ナチス・ドイツが美術界に何をしたのか。

 

ユダヤ人富裕層や美術収集家、ルーブル美術館から芸術品を略奪。その数60万点。戦後70年以上経っても10万点が行方不明だという。

 

ピカソ、ゴッホ、ゴーギャン、シャガール、クレーらの名画は退廃芸術と貶められ、アーリア人による写実的で古典主義的な作品を擁護。

 

驚くべき名画がナチスによって略奪され、資金集めの為に売却されアメリカに渡ったり、ひっそりと個人が隠し続けて発見されたりしている。(劣悪な保存状態で!)

 

ビザを得る為に二束三文で売却した人々。売却できるものすらなく、収容所へ連れ去られた人々。売却したものの、ドイツから出国できずに収容所でその命を終えた人々・・。

 

あれもこれも?そんなことが?!途中で重苦しさに耐え兼ね、何度か休憩を入れながら観終わった。観なければならないと思ったのだ。

 

「本当に悪い人は誰一人いなかった。

 あなたや私のように弱く人間的な人ばかり。」

 

「芸術の力は大きいが矛盾もある。」

 

「芸術は手段にも、終焉にもなる。」

 

字幕の言葉が突き刺さるようだった。(「怖い絵」シリーズの著者でありドイツ文学者の中野京子さんが字幕監修をなさっている。さすが・・。)

 

最後の最後に「ヒトラーVSピカソ」の意味がわかり、観るものにも大きな問いかけを与えられているような気がした。もし私がそこに生きていたなら、弱いから流されていくだろうとハッキリわかるから。

 

 

 

 

 

 

 

監督:クラウディオ・ポリ(ヴェネチア・ビエンナーレやイタリア国立21世紀美術館などのドキュメンタリーを手がける)

 

 

 

 

 

(アマゾンプライムビデオにて視聴)