「古のプッサンは『我らは沈黙の芸術をなす』と言いました。まさにその通りで、私たち画家の言語は かたち、色、ハーモニーです。ヴィジョンを預かる恩恵を受けるならば。」

                     ジョルジュ・ルオー

 

 

 

西洋美術館のブルターニュ展に、ルオーの描く小さな風景画があった。

層のような絵の具が分厚く塗り重ねられた岩はほんのりとピンク色をしていて、優しい。

ぐっと太い黒の線で描かれた裸婦や道化師のイメージを覆す優しさ。

 

ルオーってこんな絵も描くんだ‥。

そういえば、私はルオーのことは何も知らない。

今、ルオー展がやっていたような?と、「ジョルジュ・ルオー かたち、色、ハーモニー展」へ。

 

 

汐留パナソニック美術館は、月曜に開館する貴重な美術館。ありがたい!

※休館日:水曜日(祝日は開館)、展示替期間、年末年始、夏季休業期間・・・サイトで確認してから!

 

二度の戦争を経て、暗く重い画面の時代から、晩年には絵の具を塗り重ねては削り、削ってはまた塗り重ね、数年に渡って描き続けられたまるで立体のような油彩画へ。

晩年の色彩が躍るような作品の集められた部屋は光まばゆい別世界のようだった。

 

撮影OKだったのは嬉しい。図録には絵画を更にひきたててみせる額の写真は掲載されていないので。

 

 

限りなく線は省かれ、人も建物も風景も単純なかたちになる。光と色の乱舞。 それらすべてが一枚のキャンバスの中で調和を見せる。

 

乾いてかすれた絵の具の盛り上がりが、形を作る。

海と太陽と空の色はなんて美しいのだろう。

人々の顔は省略されているが、キリストとその言葉を聴く人々の表情が見えてくるようだ。

 

額縁は不思議な紋様。

 

ところどころに小さな穴が。不思議な効果。

 

 

 

ゴツゴツと盛り上がった絵の具。この厚みは見る角度から表情を変えるだろうか?

 

 

立体感を残せるだろうか?と角度を変えて撮影してみた。

 

キリスト像と対のように飾られていた可愛い魔術使いの女。

この絵は最初のものは裸婦像で、時を経て描き直されていく。

 

 

 

 

太陽だけでもこんなに表現が違う。

 

 

舐めるように踊る色彩を目で味わう至福。

 

 

この一枚の絵画の中に地上のオアシスがあり、無常の喜びがある。

 

「そう、内的ヴィジョンは調子の悪い冒険家にとって明らかとなり、高揚させるのだ。かたち、色、ハーモニー!オアシスか蜃気楼か。」

1944年ジョルジュ・ルオー

どれも胸が痛くなる程の力強さ。色の中に取り込まれて戻ってこれなくなる‥。

 

まさに「かたち、色、ハーモニー 喜びに輝く神への言葉」

(1943年 ジョルジュ・ルオー)

 

6月25日まで汐留パナソニック美術館にて!