生誕150周年高精細画人@練馬区立美術館へ。(2024年3月26日~4月21日)

 

頭は緑、身体は白い馬?真っ白な象、カラフルなキリン・・不思議な可愛い公園内にある練馬区立美術館へ。

 

 

 

明治に活躍した旧派の日本画家、池上秀畝(いけがみしゅうほ 1874~1944)

新派も旧派もわからないけれど、新派の菱田春草らの名はなんとなく知ってはいる。同時代で文展で特選、帝展で審査員を務めているほどの存在なのに、池上秀畝の名は知らなかった。ポスターの美しい鳥の板絵に惹かれて行ってきたのだった。

 

・・・立派なお鬚っ!!

 

展示室の入り口

 

撮影不可なので、すべてチラシから。

 

 

美術館の背の高い壁一面に四枚の掛け軸。見上げるような大作。目の覚めるような艶やかさ。保存状態もよく、まるでつい最近描いたかのようで美しさに見惚れる!大迫力!

 

翠の色が日本画のあのなんともいえない明るい色。マラカイトから出来ているものでいいのだろうか、明るく発光するようなみどり。紫陽花や朝顔も綺麗。

 

旧大名家、蜂須賀公爵邸の杉戸絵。こんな美しい扉があるお屋敷ってどんな?とドキドキしてしまう。ガラスケースもなく表も裏も間近で観られるのが嬉しい。(公爵邸は現在オーストラリア大使館になっているそう。)

 

羽根の部分。一本一本の細かさに唖然とする。宝石と金細工のよう。

 

 

 

こんな屏風を飾るおうちって??と展示を見ながら驚いてしまったが、近代の屏風は生活調度というより、多くの作品が並ぶ展覧会で大画面で目を引く為に描かれていたようだ。あ、なるほど~!確かに六曲二双の屏風も一双の屏風も大迫力!

 

靴を脱ぎ真新しい畳に座って、マイナスイオンたっぷりの爽やかな香りが漂ってくるような竹林に鷺図の屏風を眺められる場所が設置されており、間近で屏風を体験できる!!間近に座ってみると、折れ曲がった屏風は立体感があり、そこに大きな広い窓が開いていて、屏風の中の光景が繰り広げられているような生々しさ。飛び立っていく鳥はお腹を向けていて、ちょうど座って見上げたらこんな感じに見えるだろう絶妙さ加減。ガラスケースを通して立ったまま向こうをみるのではない体験、貴重!

屏風は替えるだけでそこにはない光景の臨場感を感じさせたりできるものだったのだなぁ・・。

 

 

目黒区のホテル雅叙園の装飾にも関わっておられたとのこと、会場に動画が流れていた。

雅叙園が作られる時、300人以上の画家たちが集められ、雅叙園に飾る絵を描いたエピソード。写真を観た途端展示で行った百段階段でこの写真を見たな、と突然記憶の蓋が開いた。当時は鏑木清方をかろうじて知っているくらいで、若い画家さん達に囲まれた池上秀畝の姿を偉い先生なんだろうな~などと考えながら眺めていたのを思い出す。(立派なお鬚だなぁ~とその時も・・)

 

観たものが繋がった時のこの爽快感!展覧会に通っているとよくこういうことがあり、それも醍醐味。

 

目黒雅叙園「秀畝の間」の池上秀畝の描いた天井画

当時、雅叙園の「秀畝の間」も見学したのだった~~~!その時はわけもわからず見ていて、へ~~綺麗だな、ぐらいだったので、写真があまり残っていない!!もっと撮ればよかった・・・。天井画も一部分。

 

秀畝の間の柱の彫刻の方にばかり気を取られていたのでこの二枚しか残っていない・・・。勿体ないことを・・。

 

中央画壇で活躍した秀畝、1929年にはパリで開催された巴里日本美術展覧会に、1939年にはアメリカのニューヨーク万国博覧会に出品したそう。年代的にフランク・ロイド・ライトは絶対に万国博覧会に関わっているし浮世絵好きだし、秀畝の絵もきっと観ているだろう。ライトはどう感じたかな?などとニコニコしてしまう。

 

 

写生する池上秀畝。この真っ白ないでたちは????仙人そのもの!!

 

「本当に巧いものを描けば、宣伝もいらなければ、紹介もいらない。人を感動させる芸を見せればいい。」

 

                              池上秀畝自伝「池上秀畝口述控」より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すっごく面白かった↑学芸員さんたちってすごい。

 

 

今年は生誕150年とのことで、長野県を中心に様々な展示が。

「生誕150年池上秀畝ー高精細画人ー」 巡回展

練馬区立美術館 2024年3月16日(土)~4月21日(日)

長野県立美術館 2024年5月25日(土)~6月30日(日)

 

伊那文化会館で2024年3月30日~5月12日まで展示予定の「蜀桟道」緑と青がきっと美しいのだろうなぁ・・・。観たかった。

 

 
 
(※和の展示も観に行こう!第三弾)