢のように次々と降ってくる。

 

体中に降り注ぐ聖なる音を浴びて、自分の中の澱が浄化されていくようでした。

 

 

とにかく神がかっている、シャコンヌ。

 

終わってからもしばらくは放心状態でした。

 

 

 

後半。

 

 

チャイコフスキーの「間奏曲」と「瞑想曲」。

 

知らない街の雑踏で、見知った顔を見つけた時のような安堵感を覚えました。

 

 

 

さて、そして本日のメインディッシュ、リストのピアノ・ソナタロ短調。

 

牛田くん、再びマイクを手にしました。

 

だいたいこんな感じだったと思って読んでください。

(違ってたらご指摘願います)

 

「後半の最後に、リストの『ピアノ・ソナタ ロ短調』という曲を弾かせていただきます。

この曲は30分以上あって、弾く方も大変ですが聴く方も大変な曲です(笑)。

なので、飽きないようにちょっと説明をしたいと思います。

 

この曲は、リストが作曲した中でも最高峰と言われていて、リストは初めて『標題音楽』を取り入れました。

この曲は、ゲーテの『ファウスト』という物語を元に作られていて、登場人物が4人出てきます。

1人1人について説明していたら1時間くらいかかってしまいそうなので1つだけ(笑)。

 

(ピアノの前に座って、あるフレーズを弾いて)曲の中にこのフレーズが何度も登場します。

これは、よくないこと、悪いことを意味しているんですね。

でも、時にはこんなふうに優しくなったり、こんなふうに行進曲のようだったり、いろんな形で登場するので、どこにこのフレーズが隠れているのか是非探しながら聴いてみてください。

 

たいていの曲は最後が華やかに終わるのですが、この曲は静かに終わります

途中の静かなところで眠くなっちゃうかもしれないので(笑)、そこで眠くなると、そのまま終わっちゃうかもしれません。」

 

生き生きと、楽しそうに解説してくれた牛田くん。

 

トーク上手になったなあ。

 

解説を終えると「ちょっとごめんなさい。」というように両手を合わせて、舞台袖に一度姿を消しました。

 

たくさんしゃべったから喉が渇いたのかな。

 

聞いてるこっちも、期待と緊張で喉がカラカラです。

 

 

ピアノの前に座った牛田くん。真剣な表情でグーにした両手を膝の上に置き、何かを確認するように自分の手元(ペダル?)をじっと見つめていました。

 

そしてタイミングを見計らうように、ライオンが獲物をそっと狙うように、すごい集中力で弾き始めた不気味で謎めいた静かな音。

 

やがて突然茂みから獲物に襲いかかるがごとく飛び出してきたライオン(私の勝手なイメージです)。

 

さっそく現れる「よくないこと、悪いこと」を象徴するフレーズ。

 

この曲、図書館で借りて来てダビングして何度も聴いていたはずなのですが、最初の音が小さくて、「?」とボリュームを上げた頃に、ジャーン!と音が飛び出してきて思わずおおっ!と後ずさる(;^_^A

そして、聴いてるつもりでいつのまにか家事をしていると、知らないうちに終わっているという…(^_^;)

 

私のような初心者には、なんとも掴みどころのない手ごわい曲なのですが、牛田くんの解説のおかげで、「あ、ここにも隠れてた。」「ここにもいたいた。」

と、ウォーリーを探せ状態で楽しみながら聴くことが出来ました(*^.^*)

 

フレーズは姿を変え、声色を変え、いろんなところからアプローチしてきます。

 

時に優美に、時に軽快に、時におどろおどろしく。

 

残念ながら手元は見えませんでしたが、大迫力の超絶技巧。

リストらしく煌びやかで、十分に盛り上がり、縦横無尽に鍵盤を走り回る、恐ろしい速さの音の動き。

魅せどころたっぷりといった感じです。

 

ppからffまで、あらゆる素材を使って一流シェフが作りあげた、とっても豪華な料理のような。

 

 

牛田くんの頬に汗が光ります。

 

途中静かになり、「ここで終わり?」と思うとまた復活。

 

ゲーテのファウスト。ファン智さんにも紹介してもらったのに「オルフェウスの窓」にうつつを抜かしていてまだ読んでいなかったことを後悔。

ここにはどんな物語が織り込まれているのかしら。

 

再三不気味な静けさの中、演奏が終わりました。

 

最後の1音まで全神経を集中させている牛田くん。

 

演奏が終わってもその世界観を壊すのが申し訳ないようで、ためらいがちに、やがて大きく割れるような拍手!

 

頬を伝う汗をハンカチで拭き、やりきった、という表情で、微笑む牛田くん。

 

ブラボー!

 

また1つ、新しい引き出しを見せてもらいました。

 

 

 

 

アンコール。

 

1曲目は、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲より第18変奏」

 

ああ…。大好きな大好きなこの曲。

 

プログラムからはずれても、これからもアンコールで是非聴きたいと願っていたこの曲。

 

「闘い」の後の「オアシス」とでも言うのでしょうか。

 

そう。よく知っている牛田くんのキラキラした音色に包まれて、目をつぶって大きく深呼吸。

 

あまりにも幸せで涙がじわりと滲みます。

 

ああ、このまま時間が止まればいいのに。

 

 

 

2曲目はプーランクの「エディット・ピアフを讃えて」。

 

少し前、他の方の演奏で、この曲を聴く機会がありました。

 

牛田くんの演奏でしか聴いたことがなかったので、とても楽しみにしていました。

 

でも、大変失礼ながら、その時私が感じたのは、「曲」というよりペラペラの薄い半紙のような印象でした。

 

牛田くんのエディット・ピアフがどれだけ深くて濃いのか、その時あらためて実感しました。

 

やっぱり極上です。

 

17歳でまだ愛(恋愛)を知らないと本人は言っていますが、この人の魂は、既に深い愛を知り尽くしているのだと思います。

 

濃いブランデーのように、体に染み渡る音色。

 

そして、こんなふうに言ったら語弊があるかもしれませんが、敢えて書かせてもらうと、

 

牛田くんのエディット・ピアフは子宮に響いてくる。

 

心臓とも違う。「お腹」と表現するより、やはりズシンと子宮に響いてくる気がするんです。

 

 

エディット・ピアフ。

 

死後何十年もたっても、こんなふうに自分を讃える曲が多くの人の心を揺さぶり続ける。

 

彼女の一生は波乱万丈で悲劇的だったけれど、今頃彼女は天国で静かに微笑んでいるかもしれない。ブランデーのグラスなんか傾けながら。

 

 

 

3曲目もありました。

 

大好きな大好きな「乙女の祈り」。

 

柔らかくて、清らかで、まるで牛田くんそのもののような「乙女の祈り」。

 

ああ…。

 

いつ以来だろう。お久しぶり。

 

また会えたね。すごくすごく会いたかったよ。

 

 

とうとう涙腺決壊です。

 

。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。

 

 

 

たくさんの拍手の中、もう一度姿を現して、右手を胸に当てて深々とお辞儀をすると、気さくにバイバイ、と片手を振りながら舞台袖に消えていきました。

 

 

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚

 

 

サイン会は残念ながら写真撮影禁止。

 

300席と人数も少ないため、サクサクと進みます。

 

牛田くん、白Tシャツ(だったような気がする)の上に黒のダッフルコートを羽織って、

 

ニコニコと一人一人に丁寧に対応してくれました。

 

 

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚

 

帰りの電車に揺られていると、既にFBが更新されてました。

 

今日の公演のお礼の動画を撮ろうとして失敗したとか。

 

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(≧∇≦)(≧∇≦)(≧∇≦)

 

あまりの可愛さに、スマホの電池が減るのも顧みず、何度再生を繰り返したことか!(///∇//)

 

 

牛田くん。お礼を言うのはこちらの方ですよ。

 

ハードスケジュールの中の3公演、

 

常に最高の音楽を届けるべく最高の努力をしてくれました。

 

忙しい中、Facebookで各地の様子や自分の状況を伝えてくれて、

 

一緒にツアーを回っているような、これから一緒に舞台に上がるような

 

ワクワクやドキドキを届けてくれました。

 

コメントにいいね!もしてくれました。

 

知れば知るほどに、牛田くんのことが好きになります(〃∇〃)

 

 

牛田くん、お疲れ様でした。

 

素敵な演奏をありがとう!