「私、気が付いてた。
ガイさんが、星から来た人だ、って。
でも、怖くて言い出せなかった。
それを言ったら、ガイさんが・・・居なくなっちゃいそうで。」
「行ってしまうの?」
ガイさんが、星から来た人だ、って。
でも、怖くて言い出せなかった。
それを言ったら、ガイさんが・・・居なくなっちゃいそうで。」
「行ってしまうの?」
「・・・ああ。海の向こうでも、大変なことが起きている。
俺の旅はまだ終わらない。」
俺の旅はまだ終わらない。」
「私も連れてって!」
「え?
・・・フッ。
馬鹿言うなよ、俺は銀河の流れ星だぜ。」
「ふふっ、冗談に決まってるでしょ。
・・・じゃあ、達者でな。」
「待って!
最後に、あの曲を聴かせて!」
ウルトラマンオーブ、感想。
最近のウルトラじゃかなり大当たりに感じたこのオーブ。これは感想書かずにはいられない。
・・・てっきり先週のラストでナオミが斬られたことによってガイさんの怒りのトリガーとなって闇落ちしたガイさんが暴れまわるのを他のSSSPのメンバーや一徹さんが宥めたり、もしくは失意の底に叩き落されたガイさんに勇気を与えたりする、そんな展開を自分は予想していたがそもそもナオミ斬られてなかった!オイ!
いや特撮あるあるだから言っても仕方ないけど!!
とまぁそういうのは置いといて、いやぁ実に王道な最終回だった。
何と言っても、ジャグラーとの共闘が良かったよね。
ナオミを人質にとり、ガイへの嫉妬や憎悪、そして親愛さえも含めて「暗黒こそが永遠」と語るヤンホモジャグラーさん。「愛こそが永遠」とこの状況でクサいことを語るガイ。
人質にされ追い詰められても「心までは斬れない」と言うナオミ。
しかしここで墜落したゼットビートルからナオミを守るジャグラーさん。
なんと、ナオミの祖先ナターシャを守ったのもジャグラーだったのだ。
いや俺もなんであんな爆風に巻き込まれてナターシャ生きてたんだよってずっと思ってたけど、まさかジャグラーが守っていたとは。
どのようにして心が闇に覆われたのか、そもそもその正体すら分からなかったジャグラーだったが、彼の心にはやっぱり光が残っていた。
そんなジャグラーを殴り、そして抱擁するガイ。
今までのジャグラーの非道な行いに対してはきちんと怒り、そして僅かに灯っていた光に対して感謝の意をもって「ありがとう」と囁いたんだよなぁ。この二人も最初は仲良かったんだろうなぁってのが伝わってきて心が温かくなる・・・。
そっからの変身・共闘といい、身を挺してオーブに必殺を叩き込ませるチャンスを作るジャグラーといい、諸先輩方と共に放つ超豪華必殺技といい。王道ながら非常に熱い展開で楽しませてもらった。
ジェッタとシンも大手柄だったな。前回オーブとオロチの戦いに巻き込まれて車に閉じ込められてたけど、天使一徹さんの救出もあり、預言書に書かれていたヒントを頼りにオロチの弱点を見つけるという。
人類の不手際(とジャグラーのちょっかい)で復活させてしまったマガタノオロチだったけど、それを倒す決定的なチャンスを作るのも人類。
やはりウルトラだ。
今回ラスボスが前作「X」に比べると絶望感も少なく、案外あっさり倒してしまったけど、かなり迫力ある造形だったので印象には残るよね。
この辺はゾグ第二形態とかと似てるかな。
そしてページ一番上のセリフ。
風のように表れ、風のように去っていく。そんな彼の生き様が垣間見える瞬間。
ウルトラセブンの最終回を彷彿とさせるワンシーンがなんとも感慨深い。
さすらいの太陽・ガイ。結局、最初から最後まで自分の正体を誰にも明かさなかったのだが、ナオミと予知夢の少女ハルカだけは気付いていた、という。ジェッタとシンはなんで気付かないんだよとか言っちゃいけない。
ウルトラでもかなり異色だよねこのあたり。
そして「ウルトラマンオーブ」というタイトルを代表する「あの曲」。これに始まりこれに終わるという、とても美しい締めだった。
これからガイとジャグラーはどこへ向かうのか。その行方こそ、眩しく照らす夕日と、風のみが知るのかもしれない。
作品全体の評価としては。
これぞ、「ウルトラ」だ。
その一言に尽きる。
自分にとってウルトラシリーズとは、「空想特撮」。いつでもそうだった。
我々の住む世界には決して起こりうることのない「怪奇」。未知なる世界、未知なる住人、未知なる力。
そしてそのようなモノ自身と、それに触れ合ったものがどのような感情を抱き、どのような結末を描くのか。
そして我々にどんなメッセージを伝えるのか。
それが詰まった映像が「ウルトラ」。
もう一度書くが、これは自分にとってのウルトラ観だ。
そう、その「ウルトラ」が、オーブには詰まりに詰まっている。
シリーズ50周年記念作品としてでっかくニュースやら新聞やらTwitterやらに纏められていたこのオーブだったが、正直最初は、いささか不安に思っていた。
自分はこの50周年作品には「完全オリジナルなもの」を作って欲しかったと思っていたからだ。
(決してウルトラだけに言えることではないが)ウルトラは過去作に頼る傾向が強く、ウルトラ戦士や怪獣などの客演だけならそれこそ昭和の頃からあったものだ。それに関しては歓迎している。
その傾向は最近になるにつれ強くなっている気がする。
そも、過去作と世界がつながっているものが多いシリーズなので、過去のヒーローや敵が登場しても何の疑問も無いのだが、「新しいもの」が生まれにくいのが非常に惜しいのだ。
ティガやガイアなど、全く過去作とは別の世界として作られた傑作も存在する。映画では共演したりしてるけど。
なのでそろそろ、新しいウルトラが来ないかなーと思ってTwitterの情報を眺めていたが、オーブは過去のヒーロー同士の力を融合させた力で戦う戦士と書いてあった。それはそれで斬新でワクワクする設定なのだが、これまた当てが外れたな、と。
しかし蓋を開いてみればどうだろうか。登場するのはあくまで先輩ヒーローたちの「力」の存在のみで、またXのようにヒーローそのものが客演したりすることはなく、あくまでウルトラシリーズのマルチバース設定を引き継いでいるだけ。
また、あくまで物語のメインで活動するのは防衛チームではなく、怪奇について追跡調査する、武器を持たない小さいチーム「SSP」。
チャレンジ精神溢れた「新しいもの」。そして変わる視点。これまでとは一風変わった作品として見ることができた。
そしてそれだけではない。上記した自分の「ウルトラ観」と非常にマッチした、中身の詰まった脚本だったのだ・・・・・。
ガイの過去やナオミに関する本筋のストーリーも、あまり本筋とは絡まないストーリーも含めて。
7~9話、14~17話、22話は特にそれが顕著に表れていると感じた。一話一話の内容への感想についてはTwitterでさんざん語ったのでもはやここに多く書くこともないが、起承転結の纏まりの美しさや登場人物の感情の錯綜、サブストーリーの本筋への絡ませ方、視聴者へのメッセージ性や漂う独特の雰囲気、特撮としての魅せ方等、自分の求めていたものがその中にはあったのだ。
特にギャラクトロン回の挑戦的な内容からのオーブオリジン覚醒への流れは素晴らしかったよね・・・。
特撮としての魅せ方、と書いたが、前作や前々作にも増してウルトラの象徴である巨大特撮が迫力あるものへと進化しているのに加えて、等身大での特撮シーンへの拘りに関しても自分は非常に評価したい。
主にジャグラーさん関連。ガイとの一騎打ちシーンや刀を引きずりながら歩くシーン、衝撃波でビルを穿つシーン等。
また、ギャラクトロンの地球の大規模破壊等、大きくインパクトを残したい場面はもちろんのこと、最終話のガイとジャグラーが向かい合っているシーンの奥で暴れるマガタノオロチなど、細かい所もしっかり作られていて、技術のレベルの高さが伺える。
いやーギンガSの感想の時も書いたけど、本当にすごいよね。こんなのが毎週テレビで見れちゃうとかね・・・
俳優の演技に関しては最初はやや不安があったが、回を重ねるにつれてだんだんと安定感が増していった。
ジャグラーさんの狂的な演技に関しては好評だが、自分はちょいと苦手かな()
ここまでべた褒めしまくったから、次は不満点でも挙げてみようと思ったが特に思いつかない。思いつかないなら書く必要も無しでしょう。強いて言うならハイパーゼットンデスサイス弱すぎィ!って程度かな。
結局最後まで明かされなかったガイとジャグラーの正体や過去はTHE ORIGIN SAGAとやらで明らかになるらしいな。これは見るしかないぞ!
半年という短い間だったが、本当に楽しめる作品をありがとう円谷。次のゼロザクロニクルはまた列伝みたいなのをやるのかね。
でもゼロ好きな自分としてはわりと期待してます。