クイズ問題を創る人達 | 今だから話せるウルトラクイズ裏話

今だから話せるウルトラクイズ裏話

17年にわたって放送された「アメリカ横断ウルトラクイズ」。構成作家として最初から最後まで関わってきました。放送出来なかったエピソードや裏話を思い出すままに綴っていこうと思います。

イズ番組ですから、クイズの中味が面白くなければ、視聴者の興味が薄れる事になります。
番組がスタートした当初は、我々企画に参加した放送作家が手分けしてクイズ問題を創っていました。
しかし、思った以上に問題を消化するので、段々と手に負えなくなって来たのです。

こで、放送作家志望の若者を募集し、彼らに問題創りを手伝ってもらう事にしました。
毎年50人近い若者を集めて、彼らにクイズ問題を創る仕事を発注したのです。

たった1行か2行の文章の中に、視聴者が興味を持てる内容を詰め込む作業ですから、放送作家になるための勉強の場としては、最適と言えます。

しかも、安いとはいえ基本給与があった上に、1問採用されれば高い原稿料が支払われるのですから、こんな割の良いアルバイトは無かったと思います。
それでも、途中で脱落する人も多く、最後まで続くのは毎年20人~30人といったところでしょうか。
この経験を経て、現在放送作家として活躍している人も大勢います。

れはさて置き、彼らには毎度厳しい注文を付け、アイディアを絞り出させたものでした。
何故かと言えば、最初は皆さん、作家という職業を軽く考えているのです。

例えば、雑学辞典、雑学百貨、雑学王、といったような雑学本をそのまま引き写して、「私が作りました」という顔をして提出してくるのです。

これは物を書く人間として最低の行為です。
盗作と言われても仕方がありません。
そうした物書きのいろはから教え、数々の楽しい問題を生み出して来ました。

イズ会議では、単なる知識は「教科書問題」と呼ばれて、採用はされません。
そこに「作者の発見」や「意図」或いは同じ知識でも見方を変えて、新たな切り口を見つけることによって、視聴者の興味を促すテクニックが加えられて、初めて採用となるのです。

論、作家だけではなく、ディレクターも、プロデューサーも番組に関わる人間はみんな、クイズ問題を考えて問題会議に提出するようになっています。

そんな会議での出来事をご紹介しましょう。

「王選手の血液型はO型である」
という問題が創られました。

これはアメリカ横断!ウルトラクイズの歴史に残る名問題だと思います。
何故なら、当時の王選手は756号のホームランを打ち、時の人です。
しかもスポーツ・ニュースでは毎日のように取り上げられる人気スターでした。

↓全盛期の王選手

全盛期の王選手


の人気者の王選手O(オー)を掛けて問題にするとは、憎いテクニックと言えましょう。
クイズの挑戦者にすれば2つの見方が発生します。

1つは、王選手がO型だったから問題が成立したのだ、という意見。
クイズ研究会の人たちは大体そんな見方をするでしょうね。
残る1つは、「おー」という言葉遊びで、これは引っ掛け問題であろうと言う意見です。
挑戦者は迷いに迷って、正解者と不正解者が丁度半分に分かれたのです。

これこそ○×問題のお手本となるような問題です。

る時、私はクイズ制作者を集めて、この話をしたのです。
すると次の会議の時に、同じような問題が沢山提出されました。

曰く
「永六輔の血液型はA型である」
「佐藤B作の血液型はB型である」

これは笑い話ではなく、本当の話なのです。
会議では、「ボツ!(没)」と大声で却下されたのは言うまでもありません。

う1つ忘れられない問題がありました。
「マラソンの瀬古利彦選手の前世は飛脚だった。○か×か」
という問題が提出されました。

↓マラソンランナー 瀬古利彦選手

瀬古利彦選手

題会議では爆笑となりました。
当然、問題としては「ボツ!」なのは言うまでもありません。
ところが、作者は納得しません。

「何故ですか? 面白いから皆が笑ったんでしょ。東京ドームでも受けますよ」

自信満々

「キミねぇ。前世の裏付けをどうやって証明するんだ?」

とこちらも冗談の積もりで聞いてみたのです。

すると

「そんなの簡単。霊能者に見てもらえばハッキリします」

と大真面目で言うのです。

モチロン今年のロンドン五輪のように判定が覆ることはありませんでしたが。。。

↓飛脚

飛脚

※ちなみに王選手の血液型はO型。正解は○でした。