シンプル・イズ・ベスト | 今だから話せるウルトラクイズ裏話

今だから話せるウルトラクイズ裏話

17年にわたって放送された「アメリカ横断ウルトラクイズ」。構成作家として最初から最後まで関わってきました。放送出来なかったエピソードや裏話を思い出すままに綴っていこうと思います。

メリカ横断ウルトラ・クイズはアメリカ各地を旅しながらクイズを行い、クイズ王を決める番組でした。
しかし、普通のクイズ番組と違うのは、単にクイズが強いだけでは駄目。
知力の他に、体力時の運、この3拍子が揃った人が優勝するような仕掛けを作ったのです。
そのクイズ形式を考えるのが、我々構成者の仕事でした。
中には理不尽とも言える意地悪な形式を考え、それをどんどん実行し、挑戦者をふるいにかけていました。
従って敗者の中には、自分の力不足を棚に上げ、クイズ形式に不満が残った人も居たように聞いています。

でも、それを百も承知で参加して居る方達は、奇抜な形式を楽しみながらクイズを戦っていました。
我々、番組の構成者も本音を明かせば、変わった形式も良いのですが、正当な早押しクイズを多用したほうが、クイズの実力者が残る可能性が高いので、その方向へ番組を持っていこうと努力していました。
しかし、これは、1歩間違えると、新形式を考えたくないからだ、と誤解されそうです。
ですから会議での発言も、そのような誤解を受けないよう、注意しながら提案していました。

押しクイズがどのくらいスッキリしているか、それを証明したのが第16回サンフランシスコのクイズでした。
サンフランシスコには何度となく訪れていますが 、過去に世界的に知名度の高いゴールデンゲート・ブリッジでクイズを行ったことがありませんでした。
ならばこの回は初の体験として、ゴールデンゲート・ブリッジをバックにクイズをやろうと言う事になりました。

GoldenGateBridge


と、なれば簡単明瞭、「2ポイント勝ち抜けの早押しクイズ」にしようと早々と提案しました。
勿論、反対派は、もっと時間を掛けて面白い形式を考えろ、と粘り強く注文が出てくるのです。しかし、我々構成者はシンプル・イズ・ベストと、最初の案を繰り返し、それを実現させました。
番組の制作会議では、担当部門の思惑も絡んで、このような綱引きが結構行われていたのです。

こでは11人の挑戦者による早押しクイズが行われました。
いずれも、難関を潜り抜けてきた挑戦者ですから、お手付き、誤答も少なく、実にテンポ良く勝敗が決まって行きました。
おそらく視聴者の皆さんも快適なテンポに、ウルトラクイズの本領を堪能なさったのではないでしょうか。

この時盛り上がったので、これからは、早押しクイズをもっと各地で多用しようと思ったのですが、時すでに遅く、この第16回をもって、一応番組が休止となってしまったのです。
この早押しクイズを、もっと早くからやっていれば、我々も少しはラクができたかもしれません。。。
正に、後の祭りです。