「近代絵画」小林秀雄 新潮文庫

地下二階のアンティークなものに囲まれた広い喫茶店。ジャズピアノをBGMに静かでゆったりとした時間が。

 

 

’↑試し読みできます)

 

オリジナルブレンド・シャンティーを頂きながらの読書タイム。

 

小林秀雄の文章は昔現代文の教科書で読んで、日本語なのにさっぱりわからなかった記憶がある。

 

ゴッホの複製画の前で身動き出来なくなったくらいゴッホに魅入られた人なだけあって、ゴッホの章は感情的で熱い!

ゴッホの書簡集を魂の告白文学とすら呼び、一冊本を出している。それが面白く読めたので挑戦。

 

他の画家についてはどんなこと書いてるの?

まさにそれがテーマの一冊。

モネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ルノアール、ドガ、ピカソ。今勉強してる西洋近代画がバッチリ。

 

ドガまで読了。

知らないエピソード満載で面白い。(知らない言葉も多いので脚注頁をめくり、スマホで調べながら。)デッサンに重きを置いて沢山描いていたこと、姪の叔父を擁護する発言などなど。

 

仲間たちにコローが描けるか?!と言われたドガがコローそっくりな絵を描いてみせたエピソードが!!ドガ、風景画描けるの?!描けるけれど、興味はそこになかったのか!

 

 

1886年の第8回印象派展にドガの出品した入浴する女性の連作のパステル。それを小林秀雄はこんな風に評している。

 

「パステルに、この様な魅惑を創り出せるとは誰も考えてはいなかった。それより、女の裸が、この様に描かれた事はかつて無かった。女達は皮膚さえ剥がされていた。女達は、滑らかな皮膚の下で、神経を慄わして、真っ裸になっていた。女達は、誰の為にも、ポーズしていなかった。見る者は、 女達の私室を覗くドガという画家を見た。彼の女達に対する侮蔑と嫌悪とを読んだ。

それほどドガは既に孤独な女体研究者となっていたのである。彼の精神は、もはやデッサンとだけしか応答していなかった。」

 

‥言っちゃってるー!ズバリ!!

覗き見趣味&孤独な女体研究者‥。

 

亡くなってから自宅でごっそり見つかった彫像の一つをアーティゾン美術館の常設展でみてきたばかりで。

ほぼ目が見えなくなってから作っていたものなんだと思うとほんとーにすごい。

ほとんど見えなくなってもこれだけの女性の裸体を彫像で作れるって、女体研究者の名に恥じない、というか‥。

でも女性への侮蔑と嫌悪でなく、限りない憧れ&妄想なのでは?と、思う私。

(山田五郎さんがフィギュア作る人の先駆けって配信で言ってらしたのを思い出し会場で笑みが・・。)

 

 

 

 

あの時代に生きた小林秀雄が、近代絵画をどう視たのか。時代を経ても古びない一冊。

 

 

とても面白かったのでぜひ↑