みなさまこんにちは。
もう暦も10月に入りましたね。
窓を開けると、どこからともなく金木犀の香りが漂ってきます。
私が勝手に作ったカレンダーの10月はこちら。
はコンサート
はアルバム発売記念イベント
は17歳のお誕生日
なんとも盛りだくさんな牛田くんの10月であります。
さて、毎年杜の都仙台で行われている仙台クラシックフェスティバル、通称「せんくら」、
最初の二日間ですが、今年は行ってくることが出来ました。
2016年9月30日(金)~10月2日(日)
第11回仙台クラシックフェスティバル2016
公式サイトは こちら
仙台の中心部、地下鉄南北線で行ける4つのコンサートホールや街なか、駅なかにて、3日間で87ものコンサートが行われるのです。
喧騒の東京とは違い、仙台に降り立つとそこは別世界。
通りは広く、空気は澄み、そこかしこに緑があって、大きく深呼吸したくなります。
今回3つの会場に(牛田くん以外のコンサートにも行ったので)足を運びましたが、どこも駅から近くて分かりやすく、初秋の木々の葉が柔らかな影を落とし、とても居心地のいい場所でした。
牛田くんは3日間ともご出演。
初日のコンサートは、あっという間にチケットが完売になったというリサイタルでした。
9月30日(金)14:00~15:00
日立システムズホール
日専連カードスペシャルコンサート
「成長著しい牛田智大、16歳最後の月に果たす、2年ぶり3度目のせんくらリサイタル!」
《 演奏曲 》
♪バッハ/プゾーニ:シャコンヌ
♪ラヴェル:水の戯れ
♪ラヴェル:亡き女王のためのパヴァーヌ
♪ムソルグスキー/ラヴェル:「展覧会の絵」
牛田くんの演奏を聴くのは7月の読響との共演のコンチェルト以来。
リサイタルにいたっては5月以来になります。
どんなにこの日を待ちわびていたことか。
登場しました牛田くん。
ジャケットに紺と白の太めのストライプ。
手には紺色の小さなタオル。
柔らかな微笑みを浮かべて登場し、丁寧にお辞儀をしました。
椅子に座るとジャケットのボタンをぱらりとはずし、椅子の位置を微調整。
神経を集中させるように目をつぶり、膝に手を当て、やがて鍵盤に指を置き演奏が始まりました。
この日のピアノはスタンウェイ。
「シャコンヌ」。聴くのは初めてです。
ああ、突然、会場の天井がぎゅいーんと高くなり、ステンドグラスから光が差し込む石造りの教会の中にいるような錯覚を起こしました。
何?この世界観。
時空を超えてまたしても別世界に連れていかれてる。
足元から電気が走るように体中に鳥肌が立つのを感じました。
牛田くんが捧げる深い深い祈り。
何千年も前から生きて死んでいった数えきれない魂達に。
今地球上に生き、やがては死んでいく命に。
平等の重さを持ったすべての魂のために祈り、嘆き、時には怒りをぶつけ、そして鎮めるように。
ピアニッシモはこれ以上ないほどささやかで、でも会場の隅々まで静かに響き渡る。
フォルティッシモは「業」を感じる強い「念」のような凄まじさ。
目をつぶり、前かがみになって、命を絞り出すような強い打鍵の連続。
なんだろう、この衝撃。
胸の奥深くに杭を打ち込まれたみたい。
1曲目から、やられたーーーー!
演奏を終えた牛田くん。
しきりにタオルで頬やあごの汗をぬぐっていました。
立ち上がってお辞儀をし、いったん袖へ。
ヤバい。魂持ってかれた。しばし放心状態。
モー、この16歳は、しょっぱなからなんという超直球ストレートを投げ込んでくるのでしょう!
次は一転してラヴェルの世界へ。
「水の戯れ」。
透明で柔らかな音が、会場の隅々まで響き渡ります。
なんだかホッとして、体が重力を増し、椅子に深く沈みこんだような気がしました。
鍵盤が水面になり、牛田くんの指はしぶきをあげながら水の精と遊んでいるみたい。
続けて弾いた「亡き女王のためのパヴァーヌ」。
さらに体が沈み込むような感覚に。
私はこの曲を聴くと、雨の日に部屋の窓辺に立って、窓ガラスを伝う雨のしずくを眺めている情景が頭に浮かびます。
部屋は明かりを点けずに薄暗く、ちょっとした憂鬱をどこかで味わい、楽しんでいるような。
拍手を浴びてお辞儀をし、ラストは「展覧会の絵」。
今までにないくらい明るく高らかに「意気揚々」といった感じのプロムナードから始まりました。
まるで、これから始まる旅路を祝うような。
そう。今回の「展覧会の絵」、なぜかとても明るく感じたのです。
聴き手の私の気持ちが反映されているのでしょうか?
それとも牛田くんの気持ち?
全体的にこの日の牛田くん、とても伸び伸びと、楽しんでいるように見えました。
新譜のライナーノーツで牛田くんの解説を読んでから、この曲を聴くのがとても楽しくなりました。
もう、いちいちプログラムに目を落とさなくても、今がなんの曲で、牛田くんがどんな気持ちで弾いているのかが分かります。
何十回も聴いたニューアルバムの展覧会の絵。
牛田くんはその何十倍、何百倍も弾き込んだんだろうなあ。
もうなんだか牛田くんの体の一部みたい。
死の世界をイメージしてるなんて、おどろおどろしい気がするけれど、
実際、曲のメロディも美しいとは言えない部分が多いけど、
待てよ。人は死の世界(あの世)から、この世に生まれ、生きることを「修行」だと言って送り出されると聞いたことがある。
体の痛みや苦しみ、憎しみ、争いや病気があるこの世に生まれてくるのが嫌で、赤ん坊は泣きながら生まれてくるのだと。
そして人生をまっとうしてあの世に戻ったとき、「よく頑張ったね。お帰りなさい。」と、親しい魂たちに温かく迎えられるのだと。
だとしたら、これは最後の最後の修業の曲。
自分の人生を振り返り、償い、時には美しく楽しい思い出に浸り、なかったことにしてきたことにも目を背けず直視してひとつひとつ消化していく。
そうすることで浄化され、まっさらになった状態で、天国の門にたどり着く。
これは決して暗いだけの曲ではないのかもしれない。
「死」の中にある希望を孕んだ曲なのではないか。
牛田くんの渾身の演奏を聴きながら、そんな考えが頭に浮かんできました。
この展覧会の絵、聴くたびに肉厚になっていく気がします。
最初は魅力を感じずに、漢字テストの答え合わせをするように、「今弾いてるのはこの曲」って、ついていくのが精いっぱいだったのに。
まさか、この曲を自分がこんなに楽しめる日が来ようとは。
後半、少し紅潮した牛田くんの頬から汗が飛び散ります。
右のズボンの膝に落ちた汗のしずくが、ダイヤのようにキラキラ光って見えました。
重厚な天国の門を大きく開かせて、フィニッシュ!
思わず「ブラボー!」と声が口をついて出てきました。
何度も何度も汗を拭き、ピアノの前に立つ牛田くん。
その瞳は、晴れがましさと充足感にキラキラと輝いて見えました。
完・全・燃・焼
牛田くん。全力の素晴らしい演奏。
しっかり伝わったよ。ありがとう!
袖に入る時、振り返ってにっこりと両手でバイバイ。
これ、だいたい「演奏はもうしません。」ってタイミングでするんですよね。
次々と組み込まれているたくさんのコンサート。
会場と時間の都合もあるのでしょう。アンコールは無しでした。
でも、鳴りやまない拍手に応えて、再度登場すると、「ピアノは弾かないよ。」と言うように、ピアノから少し離れたところに立って右手を左胸にあて、深々とお辞儀をして去っていきました。
真っ先にチケットが完売になったのが大納得のミニリサイタルでした。
サイン会はぐるりと伸びた長蛇の列。
牛田くん、なんのロゴもイラストもない、真っ白なTシャツにファイテンネックレスというお姿で登場しました。
最初に並んだ人たちが次々と握手をしています。
よっしゃー!
ところが、そのうちに、スタッフの人が
「握手はご遠慮願いまーす!」と。
ヒーーーン(T_T)
1人1人ににこやかで、神対応の牛田くん。
牛田くんがライナーノーツに説明を書いてくれたおかげで、展覧会の絵を聴くのがとても楽しくなりました、とお伝えしました。
嬉しそうな表情で「ありがとうございます。また来てください。」
と答えてくれました。
(〃∇〃)(〃∇〃)(〃∇〃)
いただいたサイン
そして、今回珍しく写真も撮れました。
私の写真の腕前をご存じの皆さま!
私、もうブレなくなったんですよ(`・∀・´)エッヘン!!
3色のマジックを用意して書き書き。
お客さんに、「あなたの落としたCDは金、銀、黒のどれですか?」と訊いて書いてました(ウソ)。
ええと、どれがいいかなあ。
お客さん1人1人にニッコリ笑顔。
これ、ちょっと違う人みたいですね。
さて、皆さま。ワタクシ今回も通称「グッジョブ」という頼もしい友人を連れて行きました。
彼女、私ほどに牛田くんに溺れていないため、平常心で牛田くんの写真が撮れるので、毎回いい仕事してくれるんです。
今回も頑張ってくれましたよ。
「正面から撮っていいですか?」と、本人に声をかけて、
ほら!
(≧∇≦)
おまけ。
水を飲む牛田くん。
以上、せんくら1日目の牛田くんでした。