昨年11月にオープンしたアートギャラリーTHE MIRROR in 松川ボックスへ、雨の中でかけていった。
松川ボックスとは?
建築家・宮脇檀の傑作。1971年に竣工し、1979年には建築学会作品賞を安藤忠雄の《住吉の長屋》と同時に受賞。コンクリート製のボックス内部に木組の住宅を嵌め込むデザイン。
これまで一般公開されることはなく、2023年にギャラリーとしてオープン。
入り口が分かりづらくて、しばらくウロウロしてしまった。(奥の方にある)
確かに、見た目コンクリートボックス!
隣家との境の赤い木の塀から中庭や奥の隣家が見える。円筒形の部分は松川ボックスの別の棟で一般の方がお住まい。
別棟の入り口は青。・・・かわいい・・・。玄関先の緑が雨に濡れていい感じ。
ライトも雰囲気にあっているデザイン。夜はどんな感じだろうか。
予約時間になったのを見計らって、扉を開けて中へ。
この日は雨がひどくて入り口に看板もなく、どきどきしながらドアノブを回す。
入ってすぐ右側のリビングが受付に。
特別展示の浜口陽三の油彩画、「サンフランシスコの赤いカモメ」1989年
リビングから観た中庭と隣家。
1時間1,000円、完全予約制。
パンフレットを頂ける!
飾られた作品は数少ないけれど、ゆっくり座って眺められるし、読書や昼寝もokと書いてある!撮影OK!要するにあの建築空間ごと、作品を味わう場所なのだった!空間利用料!
えっ、2時間ぐらい買いたい。昼寝、してみたい!!
こじんまりした和室。
松川氏は3人家族、この和室はお手伝いの方が寝泊まりしていたそう。
窓はちいさくて、天井も低め。包まれているような安心感がある。ここでお昼寝できたら最高。シンプルなライトがモダンな和室にぴったりだった。
リビングの壁際にドームのランプ。
玄関からキッチンへ繋がる廊下。
照明がカッコいい!
階段を昇って二階へ。
わ~!踊り場は吹き抜けで、こんな素敵な作り付けの椅子スペースが!!
しばらくここに座って空間を楽しんできた。
木は使い込まれてなめらかないい触り心地。クッションを置いてここで本を読んだりしたいな~。
踊り場から下を眺めるとこんな感じ。玄関もリビングも見える。
天井からの柔らかな光。
硝子が波打っているため、眩しくなく、乱反射して明るいそうだ。すごい!
こんな高い場所に二つのフックが。展示の際に使うように後付けだろうか?今度聞いてみよう。
廊下には展示や松川ボックスの設計図などが。
奥の部屋は寝室だったところ。
寝室には吹き抜けの天井側に壁と窓が。柔らかく明るい陽射しがはいってくる。
部屋というものは、大きなガラス窓があるものとばかり思っていた。
小さなあかりとりの窓が二つあるだけなのに、明るい。こんな雨の日なのに。
一冊一冊手に取ってパラパラと。
建築家・宮脇檀の本も何冊も。いろんな素敵な家を生み出していて、そのアイデアに驚く。
人が住む。
その空間で、生きて暮らす。
もうここにはいない、松川家のご家族の在りし日。
もうここにいない、建築家・宮脇檀氏の想い。
この家を建てた人々も、ご存命の方は少ないだろう。
古い家が残されて活用されていくことの尊さ。
しん、とした松川ボックスの畳の部屋に座り込んで、流れていく時間に身を任せて。
こんな家に暮らす毎日ってどんなかな。ここにいる間中、ここで起きてから眠るまでの一日を夢想していた。設計した宮脇檀ってどんな人だったんだろう、と調べてみたり。
宮脇檀設計の家訪問の記事をみつけた↓(解体前の見学会・・。解体されずに残った松川ボックス、やっぱり貴重なんだなぁ。)
https://www.riotadesign.com/blog/170828.html
トイレは木の壁、レトロで可愛い。
マルセル・デュシャンの『泉』(Fontaine)の写真が飾られていて、白黒写真と木の額縁がなんとも・・お洒落~~!!遊び心を感じて笑ってしまう。飾ったのは、松川ボックスの所有者でいらした松川氏かな?松本民藝家具を置いていたそうだから、額縁もその雰囲気。
この日はTHE MIRRORオープニングイベント第二弾「春の音色を聴く~有本利夫in松川ボックス」へ↓