アメリカ横断ウルトラ・クイズで、クイズの場所を探し、準備をするのがロケハンです。
挑戦者を同行したクイズの本番は、スタッフは朝早くから深夜まで、体力的にはかなりの重労働でした。
でも、それに比べてロケハンはのんびりとした場所探しなので、本番に比べればラクだろう、というのがスタッフ達の見方でした。
しかし、実際はその様に、ラクな仕事など有りません。
それどころか、探した場所でどの様な形式のクイズを実行するか、それを限られた時間内に決めなければならず、精神的に追い詰められる事も多いのです。
最初の頃に訪ねたアルバカーキも、そんな苦労のあった場所でした。
アルバカーキはニューメキシコ州の中央部に位置する、同州最大の商工業都市という情報で、その場所を訪ねたのでした。
資料によると、スペイン文化を色濃く残した西部では歴史の古い都市との事です。
実際に街を訪ねると、確かにスペイン風の建物が目に付き、雰囲気もまあ、なかなかの物です。
特にオールドタウンは観光客に人気があるとの事で、行ってみるとそれなりの珍しさは有ります。
でも、ウルトラクイズは単なる旅番組では有りません。
街を紹介するだけでは、視聴者も納得してくれません。
そこで、更に珍しい場所は無いものかと、歩き回ったところ、インディアン文化センターという場所に行きつきました。
アメリカ・インディアンの伝統的な行事や工芸品が展示されていて、彼らの生活が覗ける場所でした。
つまり、この地にはインディアンの居留地があって、彼らの協力も得られそうな雰囲気です。
我々は西部劇の中でインディアンに接する事はあっても、実在のインディアンに会った事は有りませんでした。
ウルトラクイズでは、インディアンの皆さんに協力して頂いた事は数々ありましたが、多分、記憶によれば第4回のアルバカーキーが、その最初の体験だったような気がします。
インディアンの皆さんに会いに行くと、彼らはアメリカの普通の若者と同じようにTシャツにGパン姿で、イメージのように上半身裸などという人は1人も居ません。
また、乗り物は当然裸馬という予想をしていましたが、皆さん普通の車を運転しています。
中には長髪を後ろで束ねている人もいて、わずかにインディアンのイメージを残していました。
彼らに、
「今でも馬に乗れますか?」
と尋ねたところ、
「自転車やバイクに乗るより得意だよ」
との事でした。
そこで、ここでのクイズ形式は、インディアンのオジさん達に協力を求め、「インディアン嘘つかない!早がけクイズ」というのをやる事になりました。
ルールは挑戦者達に、それぞれ意気の合いそうなインディアンのオジさんを選んでもらい、ペアを組みます。
そして、オジさんと一緒に馬に乗り、問題を聞いて答えが解った時点で、オジさんの肩を叩いて合図を送ります。
本物のインディアンとペアを組んで、西部劇の舞台を走り回る、西部劇ファンなら泣いて喜びそうな体験が出来る訳です。
前方、50メートルの場所に早押し機が設置されているので、そこまで馬を走らせ、ボタンを押して答えるというものでした。
ここでは6人の挑戦者が、横1列に6頭の馬に跨り、パカパカと馬を走らせ、クイズが行われました。
当然、リハーサルも行われ、無事に収録が終わりましたが、傍目には遊園地で馬に乗って遊んでいるようで、長閑な本番でした。