情緒あふれる島南端 | 馬の会長日記

馬の会長日記

「馬の会」の会長“のみ”の気まぐれ日記。
競馬はもちろん、前に住んでいた新潟のこと、
今住んでいる埼玉のこと、趣味の旅行に、
アルビレックス新潟、グルメなどなど
その時思ったことを気ままに更新してま~す。

先日の「海の日」を含む7/17(日)18(月)に家族3人1泊で、
いつも眺めているけどなかなか訪れる事のなかった島「佐渡」の旅に行ってきました。

島の真中、くぼんだ所の東側の「両津港」にお昼頃にカーフェリーで到着し
相方の車で「生の佐渡を満喫しに、さあ!ドライブだ!」・・・「生の佐渡」で「佐渡ライブ」。

まずは、さっそくランチタ~イム♪


佐渡と言えば「海鮮物」が思い浮かびますが、その辺りはホテルの夕食に出てきそうなので、
あえてそれとは別の物食べたいなぁって事になり、

最近、佐渡のB級グルメとして良く聞く「佐渡天然ブリカツ丼」を食べに、
佐渡唯一の国道、「350号」を西に車を走らせました。

って、鰤も「海鮮物」なんですけどね、さすがに温泉宿で「丼」は出ないでしょう。


しかし! 改めて調べておいたお店はなんと黒くて暗い服を着たお客さんでいっぱい。
どうやら法事で店は貸し切り状態だったのです。

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なんだよぉ、この3連休は観光客が訪れる絶好のかき入れ時期じゃないですかねぇ。

実際ボクらがあきらめて店を出てくると、ボクと同じ地元の情報誌を持った人たちが
次から次へと来てましたよ。

まあ、貸し切りなのはしょうがないですが、せめて入り口に『本日貸し切り』って書いて欲しかったなぁ・・・


さっそく出鼻をくじかれたけどしょうが無い。

予定通り事が進まないのも旅行の醍醐味だ。

ハプニングになれているボクらは次の候補も考えてありますよぉ。



次の候補は肉です!

佐渡にはこのすばらしい自然の中、自由気ままに育てた和牛「佐渡牛」がいるんですよ。

全国の名だたるブランド牛ほどメジャーではありませんが、
飼育頭数が少ない上に、本土側へ運ばないと食肉処理ができないいため輸送費がかさむので、
なかなか食べる機会の無い希少価値の高い牛肉なのです。

そのためちょっとお値段もお高いですが、島内で唯一「佐渡牛」が食べられるお店を目指してみました。

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無事到着すると、そこは小さな喫茶店みたいなところですでに多くのお客さんでいっぱい。

やっぱり3連休だけあって観光客みたいな方たちばかりですよ。

これはちょっと待ちそうだなぁ、と思いつつ覚悟してお店に入るなり店員さんが、
『あいにく今、満席でして・・・』って言うので、「大丈夫ですよ待ちますよ」ボクは言いました。

しかし、店員さんは『今来られたお客様ばかりなので、またお越しお待ちしております』だって。

え? 待っちゃダメ? またの機会ってそんなに頻繁に佐渡には来ないよ。
も、もしかしてボク、やんわりと『帰ってくれ』って言われてる?


はぁ~お店にもいろいろ事情があるのはしょうがないですが、またもやお昼ごはんはオアズケです。


旅のいろんなハプニンはなれてはいますが、腹減り状態がつづくのはキツい・・・

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ついに「国道350号」も1時間ほど走って反対側の「真野湾」に突き当りました。

この素晴らしい風景の色彩にうっとりしたいところですが、
その前にお昼をオアズケにされたままでは満たされません。

一応次の候補も考えてありました。

それは佐渡の東南端にある小木という地域の名物「小木そば」。

その地域には何軒かお蕎麦屋さんがあるので、
「貸し切り」や「混雑」は大丈夫だと思うのですが、ほとんどのお店が午後2時まで。

念のため、その1軒に電話をして確認をとったのですが、
『2時までだけど、蕎麦が無くなったら終わり』って言われました。

ん~、土地勘が無いので閉店まであと1時間以内で到着できるかもわからないし、
行っても蕎麦が無いかもしれないのか・・・

まあ、いいや、そうなったらそれも旅行の思い出。
とりあえず、そっち方面の観光も予定にあるし行ってみるか!

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で、意外に近くて「両津港」から1時間半かけて到着したのは、
「小木港」から歩いてすぐの本町通り商店街にある「七右衛門」です。

なかなか趣のある外観ですが、この辺りは江戸時代初期頃から「佐渡金山」が賑わうと共に
金銀の積出港として発展し、後に西回り航路の寄港地に指定され北前船の交易で賑わったところなのです。

当時、廻船問屋街であり、船員の娯楽の場でもあったこの商店街は
今でもその頃の面影を残し、この日も多くの一眼レフを持った人たちが街を散策していましたよ。

って、観光はあと、あと。


なんとか時間にも間に合い、お蕎麦もあるみたいで、
やっとのこと佐渡に来て最初の食事は「小木そば」を食べる事に決定できました。

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ここ「七右衛門」は創業200の超有名な老舗。

この新潟の寺泊でも見る港町の特徴の奥に長い町屋づくりの建物は、
明治38年に建てられたものなんだそうです。

神棚が2つあるのは小木の町屋の特徴。

雰囲気ありますよねぇ♪


土間を上がり、やっとホッとできて席に座ると、
お店のオバちゃんが『いくつ食べます?』って聞いてきました。

ボクらの頭の中は「??? メニューって?」。

第3候補のお店だったので、まったくこのお店のシステムを調べて来なかったのが悪いのですが、
ボクらの様子を見て、お店のオバちゃんが丁寧に説明してくれました。

『このお店のお蕎麦は1品のみで、そこに並んでいるお茶碗に1杯入って500円』

その並んでいる大き目なお茶碗、小さめな空の丼には、芸能人や映画監督などの
サインが書かれて並んでいました。

『普通の人なら2杯ぐらいは食べられるけど、味見って人は1杯だけ食べて行くよ』


って、ことでボクらは2杯ずつ注文。

息子は残念ながらまだ、お蕎麦はチャレンジしていなかったのでオアズケ。

って、ズルいねぇ大人だけ・・・

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丼には佐渡産の十割蕎麦に刻みネギという、超シンプルスタイル。

これにとっくりに入った冷たい出汁をかけて食べます。

お蕎麦は手切りで太さが不揃いなのがまた良くて、香り豊かで何もつけずに食べてもいけますが、
十割と聞いていたけどボソボソしていなくてツルツルでノド越しも良かったです。

土地柄つなぎに海草を使ってるんじゃないかなぁ?

この蕎麦は秋に収穫した蕎麦の実を挽かずに置いといて、
毎日食べる分だけ石臼で挽きたてをうっているというこだわりなんですって。

そして、この出汁が最高♪

色は淡いけど、アゴダシ(トビウオ)をつかっているそうで、とっても繊細でコクがありました。

「空腹は最高の調味料」と言うけれど、これはそうじゃなくても美味かったですよ。

逆に、この時を体感させてくれて、前の2軒のお店には感謝したいぐらいです。

しっかりと味の裏付けがあるからこそ「七右衛門」は200年もの歴史を刻んでこられたのですね。


ごちそうさまでしたぁ~♪

「七右衛門」(しちえもん)

新潟県佐渡市小木町643-1
電話: 0259-86-2046
営業:11時~14時 ※蕎麦が無くなり次第終了(14時以降は予約制)
定休日:木曜(8月は第4木曜のみ)


さて、お腹も心も満たされたし、さっそく観光です。

これまで3度、佐渡に来ているボクもまだ1度も足を踏み入れた事の無い南端ですが、
そこで前から気になっていた場所、「宿根木」(しゅくねぎ)にGO!です。

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「小木」から10分ほどで「宿根木」に到着すると、
まずは切り立った岩が続く入り江にある港の駐車場に車を止めました。

「宿根木」は今は海の透明度が高く魚が多く住むことから、
人気のダイビングスポットにもなっているのですが、

「小木」と同じく佐渡金山繁栄期に回船業の集落として発展した港町で、
国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されている地です。

ところどころにある白い石柱が気になりますが、これは船を結んでいた「船つなぎ石」だそうで、
これも遠く尾道から石工をつれてきて御影石で作られたものだそうですよ。

集落にも石畳や水路を渡る石橋、石鳥居などにも御影石は使われています。

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その入り江の狭い地形に家屋が密集する町並みは、「千石船」などの造船業が発展していた事から
主にここに住んでいた「船大工」が建てたもので、

ほぼ全てが2階建て、壁や屋根は元々石を置いていたという「石置板葺」を使用した見た目は質素な物。

そういう普通の港町とは違う、匠の技が活かされた独特な形状の
主屋、納屋、土蔵がところ狭しと106棟ほどが並んでいる日本でも珍しい形状をとる集落なんです。


その中で2軒、廻船主の家屋「清九郎の家」と、船大工職人の民家「金子家」が400円で
一般公開されていて、内部を見学することができますが、

この「宿根木」の写真でよく見るのがここ「三角形の家」。

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「塩」の看板がなかなかいい味を出していますねぇ。

江戸時代に急に栄えて人口が増え過ぎた「宿根木」には住める土地が段々となくなってきて、
その狭い土地を有効に利用するために三角形の家にしたそうですよ。

現在ここには「深野さん」という方が住んでいらっしゃいますが、
密かに人気の観光地になっているここ「宿根木」には実際今でも普通に生活されている方も多いので
しっかりと旅のマナーは守りましょうね。

って、「宿根木」に限った事ではありませんが・・・

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ボクの住む新潟市からの航路は「両津港」行きしかなく、
「佐渡島」の南端の方の「小木港」方面には上越の「直江津港」からのルートがあります。

そのためかこれまで「佐渡島」の南端の方には遠いというイメージがあって行く機会が無かったのですが、

独特の発展をしてきた2つの港町はまるで江戸時代や明治時代に
タイムスリップしたかのような情緒あふれる場所でした。


ちなみにこの板の屋根の上に重石を並べている「石置木羽葺屋根」の街並みも「宿根木」の特徴です。

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ちょっとしたハプニングから始まった「佐渡の旅」でしたが、
この歴史が刻んだ美しい街並みが一気にボクのお腹も心も満腹にさせてくれました。


・・・つづくっちゃ。