やけに暖かかった2月22日の日曜日、


おかげ様で、無事行ってくることが出来ました。



牛田智大 ピアノ・リサイタル

       in 大阪 ザ・シンフォニーホール


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一度は行ってみたいと思っていた、ザ・シンフォニーホール。


昨年6月8日、牛田くんがウィーン・カンマー・オーケストラとの協演ツアーの楽日を迎えた場所。


演奏後に指揮者のシュテファン・ヴラダー氏に、もふっと抱きすくめられた憧れの場所。(≧▽≦)(←そこ?)



前日に立ち寄った本屋で、パラパラと立ち読みした「月刊ピアノ」に、偶然このザ・シンフォニーホールについて書かれた記事がありました。


それによりますと、オランダのアムステルダムにある、有名な「コンセルトヘボウ」を手本とし、


音がもっとも美しく響く目安とされる「残響2秒」にこだわって造られた、日本初のクラシック専用のこのホール。


1984年に、ベルリンフィルを率いて来日したカラヤンは、このホールを、


「世界一の響き」と絶賛したとのこと。



そんな世界一のホールに、いざ!



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大きくて近代的なホールがドーン!と構えているのを勝手にイメージしていた私。


木立の向こうに見えてきた、自己主張しすぎない素敵な外観。



建物内は、どこか懐かしい雰囲気。


会場に入って、座席に腰をおろしました。



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ステージをぐるりと囲むような形のアリーナ形式で、意外と低めの2階、3階席。


1階席の最前列と、ステージの間が、とても近いのに驚きました。


客席の天井から吊られている40枚の三角形のオブジェは、音が舞い降りる飛ぶ鳥をイメージして造形されたとのこと。


どれどれ、と天井を見上げると、いくつかのシャンデリアのような照明と、青くライトアップされた三角のオブジェ。


うわあ。幸せの青い鳥…。 :*:・( ̄∀ ̄)・:*:



ちなみに、お手本にしたというオランダのコンセルトヘボウのホールはこんな感じ。

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ホントだ。たしかに、似てますね!(゜∇゜*)


そして、その外観。

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うわ、素敵。絵はがきみたい♪




さて、開演時間が近付き、会場の照明が暗くなりました。



この日のプログラム


♪ モーツァルト : ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K.331

「トルコ行進曲付」


♪ ショパン : バラード 第1番ト短調 op.23


♪ リスト : 「死の舞踏」

-『怒りの日』によるパラフレーズS.525<ピアノ独奏版>


・・・・・・・・・・・・・・・・


♪ シューマン : トロイメライ


♪ ショパン : 12の練習曲op.10より第3番「別れの曲」


♪ リスト : パガニーニ大練習曲集より

  第3曲「ラ・カンパネラ」


♪ ラフマニノフ : ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 op.36







ちょっと私ごとになります。



前回の記事のコメント欄で少し触れておりますが、


私、オペラシティリサイタルの前日に、「突発性難聴」と診断され、


ファン友さんたちにご心配をおかけして、皆さまからあたたかいコメントやメッセージ、メールをいただきました。


本当にありがとうございます。

m(_ _ )m





今日この日、ザ・シンフォニーホールで牛田くんのピアノをしっかり心に刻むため、


「死の舞踏」や「バラード1番」を予習で鬼リピしたいのを、1週間グッと我慢しておりました(*^.^*)


だから、いつも以上に待ち遠しかった牛田くんの演奏。




「ここまで暗くしちゃうの?」というくらい、会場の照明が落とされ、


ピアニストの登場を待って、静まり返る会場。



…と、ぽっと灯りがともるような、オレンジ色の柔らかな光にピアノが静かに浮かび上がりました。



微笑みを湛えながら登場した牛田くん。



オペラシティの時と同じ、赤地に細い紺と白の線が入ったネクタイ。


手には小さな使い捨てカイロ。


美しいお辞儀をして、ピアノの前に座り、両手を膝に当てて静かに目をつぶります。


この瞬間はいつも、聴衆と彼の呼吸が1つになるような気がします。


閉じていた瞳をきっぱりと開き、紡ぎだす1音。





















・・・・聴こえない・・・。




















いいえ、正確には、音は聴こえてます。


だけど、私の左耳の中で、牛田くんの弾くピアノの音が大きく共鳴して、ウワーンと別の音になりました。





このレポートを書こうかどうしようか、正直迷いました。



でも、書きますね。


だってこれは、私がこの足で会場に行き、


この耳で聴いた、私のコンサートレポだから。



そして、愛しいファン友さんたち。これを読んでもどうか気にしないでね。






思わぬことに動揺してしまい、突然涙が溢れてきました。



どうしよう…。



とにかく、この1週間、なるべく体を休めようと、家のパソコンも開かず、携帯の電源もなるべく切って過ごしてきたんです。


早めにお風呂に入って、早めに寝て、まずい薬も我慢して、出来る限りのことをやってきたんです。



ここに来るのに乗った新幹線のホームで、発車のベルやアナウンスが、異様に耳の中で大きく響いたこと。


イヤだな、と思いながら、それに気付かないふりをしたことを思い出しまた。




耳が聞こえなくなったらどうしよう。


牛田くんのピアノが聴けなくなったらどうしよう。




この1週間、目をそらし続けてきた不安を、突然目の前に突き付けられたような気がしました。




そうか。私、本当は、ずっと不安だったんだ…。




音の聴こえ方というより、こんなに動揺している自分自身に動揺してしまい…




今、タオルを顔に持っていったらおかしい。


今、肩が震えたらおかしい。


まだ1曲目なのに。泣いてる人なんて1人もいないのに。



そう思うほど、涙が次々出てきて困りました。



悔しくて、情けなくて、悲しくて…。




目の前では、牛田くんが、モーツァルトを演奏しています。


楽しそうに体を揺らしながら。


時々チラチラと舌をのぞかせながら。


ちょっとびっくりしたように眼を見開きながら。



今が何楽章なのか、もう私には分かりませんでした。


本当に、あまりにも動揺してしまっていて。




モーツァルトが終わって一度舞台袖に引っこみ、再び登場した牛田くん。


この日の牛田くん、なんだか私には幼く見えました。


『リトル・ピアニスト』でよく知っている、無邪気な少年の顔。


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そう。ちょうどこんな感じ。



ピアノの前でうつむいて目をつぶり、長い集中の時間がありました。



不思議です。


あんなに幼く見えた少年が、演奏を始めた瞬間、老人になりました。


もちろん、見た目じゃありません。


そのたたずまいと音色(音的なことは、この日の私にはいつも以上に分かりませんが)。


とにかく、伝わってくるものが。



ショパンのバラード1番。



一体この人は、どれだけの人生の辛苦を味わい、


どれだけの涙を流し、


どれだけ恋をしたのか…。



まるでもうすぐ人生の幕を閉じる1人の老人が、


暖炉の前で揺り椅子に腰かけながら、自分の人生を振り返っている。


そんな錯覚を起こすような、深い深いバラードだったんです。



恋に身を焦がしたり、


裏切りに絶望したり、


何かを決意して、足のすくむような思いに身を震わせたり、


…かと思うと、ジャレている2匹の子猫を微笑みながら見守っている優しい時間が流れたり、


大切な人を亡くして孤独を噛みしめたり…。



そんな懐かしい場面のひとつひとつを、


顔に深い皺を刻んだ1人の老人が思い起こしている…。




音楽の感じ方というのは、聴く側の心理状態が大きく影響するのだと、身をもって知りました。



ああ、私、これからも、ずっとずっと牛田くんのピアノを聴きたい!


。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。







なんというか、今まで自分の中の牛田くんの存在を形容する言葉、


「大好きな少年ピアニスト」が、はっきりと「希望」に変わった瞬間でもありました。



この1週間でまるで10歳くらい(もっとかも)歳を取ったように、すっかり弱気になっていた私。


これから何十年も彼を応援していく中で、さらに私は歳を取っていきます。


膝が痛くなったり、視力が衰えたり、


ありがたくない病気を患うことだってあるかもしれません。



そんな時きっと、牛田くんの存在が光になってくれるに違いない。


牛田くんのピアノを聴くために頑張ろう。


コンサートに足を運ぶために元気になろう。


もちろん、今までだってそうです。


でもこの瞬間、もっともっと深いところで、それを強く実感しました。





ほとんどタメがなく、弾き始めた「死の舞踏」。



今年の初め、愛媛のリサイタルでの初披露を聴いて、


あまりの激しさ、かっこよさに、息をするのさえ忘れそうになったこの曲。


前かがみになって、鍵盤を下から睨みつけるように弾くスタイルはあの時と同じ。


そうそう。あの時は、光の加減で牛田くんの前髪と瞳が白く光って、


マンガの「ブラック・ジャック」みたいに見えたんだった。


真剣な表情の牛田くんの横顔が、悪魔に命を売り渡した青年のように見えるのもあの時と同じ。


自然発火しそうな集中力も同じ。



だけど、あれ?こんな美しいフレーズが隠れていたんだっけ…?


厚い雲が割れて、天から差し込む一筋の光のような…。



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「死の舞踏」なのに、恐ろしい曲のはずなのに、


なぜか私には、そんな中で垣間見た美しい光のようなフレーズだけが、強く印象に残りました。



大迫力でこれだけの大曲を弾いたあとで、いつもよりしっかりした足取りで舞台から去って行った牛田くん。


なんだか頼もしく感じるその後ろ姿に、思わず魅入ってしまいました。





休憩が終わり、再びしんと暗くなる会場。


やがてピアノを照らし出すオレンジ色の灯り。


このホールの照明は、なんと温もりのある色なのでしょう。


暗闇の中、マッチ売りの少女が凍える指で灯した炎は、


きっとこんな色ではなかったのかしら…。




私の席からは、舞台袖は見えませんでしたが、


ピカピカの茶色い木の扉に、登場する前の牛田くんの影が映るんです。


その影を見つけるたびに、小さな少女のように心が踊りました。




休憩のあとの1曲目、トロイメライ。



この頃には、私の耳も気持ちも、かなり落ち着いてました。


牛田くんがこの曲を演奏するのを、You Tubeで何度も何度も聴いたなあ。


私が大人になって初めて演奏にトライしたのがこの曲。


ブログを始めて最初に記事を書いたのもこの曲だったなあ。




そのまま続けて弾いた「別れの曲」。


いつもよりあっさりと演奏に入った印象でした。





続く「ラ・カンパネラ」。



今回の私の聴き方は、バラード1の老人のように、思い出に浸る感じでしたので、


今まで聴いてきた牛田くんのカンパネラを振り返るような形で聴いていました。


今まで何度もリサイタルに足を運んだ中で、一番多く涙を流したのは、もしかしたらこの曲かもしれません。



昨年3月の甲府のリサイタルで、初めて最前列をGETして(自由席でした)、


牛田くんの息遣いが伝わりそうな場所で聴いたカンパネラ。


演奏後、あまりの感動にフライングするように拍手をしたら、


牛田くん、舞台の上から微笑みを向けてくれました。

(///∇//)鼻血出るかと思った…


いつもは澄んだ水のように感じる牛田くんのカンパネラ。


9月の愛知では、何故か命を削るような渾身の演奏に、


ズキズキとハートから血が流れるような感覚で聴きました。



そして今日のカンパネラ。


紫とオレンジ色の炎がごうごうと燃えている。


高音のトリルが続くあの部分。


1羽の白い蝶がチラチラと羽を動かしているんです。


炎に焼かれないように、命の限り懸命に舞い続ける1羽の白い蝶。





最後のラフマソナタは、実は頭痛に襲われて、ほとんど頭に入ってきませんでした(T_T)







アンコールは、私にとってはただただ感謝の時間でした。



今日ここで、大切な人達と こうして牛田くんのピアノを聴くことが出来たことに。


私の体調を心配してくれたファン友さん、1人ひとりに。


「返信はいりません」と、私を気遣って送ってくださった、温かなメールやメッセージ、コメントに。


牛田くんのファンではなくても、ブログを通して繋がることの出来た方たちに。


今日も気持ち良く私を送り出してくれた家族に。


そして、素晴らしい演奏を聴かせてくれた牛田くんに。



ありがたくて、嬉しくて、感謝の気持ちでいっぱいで、


泉のように次から次へと涙が湧き出てきました。



そして、今日はコンサートに来られずにお留守番をしているファン友さん。


来られなかった寂しさをどこかにしまいこんで、今頃きっとこの会場に思いを馳せていることでしょう。


彼女は毎回 ご自分と両親の体調の不安を抱えながらコンサートに足を運んでいます。


今日の私のように、きっと小さな爆弾を抱えるような気持ちでいたのでしょう。


…すごく、辛かったんだね・・・。(ノ_-。)




牛田くんが、今日も心をこめて弾いてくれたアンコール。


そんな、大好きで大切な人達、1人ひとりのことを想いながら聴きました。




私、いつもなら多少調子が悪くても、勢いで乗り切ってしまうんです。


そして、前向きに前進することが正義だと思っているようなところが、多分きっとありました。



でも、立ち止まったからこそ、見えてくる景色もあるんですね…。





あ、ちなみにアンコール曲は、他の方の記事で既にご存知かと思いますが、


♪ ノクターン9-2


♪ ロミオとジュリエット


♪ パリの散歩道


♪ 乙女の祈り



でした。


恥ずかしいことに、ワタクシ我を失うくらい泣いてましたので、


どの曲がどうだったとか書けません(//・_・//)



けど、乙女の祈りに入る前に、牛田くん、また「さぁて♪」というように、両手を合わせてましたよ(*^.^*)


そして、この選曲、羽生ファンにはたまりませんね(^^)

(キュートなhっちさん、お会いできて嬉しかったです♪)



オペラシティ以来、牛田くんが舞台の上から見ている景色が気になるようになりました。

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ともくんの目には、こんな眺めが映っていたのね(^^)





演奏会が終わって、トイレの鏡を見てびっくり!


け、化粧全部取れてるーーー!

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一体自分、どんだけ泣いたのよ…(^_^;)









サイン会は、一度外に並んで、どん詰まりのような楽屋前で行ったため、全貌が見えませんでした。


私の少ない経験からすると、サントリーホールのユンディがこのパターン。


敢えて狭いどん詰まりスペースで行うことで、立ち止まって写真撮影をするファンをシャットアウトし、


流れ作業方式で流れをスムーズに。



…。(T_T)



しかし、列に並びながら、カメラを高く掲げてシャッターを押したら、奇跡的にブレてない牛田くんがっ!

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きゃー♪ともくん、光り輝いてるーっ!!

(≧▽≦)



しかし、それに気付いたスタッフのおっさん男性に、


「撮影はサインをもらったあとにしてください。」

と注意されたー(>_<)


しかも、

「お1人様1枚限りでお願いします」

だって。

スーパーの特売かっ!ヾ(。`Д´。)ノ




見て見てっ!

今回こそ、『リトル・ピアニスト』の大好きな「ガオー」の写真のページにサインいただいちゃいましたよ♪


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「ガオーっ!」


(≧▽≦)(≧▽≦)(≧▽≦)




あ、そうそう。 牛田くんには、


「『バラード1番』と『死の舞踏』、とってもかっこよかったです。」


とお伝えしました。


(///∇//)





そして、ワタクシの「お1人様1枚限り」写真。


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ええい!悔しいから落書きしてやれっ!゛(`ヘ´#) (←コラっ!)






それではみなさま、ごきげんよう




(^-^)ノ~~








・・・・・んっ?






えへへ♪


わかってますよ。わざとですよー(〃∇〃)



今回も、ちゃんとありますよ。


専属カメラマン、P子の写した素晴らしいお写真が!





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きゃー!P子!今回もありがとう!!(≧▽≦)


ねえ。来年のカレンダー、もうアンタが作ってー!!!


1部2000円。

ご注文、お問合わせは芽々商会へ。(▼∀▼)


ナンツッテー!(≧▽≦)








無事東京にたどり着き、家に着いたのは深夜過ぎ。


既に寝ている家族を起こさないように、そうっと動いていたつもりが、


娘の寝ている部屋から「ママ。」と私を呼ぶ声が。



Σ(゚д゚;) ギョッ。起しちゃった?


と、そっと戸を開けてみたら、布団の角を抱きしめてスヤスヤ寝てました。


寝言で私を呼ぶなんて…。



。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。



既にユルくなってた涙腺が再び決壊。


そっと髪を撫でてたら、いきなりパチっと眼を開けて



「何?」 ( ̄へ  ̄ 凸



ジロリと私を睨んで、また寝てもーた…。


寝ながらにして、ナニ?この塩対応…。 (TωT)ヒーン






さて…。


今回は、ちょっとほろ苦いコンサートとなりました大阪ザ・シンフォニーホール。



でもね、今回も私、とても大切なことをたくさん教えていただきました。



そして、嬉しいご報告。


次の日行った病院の検査で、私の聴力、少しずつですが回復していることが分かりました。


\(^o^)/ ヤッター!




あんまり長々と書くと、しつこくなるのでやめておきます。



だた一言。



ありがとう。




すべての皆さまに、愛と感謝をこめて。