「お母様、最近身をかがめながらお食事を召し上がっていらっしゃるので、視力低下があるかも。眼科の受診を。」と施設から電話を頂いて、施設の近所の眼科を受診。両目とも白内障。そこは手術をしていないので、手術のできる病院へ紹介状を書くとのこと。
しかしながら、両親の施設のある場所は、実家があった場所でもなく、私の住まいからも遠い。これまで全く縁のない土地。(・・認知症の両親二人、当時は要介護1と2。生活は二人ではもうできないけれど特養にも入れない。2千万近くの一時入居金払うほど貯金はないため、入居金は月額の三か月分程度の値段の最も安い施設を選んだ為。)
眼科なんて知らないけど?!
特に施設と提携している眼科もない。とりあえず国立の眼科を紹介してもらったその帰りのタクシーで、運転手さんが地元で評判のよい眼科を教えてくださり(後光)そちらで手術ができれば、と予約を取って2週間後に連れて行った。
白内障手術、91になる同居の義父も80代で受けているが、認知症もなく元気な義父は一人でスタスタ病院へ行き、元気に帰ってきて、付き添いもなく、どんなものかよくわかっていなかった。(通院付き添いしたの、前立腺がんの時だけ!それ以外は全部一人で受診してるから、ほんっとありがたい~~おじいちゃん、ありがとう・・。私、恵まれすぎていた。)
ネットで検索すると、認知症だと断られる場合も多い、手術は局部麻酔なので怖がって暴れたりするかも。入院で全身麻酔で受けたほうがいい、などなどなど・・・。
行きのタクシーの運転手さんと世間話をしていると、「クリニックって名前の病院は入院できないって決まってるんですよ。白内障だったら一泊二日で入院した方が安心。」とクリニックでの手術に眉をひそめる・・・。にわかに不安に。
クリニックの女医さんは評判通りとてもお話しやすく、丁寧で親身になって不安を聞いてくださり、本当にこの方にお任せ出来たら安心!な方ではあった。
が、手術の日程を伺うと・・・
①手術前検査
②片目手術(手術は10分くらいじっとしている必要がある。)
③翌日経過観察の為診察
④一週間後に経過観察
⑤片目手術
⑥翌日経過観察の為診察
⑦一週間後に経過観察
⑧三週間後経過観察
⑨翌月経過観察
・・・・施設まで往復4時間っ!手術の時は泊りにするとして・・。そんな通えるのだろうか?しかも免許のない私は、電車&バスで施設へ行き、タクシーで母を病院へ送迎せねばならず、雨の日はタクシー台数が少ないのでタクシーに乗るのに30分以上待たされることもある。
その二週間前に母が部屋で転倒し、肋骨にひび。整形外科月一受診の予定が入ったばかり。
私、倒れてしまうのでは???・・気が遠くなった。(翌月再び転倒し、圧迫骨折になり、さらに追い打ち。。二日ほど完全に心折れた。復活したけれど。)
日帰り手術はこちらでもできますけれど、どうします?と。
迷いに迷い、糖尿病もあるし・・一泊二日にしたほうが私も楽なのでは?不安が勝り、入院できる病院に・・します・・と国立病院への紹介状を書いて頂いた。
「私だったら、同じようにとても迷うと思いますよ。」女医さんの言葉がとても沁みた。
頂いた紹介状を持って、予約の取れた3週間後に一泊二日での手術のできる国立病院へ。(日帰り手術はない)
様々な検査や手術の説明を伺い、最後に医師との診察で手術日などを決めようとしたその時、
「入院の際、もしせん妄がでましたら拘束させていただきます。それをご了承いただきたいのですが。」
はいはい、大丈夫です~(大腿骨骨折の時、せん妄でて点滴外しちゃうから、拘束やったことあるしな~。)
「それと、もし、拘束でもどうにもならなかった場合は、夜中でもお迎えにきていただきます。」
・・・はい?あの~、ちょっとそれ詳しくお願いします。拘束でもどうにもならないというのは、具体的には?
「暴れたりです。」
女性でも?
「男女関係なく、せん妄がでるとすごい力なので、夜間は人手も少ないですしそこまで人員がさけませんから、お帰り頂くしかないんです。」
(・・・え~~~~~~~っ!!拘束でもどうにもならないほど暴れたりしてる人を?夜中にタクシー呼んで連れて帰るのですか??私一人で?しかもっ・・施設だって夜勤の職員さん一人っ・・。部屋に父はいるけども役にたつのだろうか???)
それ、とても無理なんですが・・。多分それはないとは思いますが・・大腿骨骨折時に一度せん妄はでて拘束は体験あるのですが、そこまでではなかったので・・と伝えると
「・・あるんですか・・・。う~ん・・・。そうなるとちょっと。」
え、でもそこまで暴れたりはありませんでしたけど???それでも??
「そうですね~・・だいたい高齢者の方のせん妄の原因は、いつもと違う場所にいるってことなので。手術ではないんですよ。ですから、本当は日帰りの方が・・。」
えっ、え~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!
とりあえず、もう実家はないし、私は東京から来ていてとても自宅に連れ帰れませんし、施設も夜間は人が少なくてそんな状態の母を連れて帰るわけにはまいりませんので、ちょっと施設の方と今から相談させて頂いてよろしいですか?と時間を頂いた。ご家族とご相談なさっては?と言われたけど、親と折り合いのよくない姉は来ないわけだから除外。息子は独立しちゃったし。私が決めるしかないので!!これが一番大変。自分のことではないのに、そこで即座に判断しなければならない状況が!!
施設長さんに事情を話すと・・・やはりそれは不安ですね、と。送迎大変でも日帰りの方がいいかもしれませんね、直近で利用者さん日帰りで手術なさったばかりで、対応はちゃんとできますからご安心くださいとのこと・・・。
結局、もとのクリニックに紹介状を書いていただくことに!
もうなんだか、あっちこっち子どものお使いかよ?!と力が抜けてしまった。
私は認知症の高齢者のこと、ほんとまだよくわかっていない。
日帰り手術しかしないクリニックでは、せん妄の情報なんてわからないだろうし・・。ネットの情報でもここまでは出てこなかった。
もし私が近くに住んでいたら、躊躇せずにさっさと女医さんのクリニックで日帰り手術にしていただろうに。
よかったこと。
①先週の整形外科受診では圧迫骨折の痛みでよく眠れていないのか、全く喋らず、うつらうつらしてす~っと寝てしまっていたが、痛みが軽減したのか、かなり元気そうでお喋りも活発に。
私のバカラのクロスのネックレスに目を留めて、「素敵!これお姉ちゃんも持っていなかった?私も今日はガラスのネックレスしてきたの、これ、旅行で買ってね。」などと昔話が。姉は赤のハートのバカラのネックレスを私がプレゼントして持っていて、でもそれ、30年前の話。そんな昔のことを突然思い出すなんて、回想法じゃん!
(50年代後半ヴィンテージワンピース。「バッグの房やレースもかわいい!楽しいわね、こういうの。」と母は待合室でずっと手で触っていた。毎回私の身に着けているアクセサリーやバッグや衣類に必ず目を留めるので、回想法を狙って必ずお洒落していく。靴だけは履きやすい靴だけれど。)
※回想法とは1960年代にアメリカ老年学の草分けともいわれる精神科医、ロバート・バトラー氏によって提唱された心理療法。会話しながらその方の人生を振り返ったり、写真や映像を見て過去を思い起こすことで、気持ちの安定やコミュニケーションの活性化に繋がる。
「回想によって、自分がどのように生きてきて、どのような存在であるのか。両親や兄妹、自分の育てた子どもたち、どのような人々に囲まれていたのかを取り戻すきっかけに。認知症によって、時間の見当識が混乱すると、遠い過去や現在の認識が入り乱れ、いま何年で何歳なのか、季節はいつなのかわからなくなる。過去の足跡をたどり、今にたどり着き、明日を想う。回想にはそのような力もある。」