イカロスⅤとさすらひのちゃりんこ野郎
~1985年-1986年 輝之21歳~
津軽に訪れる春まだ遠く
心の道行く先はなお遠く
凍てつく指に耐えかねて
ふとあなたの名をくちずさめば
降りしきる雪の彼方から
幽かな海鳴り
~津軽 さだまさし~
酸ヶ湯、来てよかったよ。
7,500円の出費は大きかったけれど
やはりそれだけの価値はあったよ。
風呂は最高だった。
今まで入った温泉で、間違いなく一位だよ。
総ヒバだ。
木の湯舟に入ったのなんて初めてだ。
昔の五右衛門風呂を思い出したよ。
あれも、げす板だけは木だったもんな。
やはり木のぬくもりはいいよ。
あの陶器の風呂の内側に木をはりつけることができたら
最高だろうな。
やってみよう。
木の成分が出ていそうだ。
それに、下の板も厚いよ。
最低3センチはあったな。
ケチってないところが気に入ったよ。
それから暗いんだ。
最初は、あれ?湯舟どこにあるんだろう?
てなもんよ。
薄明るい丸い電灯が十数個あるだけだ。
最初はとまどったけど、この方が雰囲気でていいね。
それに女性もはっきり見えないしさ。
といっても、おばさんかおばあちゃんだけどね。
楽しみにしていたのになあ。
まあシーズンオフで仕方ないか。
しかし、女性もいるほうが自然に感じるね。
男だけの風呂なんて考えただけでもおかしいね。
世の中、男女共存なんだもん。
裸のつきあい、大切だよ、うん。