元TBSプロデューサー、栫井巍(かこい・たかし)さんがお亡くなりになった。享年96歳。謹んでお悔やみ申し上げます。

TBSで企画が進んでいたSF怪奇路線のドラマ「アンバランス」を「せっかく円谷英二をテレビに招くんだから、怪獣モノがいい」と明確に怪獣路線へと舵を切り、東京オリンピックで流行語だった”ウルトラC”にあやかって「ウルトラQ」と改題するなどを主導したのが栫井巍だった。このプロデューサーとしての英断は間違っていなかったのだろう。続く「ウルトラマン」も併せて怪獣ブームを巻き起こし、そして現在まで連綿と続くウルトラシリーズの礎を築いた「ウルトラシリーズ生みの親」のひとりである。

 

ウルトラの歴史を紐解く時に語られるのはどうしても飯島敏宏、実相寺昭雄たち監督や、金城哲夫たち脚本家たちに偏りがちである。栫井巍のような製作陣、特にテレビ局側のプロデューサーは語られる機会が少ない。だが、実際には彼らが作品作り果たした役割りは小さくなかったはずであり、これから他のスタッフも含めどんどん語られるべきであり、研究が進む事を期待し、2024年9月現在「栫井巍」というWikipediaは存在しないが、これが書かれる日が来るのを待ちたい。

「ウルトラQ」の「SOS富士山」のロケ地での飯島敏宏監督(左)と栫井巍(右)。いい写真なので載せておきます。

 

※写真は2枚とも「ウルトラマン大鑑」(昭和62年・朝日ソノラマ刊)より