四国東部の1,000m級の山岳地帯を縦断する道として国道193号線がある。愛称は193(イッキュウサン)。親しめる愛称だが道の状態が悪い区間があり、四国を代表する酷道の1つである。また、最大の難所「土須峠」越えにおいては国道が途切れており、県道で繋がれている稀少な国道でもある。素掘りトンネル、隧道トンネルなどの未改良区間が残る四国の酷道193号線を南から縦断してみた。

 

 

早朝、霧越峠へ向けて

 

国道193号線は全長159km、所用時間は約4時間である。今回は徳島県海陽町から吉野川市までの酷道区間を走り、まずは霧越峠を越える。山の麓に入ると道は容赦なく狭路となり、対向車との離合が難しい狭隘区間となる。

 

 

 

未整備区間である為、落ち葉、木の枝が散乱し、アクセルは自然と緩まってしまう。木の枝が車体に絡まりカラコロと異音を響かせる場面もあった。

 

 

 

落石注意の標識が現れると、落石の出現率が非常に高い酷道区間。常に落石が発生していると考え走行しないといけない。大小様々な落石を避けながらの走行が続く。

 

 

霧越峠の記念碑で歴史を知る

 

序盤は霧がたちこめる霧越峠を越える。林道開通記念碑(この道、国道になる前は林道だった)が峠の頂上付近に設置されているので、ぜひ見て欲しい。昔は徒歩でこの峠を越えていたことを考えると感慨深くなる。

 

 

霧越峠の下り

 

国道を示す標識(おにぎり)で、ここが国道であることを確認できる。カーブが多く、見通しが良くない為、対向車を意識した走行が必要になり、精神的にもきつい。

 

 

霧越峠の苔

 

霧越峠の濃霧は、苔たちを潤しているのだろう。苔のセンターラインがお目見えする。とはいえ1車線の狭路であるためセンターラインの意味は成してない。2輪車の走行には十分注意しないといけない。

 

 

難所「土須峠」へ向けて、容赦ない幅員減少

 

目の前にジグザグの酷道が見えてくる。立ちはだかる酷道の軌跡に不安と興奮が混じり合う。本格的な土須峠越えはヘアピンカーブで始まる。山岳地帯へ突入。

 

 

 

沢谷川を眺めながら狭路を走る。奥深さが徐々に増してくる。

 

 

 

信じられない光景を目にする。突如現れる素掘りのトンネル。開通当時から変わっていないであろうその姿は、酷道193号線の最も奥深い場所で見ることができる。異世界へ繋がっているかのような感じでもある。

 

 

 

素掘りトンネルがある大釜の滝周辺は極狭路。絶壁の横を通るため、思った以上に圧迫感がある。対向車に出会わないようにと祈ってしまう。この近辺は紅葉期に訪れるといいかもしれない。

 

 

剣山スーパー林道の分岐点

 

国道が県道へと変わる地点では、剣山スーパー林道と接している。分岐点では四駆車やオフロードバイクの姿を見ることができた。

 

 

標高の高い土須峠

 

酷道193号線の標高は土須峠付近で1,000mを超える。ここから見える風景は山と送電線のみ。四国山岳地帯のど真ん中にいることを身に染みて実感できる。

 

 

土須峠の下り

 

「ガケ崩れ・落石・木の枝・狭路」が常態化している下りが続く。更に見通しの悪いカーブ・急勾配は車にとってつらい。エンジンは唸り、擦れたタイヤの臭いが漂う。これが上りなら相当きつかったであろう。南から縦断して良かったと思えた。

 

 

酷道439号線とも重複する

 

酷道193号線は、ヨサクが愛称の酷道439号線(438号線)と重複する区間もある。

イッキュウサンとヨサク、四国は語呂合わせが良い酷道が多い。

 

 

高低差が目に見えてわかる、経の坂峠の下り

 

南から『霧越峠→土須峠→経の坂峠』の順で難所を越える酷道193号線。

慎重に走行すれば問題ないと思われるが、不慮の事故、予期せぬ路面崩壊に注意が必要だ。なにより、奥深い四国の山岳地帯を縦断していることを忘れてはいけない。

 

 

 

 

 


にほんブログ村