スタッフと挑戦者の距離 | 今だから話せるウルトラクイズ裏話

今だから話せるウルトラクイズ裏話

17年にわたって放送された「アメリカ横断ウルトラクイズ」。構成作家として最初から最後まで関わってきました。放送出来なかったエピソードや裏話を思い出すままに綴っていこうと思います。

メリカ横断!ウルトラクイズをご覧になったみなさんは、スタッフ挑戦者は毎日一緒に飛行機に乗ったり、同じホテルに泊まっているのだから、さぞや仲良くしているものだろうと思われるかもしれません。
でも実際は、この両者にはかなりの距離が置かれていたのです。

ず、ホテルは出来る限り別の場所に泊まります。
食事も一緒になるような事はあまりありません。
クイズの本番当日も、クイズが開始される直前に会場に到着するようにスケジュールが組まれています。
スタッフと私的な会話を交わす時間はほとんど持てないように、配慮しているのです。
ただ例外もあって、司会者、デレクター、構成の私は時々挑戦者と会食をし、彼らの心境や個人情報を聞き出し、番組に生かすような材料を探しました。

戦者とスタッフの距離を置いたのには理由があります。
もし、挑戦者とスタッフが親しく言葉を交わすようになると、クイズの公平さが疑われないとも限りません。
ましてや挑戦者には可愛いお嬢さんや、イケメンの男子もいたりします。
スタッフの若者や女性スタッフが、こういった挑戦者に好意を持ったとしたらどうでしょう?
有り得ないとは思いますが、えこ贔屓が起こらないとも限りません。
一瞬でも視聴者がそのような疑いを抱いたなら、番組の致命傷になってしまいます。
だから、あくまでも公平に、特定の挑戦者を番組が応援しているような姿勢が出ない様に配慮していたのです。
かといって、スタッフが挑戦者に無関心というわけではありません。
それどころか全く逆で、毎日、挑戦者の言動や態度を常に細かく観察し、1人1人の魅力を引き出す作業が行なわれていました。
それが勝者と敗者の別れの場や、罰ゲームの現場で生かされ、カメラに収められて放送されたのです。

れに、もう1つ。
クイズ現場に到着した挑戦者が、辺りの景色を眺めて目を輝かし、感動する場面が毎回のように描かれていました。
役者ならそんな表現も出来るでしょうが、素人にはちょっと無理な演技です。
それを可能にしたのは、ウルトラクイズの積み上げた経験でした。
それは毎回バスに乗って、ホテルを出た瞬間から始まります。

ず、バスの窓にはブラインドが下ろされ、挑戦者にはアイマスクがされて、周囲の景色が全く見えない状況を作ります。
そして何処へ連れて行かれるのかの説明もなく、現場にバスが着きます。
そして目隠しのまま、スタッフに手を引かれて現場に立たされ、突然アイマスクが外されるのです。
初めて見た絶景(が多かった)に誰でも驚きの表情を表すハズだ、と毎回このような手順が踏まれていたのです。

↓Lake_Powell(レイク・パウエル)の絶景

Lake_Powell 


面には見えませんが、随所にこのような細かな配慮がなされ、番組は作られていました。