豪華2本立て、のはすが…… | 馬鹿日報・弐

豪華2本立て、のはすが……

今年はかつてないペースで映画館に行っています。
それくらい予告等を見て「観たいなー」と思う作品が
多かったんだと思います。
それと今自分には「表現したいもの」が何も無いので(正直大問題だ)、
さしあたって手塚治虫大先生の教え
(「良い漫画を描きたければ(≒良いものを作りたければ)
 良い映画を観なさい」といった主旨のことです)
に従って映画を観ている次第。
そんなこんなで今日は2本観てしまいました。

まずは昭和の臭い全開でイイ感じの「目黒シネマ」にて
春の公開期間中に忙しくて見逃した
『バーン・アフター・リーディング』。
コーエン兄弟監督・脚本、主演はジョージ・クルーニーに
ブラッド・ピットなど、洋画を全っ然知らない自分でも
何人かは名前が解るくらい豪華なメンツ。

ストーリーをめちゃめちゃ大雑把にいうと、
ブラピ演じるフィットネスセンターの従業員が妙な経緯で
CIAの極秘情報の入ったCD-ROMを拾ってしまったことで
大きなトラブルに巻き込まれる、というもの。

(これから観たい人はこの先読まないよーに)

予告のトーンや新聞や雑誌・ネットでの紹介を見る限りでは
爆笑できるドタバタコメディ作品なんだと思っていたのに、
正直自分には毒気が強過ぎて、かなり後味の悪いものでした…。

オチとしては、ブラピの同僚である強欲なオバハンが
整形手術の費用を捻出したいためだけにCIAを恐喝して、
結果死ぬ必要の無い人が無駄に死んで
オバハンは口止め料をせしめて一応万歳、という…。

自分はCIAが何者なのかよく知りませんが、
とにかく恐ろしいくらい露骨に
この組織がどれだけ人命を軽視しているかということを
皮肉っていました。

で、一連のドタバタについてラストでCIAの幹部2人が
「今回のことから学んだことはあるか?」
「わかりません」
「私もそう思う」
…といったような会話を交わすのですが、
まさにそれがこの作品を象徴していたなあと思います。

そういう部分から判断しても、明らかに製作サイドの
「確信犯」的な作品なんでしょうね。
救いの無い話が好きな人にはかなりツボだと思いますが、
自分には些か重たかったかなあと(話はド級に軽薄だけど)。
『オー!ブラザー』くらいの湯加減の方がよかったです。

あと、途中結構笑えるシーンはあったんだけど、
さすがR-12指定か、テレビじゃ絶対モザイクものの
古い言葉で言えば「張り型」が登場した際に
後ろに座っていたおばちゃんの一団から
この日一番の大爆笑が起きたのでうんざりしてしまいました。
なんつーか、作品自体もそういうノリなんです。
(中年)女の欲望っておっそろしいなあ、っていう…。

うわ、1本目で長くなった。
ちょいと余談を言うと、観に行った劇場「目黒シネマ」は
公開期間からちょっと経った映画を
1500円(webから割引券印刷すれば1200円)で2本観られる
お得な場所です。
この日のもう1本『お買いもの中毒な私!』は
明らかに女性ターゲットっぽかったので出てしまいましたが。

結局『バーン・~』ではなく、去年金銭的に窮していて
観た時に買えなかった『百万円と苦虫女』のパンフを買って
劇場を後にしました。

さて、次に行きましょう。

品川プリンスシネマに移動して
下半期で一番期待していた『しんぼる』を観ました。
公開初日だっていうのに、たかだか100席強の劇場で若干空席あり。
『エヴァ』や『サマーウォーズ』を観るのに
あんな苦戦したのに、この差は何…?

(これから観たい人はこの先読まないよーに)

舞台が安部公房の小説世界みたいでおもしろかったし
(周りからも随分笑いが起きていました)
かなり画面に対して食い気味に見ていたのですが、
「大オチ」の部分で正直
「えぇ~~~っ!?」……という感じになってしまいました。

でもそこは反応が色々で、自分は止まりましたが
笑っている人も結構多かったです。
それは松ちゃんがインタビューで
「今回の作品は芸人・松本人志を知らない人の方が
 受け入れやすいと思う」
と言っていたことと合うんじゃないかと思います。

まあ何にしても、自分が松ちゃんに対して求めるものって
一も二もなく「笑い」だから、
やっぱ松ちゃんが撮る以上はもっと大爆笑できる
映画であってほしかったなー、という気がします。

前作『大日本人』も自分的には凄く面白かったし
これまで松ちゃんが作ってきたものに対しては
ほぼほぼ全てイエスマン状態だったけれど、
『しんぼる』について言うと
映画としては面白いのかもしれないけれど
「松本人志の作品」として見ちゃうと
どうなんだろ…という気がします。
オチでああいうCGの使い方はねーだろ、と……。


そんなこんなで、帰り道は結構な頭痛がした1日でした。
この先特に観たい作品は浮かばないけれど、
また暇があれば何か観に行ければいいなと思います。