実に興味深い「日本海タワー」 | 馬の会長日記

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「馬の会」の会長“のみ”の気まぐれ日記。
競馬はもちろん、前に住んでいた新潟のこと、
今住んでいる埼玉のこと、趣味の旅行に、
アルビレックス新潟、グルメなどなど
その時思ったことを気ままに更新してま~す。

新潟に住んで15年、いつかは行くだろうと思っていたのに
これまでずっと行かなかったある場所にやっと足を運んでみました。

っていうか、そこはわりと近所で有名な場所なのに、新潟で生まれた相方ですら
行った事がないっていう不思議な存在の観光地。

それは新潟市の繁華街、古町から日本海方面へちょっと小高い丘を登った
旭町通二番町ある展望台「日本海タワー」です。

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「日本海タワー」っていう名前だけど高さ40mほどの建築物で、
展望台と言っても新潟市街には「NEXT21」や「朱鷺メッセ」などの無料で展望できる高層ビルもあるので
わざわざ入場料300円を支払って行くのもどうか?と思っていたんですよねぇ。

でも1970年に建ったというこの建物が、40年以上も姿を変えず今でも存在し続けている。
あの繁華街の万代シテイにある「レインボータワー」でさえ、
その存在価値を保っておくのが難しかったのに・・・

何か他には変えられない魅力があるのかもしれませんね。 実に興味深い謎・・・

行けばきっとその謎が解けるはず!

駐車場は丘の上にありましたが、休日だというのに1台もありません。
そこから階段を上り、2階部分にあたるところで入場料を払ってエレベーターに乗りました。

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そのエレベーターのボタンは「開」「閉」「上」「下」のみ。

扉が開くとそこは最上階で、きっとそこには広大な景色が広がっているはず・・・

と思ったら目の前にはやや暗い部屋に、地味な展示物が。
そしてそこからさらに55段の階段をのぼって行かなければならないらしいです。

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その階段も窓がある訳でもなく、なんとも退屈な道のり。

だけど、それじゃあいけないと管理者も思ったのでしょうね。
そこには新潟県人でも聞いた事のないような新潟の方言がズラりと並んでいましたよ。

いちおう階段をのぼっている人に気をつかっているようなメッセージでした。

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ようやく階段をのぼり終えると、全面ガラス張りの円形展望台。

そこには雄大な日本海が広がり、天気も良かったので佐渡島や粟島、そして弥彦山や越後連山など、
さらには古町の街並みや信濃川など、四季折々の新潟の風景が360°のパノラマで楽しめました。

建物自体は高く無くても、小高い丘にあって海抜63mからの眺望で低過ぎず高過ぎず。
さらに周りには高いビルがほとんど無いので、思ったよりもいい感じ。

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息子もさっそくレトロな有料で見られる双眼鏡にかじりついたけど、
近所のタワーマンションの部屋の中とか見えちゃうんじゃないの?

ってこの双眼鏡、どうやら個人からの寄贈みたいです。
東西南北に設置された全4台も寄贈するってどんな人だろう?

で、実はこの丸い展望台には秘密があるんですよ。

それは、中央部分の階段やお店を残して、床が回転しているんです!

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だから、周りに設置してあるイスに座っていると自動的に
360°景色が回転してくれるという訳です。

この動いている所と止まっている所の境目に息子が興味を持ってしまったのですが、
そこで指なんか入れると挟まってしまう危険性があるそうなので注意しないと。

壁には1周回るのに何分かかるのか? レトロな計測器が掲げてありました。

「14」と「25」と「30」の数字以外は隠されていましたが、
どうやらこの日は30分で1周するのんびり運転の様です。

14分っていうのも体感してみたいけど、よく見ると「∞」の表示も発見!
これは興味ありますねぇ~

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さて、せっかくなのでコーヒーブレイクしましょうか♪

中央のお店は喫茶店で、店頭にはここを訪れた有名人のサインが並んでいました。

他に行く場所も思いつかなかったのか?
こんなマイナーな観光地に結構来ているもんですね。

2009年の6月にはあの福山雅治も来たみたいですよ。

『これが、新潟が誇る観光地だなんて実に興味深い』
なんて思われたかと思うとちょっと複雑・・・

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メニューには軽食や懐かしい「クリームソーダ」などが並んでいましたが、
ボクらは「アイスクリーム」(250円)と「アイスコーヒー」(330円)を
息子が注文してくれました。

そして、カウンターにはこの場所に生えている樹の落葉を
ラミネートカードにして『ご自由にどうぞ』と置かれていたので
桜や柳の葉をもらってきちゃいました。

他のお客さんもいないのでホントにの~んびりです。

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夕陽が日本海に沈む時間なんか静かでいいデートスポットになりそうですし、
学生なんかは勉強の場としてもいいかもしれません。

それから、多少コーヒー台が高くても入場料を無料にすれば、
平日の営業マンにはいい時間をツブせる場所になるかも。

同じく回転式の展望台だった「レインボータワー」は昇降1往復ごとに完全入れ替え制でしたが、
ここは1度入場したら営業時間終了までいられるっていうのがいいですね。

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ノスタルジーな雰囲気に浸り、約2周ものんびりしましたが、
帰りもエレベーターまでまた退屈しないような工夫をされた階段をおりていきます。

帰りの壁に展示されていたのは新潟県内の「難読地名」だそうですよ。
そう言えば、ボクも来たばっかりの時は、割りと有名な「新発田」を「しんはった」、
「小千谷」を「こせんだに」とか読んでたもんなぁ~

それにしても最上階には円形の展望台があるけど、こんな窓も無い階段がつづいたり、
エレベーターは途中階でおりられないし、
いったいその下の四角い階はいったい何があるんだろうか?

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こんな変な作りをしているのには訳があるんですよ。

実は丸い展望台の下層部の四角いところはなんと「貯水タンク」(水道用配水池)なんですよ!

1968年に、新潟市水道局の水道配水池であるビル型配水池「南山配水場」として誕生し、
その3年後の1970年8月に新潟市の水道創設60周年を記念して
日本で初めて「水道用配水池」の屋上に回転展望室を設置した、「日本海タワー」が完成したんだそうです。

当時としてはかなり斬新な設備だったんでしょうね。

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そして、「水道用配水池」としても当時斬新で、
このビル型の配水池は上下二層に分かれた日本初の階層式配水池で、
それぞれの高さから、新潟島北中部の高区と低区へと
重力を使った自然流下方式で水道水を供給しているんだそうですよ。

自然の力が供給能力ってことはエコだけではなく、
運転管理などの維持管理が簡単で、さらに災害などで停電になってしまっても
安定した供給ができるってことなんですよ。

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で、なんと、その水道水がペットボトルで売られていましたよ!

新潟の水道をPRのために商品化された、新潟のおいしい水道水「柳都物語」(90円)。

以前、「旭川の水道水」を買った事がありましたが、
どうやら全国の自治体で結構やっている活動みたいですね。

これは信濃川浄水場で高度浄水処理をした水を災害備蓄用として使用する他、
市のイベント等に参加した人たちに配るのが主だったのですが、
その味の評判が高まり、日本海タワーなどで売り始めたんだそうですよ。

でも新潟は雪解け水や、湧き水など、山の方は水がキレいなイメージがあるのですが、
信濃川となるとどうなんだろうか?

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ってことで、「日本海タワー」が観光客も少なくなったのに
40年前からずっと変わらぬ風貌を保ってきた謎が今になってやっと解けましたよ!

ようするに配水場で、新潟市水道局の外郭である「財団法人新潟水道サービス」が
管理・運営を行っているってこと。

だから「貯水タンク」としてしっかりと機能していれば問題なし。

観光誘致が主な目的ではないので、特に見せるためにお金をかけてリニューアルする必要もなく
しかも新潟市民にとって必要な設備ということもあるので無くなる事もない。

そういうことでこのいつまでも変わらない懐かしい施設として存在しているんですね。
実に面白い!

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きっと全国の観光施設の中でも珍しいケースなんじゃないかと思いますが、
この時代の流れに合わせて激しく変化していく中で、
変わる事ない「日本海タワー」のノスタルジーな雰囲気に
ゆっくりと回りながら浸るのもいいかもしれませんね。

「日本海タワー」

新潟県新潟市中央区旭町通2-5229-8
電話:025-229-0020
営業時間:9時~17時(12~2月/10時~16時)
定休日:木曜日、年末年始
入場料:大人/300円、子ども/100円