伊藤信夫さんを悼む
あなたの訃報に接したとき、私の脳裏に浮かんだ言葉がありました。「とにかく、人類は頭一つだけ低くなった。しかも、人類が持っている最も大事な頭一つだけ」。それは、マルクスの死に際してのエンゲルスの言葉です。
あなたは、不思議な方でした。だれの意見もよく耳を傾けていました「そうしょう」とは言っても、ダメとは、決して言いませんでした。時に、次の日にはそれとは違う事を言いました。昨日のことなどまるでなかったかのように。でも、だれもそれを不満に思う人はいませんでした。あなたが正しい判断をしたのだと知っていたからです。あなたは、知恵と人格で餃子会をまとめあげました。あなたがいれば、餃子会にはなんの憂いもありませんでした。現役を退かれてなおそうでした。私たちは、餃子会をつくり、育て、支え続けた人、宇都宮餃子の象徴であった一番大事な人を失ってしまったのです。喪失感は言うべくもありません。
私は、あなたのもとで、仕事をさせていただきました。そうしたあるとき、「私の一番の部下です」と、ある人に紹介していただいたことがありました。私は、このことを生涯の栄誉だと思っております。とりわけ、あなたからということが、一番嬉しいことでした。なのに、最後まで、お応え続けることができなかったことを、私は悔い続けています。
今、一つの時代が終わったという思いを噛みしめています。荒涼たる気持ちが、去来するばかりです。
しかし、今は、お別れを言うしかありません。さようなら。ありがとうございました。
2019年6月25日
上 馬 茂 一