POGで思い出す伝説の『名前の出せない生産者』さん | 将棋指しがあーだこーだ言ってみるブログwithその他ウマウマ等

将棋指しがあーだこーだ言ってみるブログwithその他ウマウマ等

将棋と馬をたしなんでおります。
棋力は24で7or8段くらい。
ゆるーくやっていきまっす~

 このたび唯一毎年愛読しているギャロップのPOG本をGETし、かわいいお馬さんたちを見た。

 ふむふむ。

 かつてPOGに最初に興味を持ったころ、若駒の写真を沢山載せている雑誌があった。

 それが『競馬王』だった。

 その中では写真のほかに馬への評価(☆5つが満点)と短評が載っていて、これが自分にとっては相馬眼を養うバイブルとなっていた。

 というのも、この若駒達の評価をしているのが通称『名前の出せない生産者』さんという方で、日高地方の生産者ということなのだが、まあこれだけなら別に何の驚きもなかったのだが、凄かったのはその若駒たちがターフでデビューしたあとだった。

 当時はサンデーサイレンスの子が走り始めた頃で、今よりもいろんな系統の種牡馬が走っていた頃だ。サンデー、トニービン、ブライアンズタイムが3強などと言われていた。

 そんな中で、この『名前の出せない生産者』さんの高評価をした馬が走りまくるのだ。それも、凄いのは決して血統的にとても良血とはいえない馬が多数いたことだ。これはPOG愛好者の中にとどまらず、競馬サークルにも少なからず衝撃を与えた。が彼が5つ星の満点をつけた中には、ランニングゲイルやマチカネフクキタルがいた。ランニングゲイルは父がランニングフリーというG1勝ちのない、種付け数も年間5頭にも満たないようなローカル馬。それを彼は雑誌上で『決して奇をてらっているわけではない・・・』純粋に走る形のいい馬だと語ったのだ。そして、このランニングゲイルは武豊を背に弥生賞を勝ってクラシックの中心にいたのだ。

 一方マチカネフクキタルは父がクリスタルグリッターズで当時の血統イメージで言うと割とコンスタントに条件戦で走るタイプで短距離からマイルを得意とする。こんな感じで、決してG1はおろか重賞馬もまあよっぽどうまくいかないと出ないよねって印象だった。

 ところがマチカネフクキタルは南井の豪腕に導かれ、神戸新聞杯ではサイレンススズカを下し、菊花賞もその勢いで制してしまったのだ。誰も淀の3000をクリスタルグリッターズの子が勝つなんて思わなかっただけに、この生産者のインパクトは計り知れなかった。(ちなみに同期のメジロブライトにも☆4.5だった)

 ところが、このあまりにも凄すぎる相馬眼。ラフィアンの岡田氏すら凌駕すると思われたこの力のせいで、遂にこの企画自体の存在が危うくなってしまったのだ。そう、牧場の取材拒否である。

 あまりにも当たり過ぎるので、馬主サイドから評価して欲しくないという苦情の声が生産者たちに向けられたのだ。自分の愛馬が冴えない評価をされたりするとオーナーが怒るなど・・・。

 また、この1件のせいで馬主達は、生産者達が本当はどの馬が走って、どの馬が走らないのかが分かっているのに買わされているのでは?という疑心暗鬼に捕らわれてしまったのだ。つまり走らない馬を、この子はいい子ですよと騙されてと・・・・。

 確かに多少の程度は分かるにしても、まだ小さくて体型もどんどん変わる若駒から本当のトップを当てるのは牧場関係者でも至難であり、また『名前の出せない生産者』レベルなどは本当に稀有なはずなのだ。

 だが、馬主は何千万という安い買い物ではないサラブレッドにおいてはこの疑心暗鬼を晴らしきれなかったのだ。

 そんな感じで、たった数年で競馬王の評価企画は無くなってしまった。しかし、この企画によって馬を見極める楽しさ、面白さを学ばせてもらった。

 また、いつかあの神がかり的な相馬を見たいなあ。。。