まだ、蓮を育てて3年目ですが
1年目、2年目に知りたかった事とか
3年目に気付いた事などを纏めて置こうと思います。
蓮の種を手に入れたら
入手時期にもよりますが
蓮の種は冬を経験しないと発芽しません。
⇒以下の春化処理をしなくても発芽しました。
春化処理は必須では無い様です。
しかし、確実性を上げる為には
寒さを経験させる方が良いかも知れません。
2022.9.25追記
夏の早い時期に新しい種を入手してスグに植えたい時などは
冷蔵庫で2~3日ほど冷やして【春化処理】と言う手順を踏まないと
折角の種をダメにしてしまいます。
急がない場合は袋に入れて保存して置いて
真冬に一週間ほど外に出しておけば間違い無いです。
春になったら種の外殻を削る【発芽処理】を行います。
蓮の種は頑強で、これを傷付け、削らないと
水に浸してもふやけて来ないのです。
『じゃぁ、自然界では芽吹かないのか?』と思ったりしますが
完全に硬化する前に落下したり
豪雨などで土砂混じりの流れに揉まれたりして傷付くと
この発芽処理と同じ効果が発揮されて芽吹くそうです。
そして、蓮の種はとても長持ちします。
大賀ハスとか古代ハスでググって見て下さい。
発芽処理を行う時期ですが
あまり早くに行うと、寒の戻りの低温に負けてしまうので
4月に入ってから位がちょうど良いと思います。
削る場所は基本的にはお尻側ですが
何処を削っても何だかんだで芽吹くそうです。
水温にもよりますが、大体、4日くらいで芽が出て来ます。
発芽率はかなり高いですが
奇形率もソコソコ高いです。
こんな具合に捻じれていたり、葉先が極端に小さかったり。
そんな種は定植しても育ちが悪いので破棄しましょう。
良い種は素直に真っ直ぐ伸びます。
因みにこの種は【伊賀の炎】の種で8/3に開花し
なんとか2輪咲きました。
育成容器は一般的には2リットルのペットボトルがお手軽です。
早く育って欲しくて直射日光に当てると
ペットボトルやビニールパックだと、あっという間に40℃を超えて
煮えてしまって葉の撥水能力が失われてしまい
その後の発育に支障が出てしまいます。
暑い日は密封せず、蓋を開けて置いた方が良いです。
てか、直射日光は避けて
明るい窓際とかの方が良いと思う。
もし、場所に余裕があればトロ舟などの広い容器に入れるのも有り。
その場合、複数の種がある時は名札を付けておかないと
どれが何やら?分からなくなるので注意。
浮葉が3枚出ると、次に、こんな尖った芽が出て来ます。
これが蓮の成長点です。
コレを折ってしまうと一巻の終わり。
なので、絶対に折らない様に注意深く扱いましょう。
細かい植え付け方法はハッスー和尚様や
杜若園芸の鈴木さんのYouTube動画を見て下さい。
続いて、植え付けの容器ですが
なかなか、底穴の開いていない物件が無いので困りもの。
小型の【碗蓮】に区別される品種の場合は
こんな丼鉢でも、ある程度育ちます。
こんな風に、ちゃんと花芽も出て来ますが
スグに地下茎が容量を超えてしまい
ウォータースペースが無くなってしまいます。
そんな時は、容器よりも大きめのバケツに沈めると
小さくて可愛い花を見る事が出来ます。
しかし、やがて地下茎が容器から溢れ出して収拾が付かなくなるので
碗蓮を育てる場合は7号鉢と呼ばれる
開口直径21㎝くらいの容器が現実的ですね。
因みにコイツはダイソー神のゴミ箱¥100です。
大き過ぎず、小さ過ぎもせず、バランスの良い花が咲きます。
蓮根からスタートする場合は
通常は3月初め頃に植え込むのが一般的です。
種よりも1ヶ月ほど早いスタートですが
株分け作業をしなければならないので
あまり遅いと芽が動き始めるので扱いが難しくなるのです。
株分け作業の細かい注意事項は
ハッスー和尚様や杜若園芸の鈴木さんのYouTube動画を見て下さい。
中型~大型種を植え込む容器ですが
出来るだけ大きくて、開口部と底部の大きさの差が無い
寸胴型が良いです。
コレは今年、咲かなかった【孫夫人】を植え込んだ際の画像ですが
御覧の様に、開口は51㎝も有りますが
底部は34.5㎝しか無かったので、この娘には小さ過ぎた模様。
コスパが良いのはこのストロングタブです。
内径45㎝有るので中型から大型種まで対応出来ます。
しかも寸胴型なので地下茎も機嫌を損ね難いです。
逆に、この容器で咲かない娘は園芸向きじゃ無い。
色は黒っぽい方が良さげ。
白っぽい容器は土が温まり難いので立ち上がりが悪いです。
あと、プラ鉢は日光で透けるので
色が濃い方が根に光害が出難いと思われます。
信楽焼などの焼き物の鉢は風情が有って素敵なのですが
重いし、値段もプラ鉢より1桁高いので
その辺は財布と相談して下さい。
続いて用土ですが
田んぼの土が最強らしいですが¥高いです¥
庶民は赤玉土に腐葉土と完熟牛糞堆肥を混ぜたものでOK。
花と野菜の培養土なども使えますが
元肥がどれだけ入っているか?分からないので
肥料設計したい人には不向きですね。
赤玉土系は練って使った方が良いそうですが
とても疲れるので小粒をそのままでも大丈夫です。
牛糞を入れておくと、一般的な化成肥料にあまり入っていない
いわゆる微量要素と呼ばれる成分が含まれているので
きっと、為になるはず。
次に肥料です。
基本的には化成肥料を使うのが無難な様です。
来年、住友園芸化学さんの
【マイガーデン】で一発肥料の実験をする予定ですが
通常は10-10-10とか8-8-8を使います。
薄目を心掛けて管理した方が良さげなので
マイガーデンの他に6-6-6も試してみます。
一般的な化成肥料には微量要素と呼ばれる成分が
含まれていない物が多いので
それらを補足する意味で液肥を入れても見ましたが
栽培水に藻やアオコが湧いて収拾が付かなくなるので
止めた方が良いです。
どうしても微量要素が気になる場合は
↑コイツが肥効期間がそんなに長く無くて
窒素分控え目で色々入っていて良いかも。
元肥として使えば
秋・冬に残留成分が濃く残って蓮根を腐らせる事も無いでしょう。
肥料の多寡の管理はECメーターを使うと便利です。
電気伝導率を測る事によって
栽培水に溶けている肥料の量を推測する事が出来ます。
¥1000~¥2000くらいでピンキリです。
北吉田蓮の郷のボランティアさんは300μs/㎝が下限
ハッスー和尚様は250~800μs/㎝と教えて下さっています。
実際、葉や花を見て足りているか?過ぎてないか?を見極めるには
かなりの経験を積まないと無理だと思うので
このアイテムは有って損はしません。
コイツと相談しながら
基本的には2週間に1度のペースで追肥します。
量は前述のストロングタブ45で小さじ2杯くらい。
品種によって吸収量が違うので少な目を心掛ける。
あと、pHも測れと仰る方も居ますが
専門家じゃないので、そこまでしなくても大丈夫です。
追肥を始めるタイミングは、種スタートも蓮根スタートも
こんな風に立ち葉が1~2本、立った頃です。
それまでは種や蓮根から養分を得ていて
肥料を与えなくても十分に育つからです。
蓮根から始めた株は
上手く育つと、早いものでは5月の中頃には花芽が出始めます。
遅いものでも6月の中旬には出て来ていないと
そのシーズンでの開花は怪しくなって来ます。
種からスタートの株は
その年に咲くものは7月中頃には花芽が出て来て
8月の初め頃には咲き始めます。
咲いていない株は
鉢の大きさは足りてるか?日射量は十分か?
肥料が多過ぎないか?少なくないか?など
栽培状況を見直さないといけません。
鉢が小さいな、と思ったら【鉢増し】と言う作業を行うと
咲いてくれる場合が有ります。
コレは、どれくらい小さな容器でも咲くのか?
実験をしていた粉松球ですが
さすがに3.5号では小さかったので7号の花瓶に鉢増し。
約1ヶ月半後には一気に4つも蕾を上げるまで成長しました。
こんな感じで、鉢増しすると根詰まりで咲かなくなっていた株も
息を吹き返して再び咲いてくれる場合もあります。
次に、花の形状です。
蓮の花は栽培容器の大きさで少し、変化します。
粉松球で比べてみると
上の画像が直径21㎝の花瓶で
↑この花は径18㎝の丼鉢。
7号ポットで根詰まりした株をストロングタブ45に鉢増しすると
こんな豪華な花になりました。
そして、花の中央の花托に注目して下さい。
小さな容器だと↑こんな形の、種の出来ない花托なのですが
↑大きく育てると種が実る花托に変化します。
↑コチラはホームセンターで売れ残っていた【綾乃】ですが
38㎝容器で育てたウチの綾乃はこんな感じ。
種が出来ないと思っていた品種も
大きな容器で育てたら出来ちゃったりするので
自分だけの新品種を作る時に使えそうです。
最後に
今シーズンの痛恨の極み。
ナゾの黄変です。
肥料を工夫しても、置き場所を変えても
何をやってもレタス色の葉が出て
茶色い斑点が出て枯れてしまう症状。
ここから回復したのは生蓮寺華蓮ただ1株だけ。
大賀蓮実生を試しに掘り返してみたら
まだ梅雨の時期だったのに太った真新しい蓮根が出来ていました。
つまりは、腐敗菌が入ったりした病気じゃ無かった訳です。
では、なぜ、こんな事になったのかと思い返せば
黄変した株は、春先の寒の戻りが有った時に
こんな風に浮葉が立ち枯れしてしまっていたのです。
榎本先生曰く
『浮葉を寒気で枯らしてしまうと、蓮自体が秋気を感じて枯れてしまう』
との事でした。
水位の管理は浅くしておいた方が
日中の温度上昇が早いので生育が良くなると聞いて
御覧の様に浅くしていたのが裏目に出た様です。
極端に深くするのも問題がありますが
気温が高く安定するまでは、やや深めの状態で管理して
上の画像の様に、浮葉が立ってしまって茎が水面に露出しない様に
来季は気を付けようと思います。
⇒気を付けても立つヤツは立つし
無理に押さえ付けて水面に誘引しようとすると
擦過傷が出来て逆効果でした。
基本、放置するしか手は無いです。
2022.9.25追記
でも、同じ様に立ち枯れした小三色蓮や昭君顧影は
そんなの関係ねぇ!とばかりに普通に咲きました。
やはり、品種によって耐寒性は異なる様です。
改めてハッスー和尚様の著書を読み返すと
復活出来なかった生蓮寺蓮の
秋彼岸が過ぎても咲く為に仕込まれた片親は
寒さに弱いと紹介されている【生蓮寺白彼岸】で
なんとか復活した生蓮寺華蓮の方は【マムカラ】でした。
なんとなく納得です。
今年、大活躍だった【桃姫】の片親も【生蓮寺白彼岸】なので
春先の管理には注意が必要ですね。
以上、長々と書きましたが
小分けに書いて行方不明になるよりも
まとめて置いた方が、何かで誰かの役に立つかも?と思い
書きなぐった次第ですm(_ _)m