四人のきょうだいの末っ子、エリザベスはみそっかす。
失敗するつもりはないのに、お父さんのまだ読んでいない新聞にミルクをこぼし、
ダンスのお稽古に行く時のバス代は落とす、
学校では九九が言えず、不器用なエリザべスがお裁縫をすると、布は血だらけ。
プレゼントしてもらった自転車は一年経ってもまだ乗れない・・。
あるクリスマス、エリザベスは大おばあさんから、
クリスマスの飾りにしていた妖精のお人形を手渡される。
「エリザベスには、親切な妖精が必要だね、といおうと思っていたところだよ。」
「あたしに?」
「そう、あんたに。この妖精のお人形をあんたのものにするといいよ。」
自転車のかごを洞穴に見立てて、お人形の家を作りだし、
お人形のために労苦を厭わないエリザベスは
少しずつ
少しずつ
ちいさな変化を重ねていく。
(挿絵がとても素敵。パステルで模写してみた。
エリザベスの自転車のかごの洞穴をおうちに。
緑の苔とおがくずをしきつめ、すみれを植え、キノコの椅子と木の輪切りのテーブルを準備して。
ブナの芽がロールパン、花びらを食卓へ。幼い頃憧れのお人形のおうちだった・・。)
お人形が来る前、
いたずらするつもりではないのに
結果的にはいたずらとみなされ、散々叱られ・・
みじめな気持ちで
西洋杉の大きな箱の上に座らせられるエリザベスの姿は、
末っ子の私にはおなじみの光景で。
ちょっと太っちょで
出来のいい姉たちや兄に圧倒され、
おどおどして、何事にも自信が持てない彼女は
そのまま自分の姿でもあった。
久しぶりに読みかえし、
何十年も前なのにその時の気持ちに戻ってしまう。
ルーマー・ゴッデンはツンと胸の痛い描写がたまらなく上手いのだ・・。
妖精のお人形の存在が
みそっかすのエリザベスをゆっくり変えていき、
エリザベスはお人形を再びクリスマスツリーの飾りへ返し、
自らの生活を自らの手と足とで掴みとる力を得る。
この物語があの頃の私を支えてくれていたのだなぁ・・・と感慨深い。
私はエリザベスのようになれただろうか?
まだ時々、妖精のお人形の手助けが必要な時がある。
いくつになっても・・・。
私が読んだ厨川圭子さん訳のものはこちら↓
今は新訳・新イラストで出版されているよう↓