ゴッホと静物画展 伝統から革新へ@SOMPO美術館(会期終了)
ゴッホって、こんな絵も描いていたんだなぁ…知らなかった。
ゴッホ ヴィーナスのトルソ 1886年6月
ゴッホ 麦わら帽のある静物1881年11月~12月頃
ゴッホ 髑髏 1887年5月
履き古した靴、本や髑髏、麦藁帽子、ヴィーナスのトルソ、花と花瓶。
身近にあるありとあらゆるものを、様々な技法を試しながら描いていることに気づかされる。彼の実験と試み。真摯に絵に向かう様が手に取れるよう。
野ぼたんとばらのある静物 1886年~1887年
一見ゴッホの作品のようには見えないけれど、X線写真ではこの絵の下に二人の格闘家(レスラー)の絵が描かれていたと判明し、ゴッホがテオに「ふたりのレスラーを描いた。」と手紙を書き送っていること、ゴッホが使用した絵の具がこの絵でも使用されていると科学的調査によって確認され、ゴッホ作と認定されたそう。
ゴッホは事細かに手紙を書き送っていて、すごい・・。
会場にはゴッホの言葉の抜粋が白い壁に展示されていて、なんだかその言葉にも惹かれた。
アイリス(部分) 1890年5月
紫の絵の具は剥げ落ちてしまい青のアイリスに!!!よ~くみると紫の絵の具が残っている・・。
ひまわり(部分)
分厚い絵の具。黄色と緑を基調にした明るい作品。
ゴーギャンとの生活は夢見たようにはいかず、彼は耳を切り落とし、ゴーギャンはゴッホの黄色い家を去っていく。
その直後に描かれたという静物画。とても好きだ。夢破れ複雑な感情に支配されていたであろう時の絵にとても思えない。明るい光に満ちている。
絵を描いている間、彼は幸福だったのだろうか。現実世界がどれだけ厳しく彼の想いが受け入れられることはなくとも。
そうでなければこんな穏やかで優しい絵は描けない気がする。
私はこの絵の前にいるととても落ち着くのだ。不思議なことに。
思い込みが激しくて、側にいたら苦しいだろうなぁ・・。
あんなに苦しみながらも、彼の遺した絵は優しい。
色も筆あとも優しい。
穏やかな空気に包まれるような。
ゴッホのイメージがぐいっと変化して、私はゴッホを全く知らないなぁ・・・ゴッホをもっと知りたいなぁ・・。そんな風に気持ちが揺り動かされた。
ゴッホの遺した膨大な書簡。
そこに書かれた彼の言葉に惹かれたからかもしれない。
夕方に観に行き、閉館時間ぎりぎりまでいた。グッズを販売するロビーのガラス窓に複製画が映って幻想的でしばらく見惚れてしまう。
観に行ったのは昨年10月。自分の中でまとまりがつかなくて、ようやくブログに。
たくさんの画家が彼にインスパイアされ、それを作品に投影。展示でそれらを観れたこともよかったし、ルノワールやモネ、ゴーギャンの静物画もよかった。ポーラ美術館所蔵のモネの作品を観て、ポーラ美術館に行こう!と思い立ってその1か月後に行ってきたのも私の中ではドラマティックな出来事だった。
ゴッホの書簡集を読んでみようと思い立ち、小林秀雄の本を読み終えたし、ドキュメンタリー映画も観た。少しずつゴッホという人が形作られていく。
ひとつの展覧会の影響が、そのあとにどんどん繋がっていくのが何より楽しい。
ゴッホの複製画の前で衝撃を受けしゃがみこんでしまったという小林秀雄。ゴッホの書簡集を読み込み、それを「告白文学」と呼ぶ。ゴッホの生きざま、魂の逡巡が胸に迫る一冊。↑
ベネさんのゴッホがとてもよくて、さすがベネさん!!な作品だった。感想です。アマゾンプライムで!↑