そろそろ周囲も親が認知症初期・・施設に入れたい・・よかったら話を聞きたいって声が多い。
介護は情報戦。知識があるのとないのとでは、大違い。
備忘録もかねてここにまとめを。
1.施設の情報を得る
〇親のケアマネさんと地域包括支援センター担当者と連絡をとる。
施設やサービスの情報をもらったり、娘からみて困ってることも相談してみよう。
仕事なので愚痴も聞いてくれる。(泣きながら電話して一時間半~2時間話を聞いてもらったこともある。)そのうえで対応してくださる。
ありがたい・・。
まだ介護認定審査を受けていない場合
地域包括支援センターに電話して状況を話すとすぐ来てくれる。
知らない人が来ると頑張っちゃうし、できるできる言うし、
普段出来ないことまで出来てしまう場合が多い。
審査会の前にはなるべく「自分は出来ない」って言ってくれ、
私も「こんなことが出来ません」ってたくさん言うつもりだが、受け入れてほしいと話す。
(審査会では忘れて頑張っちゃうかもだけど・・。)
ケアマネさんは個人で情報に差がある。
ケアマネさんは元々、在宅介護のマネージメントが仕事なので、施設の情報はあまり持ってない人もいる。
入居当時(3年前)、母は要介護2・父は要支援2だったので(現在は母要介護3、父要介護1)特養は利用できなかった。
民間介護施設紹介センターの電話番号を教えてもらい、相談に行った。
(長い付き合いになったケアマネさんだったが、両親を施設にいれることを決めた時、「施設に入れたら、認知症が進みますよ」と。その一言の為に、とても苦しんだ。そういうケースも実際あるようだから、両親の為にと、つい口がすべったのだろう。責められない。自分の限界がきていたので、そうなってももうしかたがないと腹をくくった。しかし、両親の場合は認知症は進まなかった・・二人が同じくらいの症状で同じ部屋に入居することになったのもよかったのかもしれない。
高額な一時金のいらない、月額も年金でやりくりできる遠方の施設をみつけたところ、
ケアマネさんは金額を聞いてびっくり仰天。「そんな安いところがあるんですね?!」と。パンフレットを差し上げた・・・。そんな場合もある。)
〇民間介護施設の紹介センター
相談料は無料。介護施設のパンフレットがたくさんあり、紹介してくれる。見学にも同行してくれる!(心強かった)
紹介した施設に入ると契約料から紹介料が入る仕組みになっている。
実家売却の際の不動産屋さん、実家から施設への引っ越しパックの業者さん紹介、施設入居にまつわる全部を教えていただける。
地域でそういうサービスがないか探してみよう。
〇施設選びはまず本を熟読し知識を仕入れよう
どんな施設があるのか、施設選びのポイントは何?
〇施設にいれる為には先立つものが必要?お金はどのくらい必要?これも本を熟読しよう。
要介護3以上は特養が使えるが(お安い)、東京だと綺麗で人気な特養は100人待ちのとこもある・・。
要介護2以下は民間の施設になり、地方の方が安いが値段もピンキリ。
びっくりするような高額な一時金(1000~2000万)は数年で減価償却され戻らない!
嫌で出ていきたくなった時に資金がないから我慢ってこともあるから慎重に。
一時金が敷金礼金分だけのお手頃価格の施設も増えている。(うちの親はそういうとこにいれた。)
100まで生きると考えて、80歳なら20年分の資金のやりくりを考える。(親自身の年金でやりくりできたら一番いい。)
実家は持ち家か否か‥売却しなくても施設に入れられる資金が親にあるか?
子どもが施設の資金を補填するのは絶対にやってはだめ。(介護資金ショートや介護破産)
お金がほんと~にない!場合も相談すれば何とかなる場合がある。(生活保護でも入れる施設あるから安心しろ!)
そういうの、一つ一つ知識を仕入れたものだったが、施設入居後にこの本を読んで・・全部書いてあった~~~!が~ん。
ぜひ読んでほしい・・・↓
認知症の人の世界ってどんな?
この本を読むと腑に落ちるかも。
2,入居前までにしておくとよいこと
〇物忘れ対策・貼り紙作戦
貼り紙が割と効果あり。目につく場所(トイレの便座に座った時に必ず目に入る壁やテレビの画面のすぐ側)
黒と赤の太いフォントでハッキリ簡潔に。イラストをいれる。自尊心を刺激しないよう、楽しい雰囲気をいれること。
〇メモ作戦
カードを預かるようになった場合などは、お財布にその旨をかいたメモを貼っておく。
(〇月〇日、〇〇が預かってるから慌てないで!)←見ないことも多いが・・・。
〇仲のよいご近所さん・マンションなら管理人さんと連絡先を交換
なにかあったら連絡を貰えるようにしておいたほうがいい。
買い物帰りにボーっと立っていたので、おうちまでお連れしました・・などなど何かと気にかけてくださり助けて頂いた。
(付け届けは忘れずに!!もらって嬉しくない人はいない・・。)
3,入居してからの生活ってどうなるの?
〇施設は集団生活の場。一人暮らしから集団生活になり、窮屈さを感じる場合もある。
朝昼晩と食事は決まった時間。職員さんの勤務の都合もあり、夕食は17時開始。
夜が長く感じ、寂しいと訴える人も多い。
介助つきの入浴(大抵週二回。好きな時間には入れない)
一人部屋にはトイレがすぐ近くでドアがカーテンなど、抵抗がある人が多い。
(実際はトイレが近いほど怪我しにくい。理にかなっている。)
自立度が高いと馴染みにくいかも。
〇一日の過ごし方
暇つぶしになるものが部屋にあるとよい。
(手芸・折り紙?本人が好きなものを)
デイサービスでは塗り絵・工作・簡単なアレンジメント、歌唱、囲碁などができるが、デイサービスを楽しめない人もいる。
介護度が低いと週一回くらい・・。要介護2~3で週3回利用可能。おやつもでる。ディサービスで入浴すると安く入浴できる。
利用者同士のトラブルもある。施設の人にうまく間にはいってもらおう。(デイサービスの日を変えてくれたりする。)
〇医療
内科と歯科が月1で施設内で診療があるため、医療費は増加する。
薬は施設で管理してくれ、飲み忘れはなくなる。
通院付き添いしなくていい!
内科・歯科以外に受診する場合は、通院付き添いは家族がするか、
外部の病院付き添い介助サービスをお願いできる。
(看護師による車送迎・病院付き添い・支払いなどの介助。かかった時間によるが一回15000円くらい)
〇美容
ヘアカット・・外部から施設に来てくれる。一回3000円くらい。
〇お小遣いと買い物
お金は施設に預け、お小遣いを毎月スタッフさんから支給してもらうシステム。
認知症初期であれば、日用品やおやつなどは一人で買いに行ける。
(外出するときは事務所に声をかけるように親に覚えてもらうと安心。迷子になった時用に地域に迷子捜索の登録をすることになる。
認知症が進行すると帰り道がわからなくなることも。)
介助が必要になったら、買い物同行をお願い。(週一)
代わりに買い物してきてもらうこともできる。(買い物補助)
〇掃除・洗濯
洗濯、部屋に洗濯籠を置いておき、まとまったら施設のコインランドリーで洗濯・乾燥。その介助もしてくれる。
掃除 二週間か一週間に一度、掃除介助という名目で入ってもらえる。介護度による。
認知症が進行すると部屋が汚くなる。貰い物のお菓子の箱を再利用していて、お菓子のカスがこぼれたまま。
施設のクローゼットでゴキブリの巣になっていたことがある。
新聞の切り抜きや空き箱など、本人が必要と言い張るものは、ヘルパーさんには捨てられない。
〇郵便物
郵便局で実家から施設へ住所を変更。施設へ届くが、まとめて月一回家族に転送されてくる。
介護保険や後期高齢者医療保険や年金で本人のサインが必要なものが時間がかかって手元にくるので、
面会に行った際、事務所で受取その場で開封・処理が手間が無くて良い。
(ダイレクトメールは連絡してデータ削除してもらう。初年度はカタログ等沢山くる・・)
認知症になっても、ゆるゆると過去と繋がって今がある。
本人にもいろんな感情があることを忘れずに。しかしハッキリ言えるのは娘だけの場合もあるから、
心を鬼にして言わねばならないことをいう場面もある。
(尿臭問題とか~・・・)
施設の方が言うと、不信感に繋がったりするので、厳しい言いづらいことほど家族が言った方がいい。
(自尊心を損ねない言葉の貼り紙作戦で対処したことも多い)
認知症の権威・長谷川先生が認知症になってみての記事がよかった↓
家族の負担を減らすためにデイサービスを提唱したご自身が、デイサービスで孤独を感じる・・。行きたくないけど、家族の負担を減らすために行かないと・・、と。そりゃそうだよねぇ・・・。
4.親の気持ちと子どもの気持ち
〇親の気持ち
認知症が進んでいたら、いい話でだまくらかして入居に持って行っちゃう場合が多い。
入居できるなんてよかったね~!!いい場所!と気持ちを盛り上げる。
本人には体験などをしてもらい、施設入居もいいわ~って気持ちに持っていくのもいいかも。
しかし入居後に不満爆発、家に帰りたい!って言ってくる時が必ずあるので、その時は真剣にむきあって、
何が出来てなかったかを話し施設の方が安全で安心なのだと説明する必要がある。
ずっとごまかしっぱなしはダメ。淡々と優しく、事実を話そう。
(使用済みおむつを隠してしまって、家中動物小屋みたいな異臭だったよね。
お風呂もはいれなくて髪もべたべたで異臭がしていたし、お部屋で大便をもらしてしまって、シーツもマットも全とっかえしたこともあったんだよ。だからね、もう私達、お母さんの介護、無理なんだ。ごめんね。そこで暮らしてもらうと私達も安心だし、お母さん達も幸せに暮らせると思うよ。)
話したことは忘れちゃうけれど、きちんと対峙して話しかけると
魂で理解してくれたような気がする。その後ぷっつりと言わなくなった・・・。不思議。
〇兄弟姉妹
兄弟姉妹が納得していないとトラブルのもと。しっかり兄弟姉妹で話し合おう。
男兄弟は弱くて現実を見たくない場合が多いから、逃げがち。あとから文句を言ったりする。
親が衰えることをどうしても受け入れられない。大丈夫、大丈夫と言いつつ関わらない。
しっかり向き合って話し合いできるようにもっていくこと。
遠距離の兄弟姉妹とも情報を必ず共有する。後々のトラブル回避。
忙しいかもしれないが、休みをとって、数日親と暮らしてみてもらうなど。
物忘れでパニックになった対応を敢えて兄弟姉妹に回して対処してもらうのもよい。
それぞれが親の現実をきちんと自分の体験として知ることが大事。
親介護のグループLINEを別に作り、親の情報はすべて共有。
例
〇月〇日 財布がないとパニックになって電話がきたので、探しにいくと冷凍庫に大事にしまってあった。
〇月〇日 冷蔵庫を開けたらキュウリが溶け、総菜や牛乳はすべて賞味期限切れで買い直した。
〇月〇日 買った生肉がなぜか冷蔵庫の上にあり、おちてきて!腐った汁をかぶって散々だった・・。
〇月〇日 食卓につぶゴマがたくさん落ちていると思ったらすべてコバエの卵だった・・・。キッチンカウンターの下にびっしりコバエの卵が!
死にそうな気持で掃除した・・・。
〇月〇日 庭に放置されていた段ボールを片付けたら、ゴキブリの巣になっていて数匹退治する羽目になって気が狂いそうになった。
〇月〇日 飲み終わった缶ビールは洗いもせずに窓から庭に捨てていて積みあがっていた。
〇月〇日 入浴は毎日していると言っているが、側に行くと臭う。髪は油でべたべた。服は染みだらけで数日着替えていない。等
証拠写真&動画もあると尚よい。説得力が違う。(すべて体験談)
不衛生な部屋に住み(日時あやふやでゴミ出しできない、部屋にゴミがたまる)、
入浴もできていない不衛生な状態、食事も作らなくなり、食べていない
→セルフネグレクトであり、何らかの介入や介助が必要だとわかってもらう
兄弟姉妹のパートナーは介護人数にいれない。
どうしても手が足りない時に手伝ってもらえたらとっても助かる!神!ありがとう!のスタンスで。
実家への介護で通う交通費は自腹を切らない。親のお金が望ましい。
ランチ代くらいは上乗せしてもらおう。
なんなら時給換算してきちんともらったほうがいい。
(と、介護歴当時10年以上の大先輩から勧められた。目鱗だった・・。
なので、介護始まった友達には必ずそう伝えるようにしている。)
兄弟姉妹全員で共通認識にする。(会計報告きちんと)
一人で被ると心身が削られてしまう。
お金も時間も労力も気持ちも搾取されている気持ちになってしまう。
近場にいる子どもがいつも自腹でお世話をしており、
親が口約束で実家はお前にあげるね、と言っていたが、何も文書に残しておらず、
遠方の兄弟と実家の相続で弁護士を挟む争いになる場合も。
その時かかったお金は可能ならば、その時に現金でもらうのがいい、と私は思ってる。
親にお金がない場合は、来れない兄弟姉妹に交通費を援助してもらうのも有。
お金のことで不公平感が募ると、相続で揉める。しっかり話し合おう。
絆がより深まり、協力し合ってよりよい関係を築いていくきっかけにもできる。
兄弟姉妹の本音を聴く姿勢を。
また自分も思っていることを穏やかに話せるように。
補足(2024年)
兄弟姉妹が発達障害・知的障害・精神障害があり、相談することができない場合もある。兄弟姉妹の行く末に関してはご自身だけで負わないように、行政と相談して生活保護も視野に。
5,実家が空き家に。売る?売らない?
〇認知症初期で売却の意思が司法書士に確認できる場合は契約可能だが、
意思が確認できないと成年後見人をつけないとならない。売却までの道のりが長い・・。
〇空き家になって3年以内の家は、令和5年まで3000万までの非課税特例がある。
人に貸すと売却の際の非課税特例は使えない。
〇家を担保に費用を借り、亡くなった時に売却費用で返却する制度もある。(が、長寿の場合はデメリットやリスクが)
〇売却しない場合 空き家の対策
定期的に風をいれる、定期的に水道水を流さないと錆びる。庭があれば定期的な掃除が必要。(落ち葉や雑草、害虫で近所に迷惑)
浮浪者の侵入や泥棒対策のセキュリティの依頼。
最近は空き家、留守宅の換気、通水、郵便物管理・不動産の外観のチェック等をセットでやってくれる。(セコムやアルソック等)
6.施設入居決定・お引越し
施設にもっていける荷物は少ない、が、本棚などちょっとした家具や衣類・本など車では運びきれない。
引っ越し業者の単身パックを利用しよう。
色々な業者さんに単身者向け引っ越しサービスがある。
7.空き家になった親の家の不用品片付け
可燃ごみ・不燃ごみ・粗大ごみ収集など、日時に合わせてゴミ出しが大変。何度も通う羽目になる。
便利屋さんや業者さんを頼んでの処分が楽。(ごみを持って行ってもらえる)
精神的にもかなり参る作業なので、他人に入ってもらったほうがよい。
親家片(おやかた・親の家を片付ける)がきっかけで鬱発症した人も多い。
※思いがけない場所から現金や貴重品が見つかる場合もあるので、同席しよう。
8.既往歴年表を作っておく(突然の入院時に役立つ)
認知症初期のうちに、既往歴の年表を作っておくとよい。どこで手術したかもわかれば。(忘れちゃうから)
薬と食品にアレルギーがあるかないか。普段飲んでる薬の名前も控えておく
例)
〇年〇月〇日生まれ (何歳)
食物アレルギー 鯖
薬剤アレルギー サルファ剤
年 3歳 赤痢
年 50歳 盲腸 〇〇病院で手術・入院
年 80歳 施設入居
年 82歳 大腿骨骨折 〇病院で手術・入院
9,施設に入居してから
〇面会はどのくらい行けばいいの?
行きたい人→行きたいだけ行っていい。自分の気の済むように。
行けない人・行きたくない人→
ムリして行かなくてよい。行けないことを気に病む必要はない。
(電話もあるし。)
これだけの下準備と苦労の末に施設に入居させ、親の安全と安心を整えてあげただけで十分。
自分を責めないで。むしろ自分をよくやった!と褒め褒めに褒めてあげて!!
(と、10歳年上の介護先輩に言って頂き電話口で号泣した・・・。)
甥・姪、孫がいるなら、任せてみる。彼らにとっても大事な体験になる。
おじいちゃん・おばあちゃんとの思い出のひとつに。
(これは、かつて学生時代にお祖父さまの介護を手伝った友達が言ってくれて、目鱗だった。
子どもに手伝わせる罪悪感が消し飛んだ・・ありがたかった・・。)
〇毎週ちいさな花束が郵便で届くサービスもある。(550円+送料で865円~)
一回申し込めばこちらは何もしなくても相手にお花が届く。(代金は口座引き落とし)
小さいので邪魔にならない。
何より自分は忘れられてない、気にかけてもらっていると本人たちが感じてくれるので助かる!
本人がまだお花の世話ができる状態であれば、毎日の手先を使う「お仕事」にもなる。
(水を替え、茎の先を切り、枯れてきた葉や花を摘むなど)
最後に・・
親が毒親、介護したくない,関わりたくない場合
地域包括支援センターへ連絡し、どんな仕打ちを受けたか、自分を守るために関わりあいたくないなど正直に相談しよう!
チームで対応してくれる。お金がなければ生活保護も申請してくれる。
毒親・介護したくないなどの検索ワードで検索してみよう。ブログなどで情報を載せてくれている。
ズバリ、「毒親介護」なんて本もある。一人で苦しまずに情報を入手しよう!