2013年以降の温暖化対策の国際枠組をめぐって、昨年11月28日から12月11日までの約2週間、南アフリカのダーバンで開催されましたが、日本は京都議定書の延長に同意をしませんでした。
【理由】日本の主張
温暖化防止のためにはすべての主要排出国が参加する単一で公平な枠組みが不可欠である !
アメリカ合衆国はまだ京都議定書を批准していないため削減義務は課されていない。
京都議定書の第一約束期間(2008~2012年)において温室効果ガスの削減義務を負う国は、日欧など現在の世界全体の排出量の27%しかカバーしておらず、2050年には2割を下回ると見込まれている。このまま第二約束期間の設定という形で京都議定書がひとたび延長されれば、削減義務を負う国が固定化し、義務を負わない国々からの排出を抑制する手立てがなくなり、地球温暖化の防止に逆行する。また、経済がグローバル化する中で、一部の国だけに削減義務を課せば、削減義務を負わないより非効率な国に生産が移転し、かえって世界全体の排出が増加する、いわゆる「炭素リーケージ※」が生じる。従って、京都議定書に代わる新たな枠組が不可欠であると主張しているのです。
※炭素リーケージとは
A国が厳しい削減目標で、他のB国が緩やかな削減目標となって、AB国間の排出コストに相違が生じた場合、規制水準の低い国B国への生産がシフトしてしまい、B国の温室効果ガス排出量が増加すること
京都議定書における数値目標は2008年~2012年の「第一約束期間」に設定されており、これに引き続く2013年~2018年を「第二約束期間」と呼ぶ。
この数値目標交渉が2005年から2007年までの間に行われることになっている。
なお、第一約束期間では、温室効果ガスの削減への取り組みの第一段階として、締約国の温室効果ガス総排出量を1990年から少なくとも5.2%を削減しなければならないと規定されている。
日本には、第一約束期間の5年間における温室効果ガスの平均排出量を、基準年(CO2、CH4、N2Oついては1990年、HFC、PFC、SF6については1995年)の排出量から6%削減するという目標が割り当てられている。
合意したこと
(1)京都議定書第2約束期間の設定と日本の不参加
(2)米中印を含むすべての国が参加する将来の枠組みに向けたプロセス
(3)カンクン合意に引き続き、各国の中期目標に「留意」すること等
日本政府としては、震災処理を説明し、米中印などすべての主要排出国が参加する枠組みを構築すべきと主張するとともに、第2約束期間と2020年について削減目標を書き込まないよう尽力した。
京都議定書の第2約束期間については、現行の約束期間(08~12年)終了後、切れ目なく移行することが合意され、欧州連合(EU)、ノルウェー、スイスが参加することとなった。一方、日本、カナダ、ロシアの3カ国については、合意された最終文書上、別扱いとされ、第2約束期間に参加しないことが国際的に認知された。
将来の枠組み
(1)2015年までに交渉を終え
(2)20年から発効させる――という2点
しかし、その法的性格については、「法的効力」の定義も明確ではなく、さまざまな解釈が可能
日本は具体的に2020年までにどのような取り組みを進めていくかが大きな課題
経団連低炭素社会実行計画など官民一体の取り組みを進めつつ、
わが国が推進してきた二国間オフセットメカニズム※やセクター別アプローチなどに引き続き取り組んでいくことが求められる。
※二国間協議のもとで、技術移転の結果として実現した排出削減の一部をわが国の貢献分として評価する仕組み
これに伴う、国内クレジットも盛んになるのでしょうか?
何れにせよ、来年度以降の削減目標を決めない限り予算も何もかも決まらない状況です。