「ー以上が、原因不明の失踪事件の真相であり、仮面ライダーと名乗る人間たちの、戦いの真実である。」

「この戦いに・・・正義は、ない。」

「そこにあるのは・・・純粋な願いだけである。」

「その是非を問えるものは・・・・」



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仮面ライダー龍騎、感想。






別の平成ライダーの感想でも(多分)書いてると思うけど・・・

自分、幼い頃は平成ライダーならクウガ~剣あたりまでは見ていた記憶があって、ライダーの顔と名前もある程度一致したんだけど、
話が難しすぎるのもあってか内容は途切れ途切れにしか覚えていなかったんだよな~。

こんな壮絶な番組が自分が園児の頃にやってたなんていささか信じられない・・・って気分で見てたらいつの間にか最後まで見てたよ。

てなわけでいつも通り最終回間近の感想から。



いや正直泣きかけました。涙腺ヤバかったです。特に真司の最期と、ライダーバトルの無い平和な世界で死んでいった奴らが楽しそうに暮らしてるシーンは。


まさか最終回直前で真司が死んでしまうとは・・・いやなんとなく予想は出来ていたけども。
巻き込まれる形で参加して、足りない頭とか馬鹿にされつつも必死になって戦いを止めようって頑張って、それでも止めらんなくて、でも折れずに自分なりに考えて、頑張って。
最後の最期にやっと辿り着けた、答えは「やっぱり止めたい」。
それが正しいとかじゃなくて、ライダーの一人としての願いが、それなんだと・・・。

答えなんて出せなくて当然なんだよ・・・止まらないもん、仕組み的にも、ライダー達の人間性の違い的にも、どうやっても止まらないものは仕方ないんだよ・・・でもずっと真司は悩み続けた。
普通の人なら途中で折れてしまって諦めかねないような現状に立たされているのに、それでもなお「戦いを止めたい」って・・。
本当に頑張ったよね真司・・。頑張ったよ・・・。お疲れ様・・・。

真司を見てると、答えに辿り着けないような理不尽で意味の無い戦いであっても、抗って何かを残すことができれば、それは立派なヒーローなんじゃないかって思ったのよ。
現に彼のおかげで、蓮も北岡もかなり良い方に変わったし。

蓮が真司の死に対して涙したことや、北岡がライダーを辞めようと思ったことは、真司の真っすぐな姿勢に感化された部分があるといっても過言ではないと思う。

神崎兄妹に関してもだ。結局何度やっても優衣は新しい命を受け取らず、士郎はその度にやり直してきたんだろうけど、今回の龍騎本編の世界線でようやくそのループを抜け出そうと思い立ったのは、少なからず真司の影響があると思うんだよね。
その根拠はあんまり上手く言葉で表せないけど、何度繰り返しても優衣が新しい命を受け取るのを拒むのは、真司のひたむきな姿勢や、終盤自分の為に苦悩し、戦う姿を見てきたからこそ、それを受け取って生き返るよりは彼らの幸せを願いたいと考えたのだと思う。
その優衣を通して、真司の思いはきっと士郎にも届いていたんだと思う。

人に影響を与える、と言えば、真司が答えを見つけるのに一役買った編集長の言葉もかなり秀逸だった。
龍騎ってストーリーよりも人物が前に出るイメージが最後まであったのは、こういった人と人との関わりあいが大きいんだろうな。

あとゴロちゃんは最後まで北岡さんLOVEでかっこよかったよ・・・。浅倉も散り様が見事だった。



俺ずっとライダーバトルのことを神崎士郎のエゴで開催された理不尽なゲームだと思ってたし(実際そこんところはあんまり間違ってなかったけど)、全てこのシスコン野郎が拗らせたのが悪いんだなって神崎を憎しみの目線で見てたけど、実はこの兄妹もかなり酷い目に合ってきたんだな。

全ては虐待されたのち非業の死を遂げてしまった妹を助けたいがため・・・神崎士郎もやっぱり、「願いの為に戦う」ライダーの一人だったんだ。

そしてそのゲームによって得られるはずの命を心優しい優衣は何度も断り続け、士郎は恐らくタイムベントで何度も繰り返してきた、と・・・。

壮絶すぎる。
総集編でもその恐ろしい能力で猛威を振るった(?)タイムベントだけど、士郎はあんなのを何度も何度も繰り返してきたと考えるだけで悪寒が走る。



本編で苦しみ、悲しみ抜いたライダー達が、ライダーの無い平和な世界で幸せに暮らしてくれると願いたい・・・
恐らくライダー達の運命そのものが大きく変わってるんだろうな。
蓮はきっと恋人と仲良くやってるだろうし、手塚には親友が居る。
佐野くんは東條と本当の友達として仲良くやってくれるはずだ。

蟹刑事とか芝浦とかはどうなるんだろうね()




作品全体の感想としては。


上にも似たようなこと書いてるけど、やっぱり龍騎って「ストーリー」より、「登場人物」を追うのが面白い作品なんだなって思った。

物語の作り、根幹としてはやや不完全な部分や不明瞭な点が多い(神崎兄妹の能力やライダーシステム、ミラーモンスターに関しては特に)が、それを土台として形成される、人々の関わり合いや、信念、行きつく先、最終的に出した答え。これらの部分が見どころになっているのだと考えている。

まぁライダー同士の殺し合いがメインなんだし、そういった作風になるのは必然的だろうけども。

そうなればやはりキャラが立てば立つほど面白い。龍騎の登場人物は殆どがいいキャラしていたし、関係性も十分良いものだった・・。

具体的に一人一人どこがどうだったかと書いていくのは時間がかかる上に自分の語彙力の無さがどんどん露呈していくので割愛させてもらうが、真司や蓮、北岡らは勿論の事、
・戦いたいから戦う、それ以外に理由は要らないという浅倉
ライダーの戦いを止め、運命を変えるために戦った藤宮アグル手塚
・英雄になりたかったサイコパスカグラネオス東條

この三人はとてもいい活躍をしてくれた。

特に東條は龍騎のライダーの中では一番好きかもしれない。
あの「親子を救った英雄」になれたという皮肉で心に刺さる結末もそうだが、何処かのサイトに書かれていた

北岡に言われたセリフ「英雄っていうのはさ、英雄になろうとした瞬間に失格なのよ。」
これに東條が酷く動揺した理由は、東條自身が「自分の英雄感のずれ」を自覚していたからだ

っていう考察がとてもグッと来たからだ。

あんな歪んだ価値観を持ってて、それの為に仲間を殺した後本気で涙を流すような奴が、自分の間違いをどこかで自覚しているんだって思うと切なくて・・・。なんだか同情できるのよな。


こういった見どころある奴らがどういった活躍をして、最終的にどうなるのかっていうのを眺めるだけで楽しいのが自分にとっての「龍騎」って作品かな。



何と言うか、ページ一番上の大久保編集長の独白は「龍騎」を表すにはもってこいの言葉だよな。


人と人との願いのぶつかり合い。真司、蓮、北岡、浅倉、果ては優衣や神崎士郎も含めて。
誰が正しいかなんて誰にも決められるわけがなかったんだ。

全て神崎が仕組んだゲーム、つまるところ出来レースだった、という真実があったとしても。
その神崎ですら数奇な運命に弄ばれた結果行ってしまったのだから。

普段の素行が悪人なライダーも少なからず居たが、このライダーバトルという土台の上ではそういった倫理観も意味をなさないんだと思う。
善と悪との戦いではなく、願望や欲望のぶつかり合い。

そういった意味では、他に類を見ない構図から描かれた特撮作品として、非常に上手い作りだなぁと思った。

戦っても生き残れないのは流石にどうかと思うけどな!!!



あ、そういえば平成一期ライダーで未視聴の作品があと響鬼だけになりました。
多分配信されるのは一年後だろうけど。そのときはいろいろと忙しくなってそうだな・・・見る時間が取れるといいが。