2022年から2期4クールにわたって放送された令和版「うる星やつら」が最終回を迎えた。まずはスタッフ、キャストの皆さんにお疲れ様、ありがとうと言わせてもらいます。

私は「うる星やつら」はアニメ版も好きだが、基本「原作好き」である。「うる星やつら」の魅力はそのハチャメチャ感溢れるスラップスティック・コメディっぷりであり、どこか冷めた(良い意味で)クールさも好きだ。原作では隠し味であったラブコメ要素がアニメ版「ときめきの聖夜」などが大人気になったため、前面に押し出されるようになり、終盤は原作にもフィードバックされたような印象がある。それに伴ってラムちゃんの性格も原作初期は「土曜の夜は子供を作るっちゃ~」なんて言う奔放キャラだったのに終盤はややおとなしめな性格に変わっている。

 

基本的に一話完結のギャグ作品であるので、あまり構えた「最終回」を作らないで「平常運転」のまま終わってもいいのにな、と私は思っていたので、原作の最終エピソードである「ボーイ ミーツ ガール」や映画の「完結編」はそれなりに楽しく見たが、あまり印象には残らなかったのが正直なところだ。それよりもラストに向けてしのぶには因幡くん、竜之介には渚、と「相手」をあてがってキャラクターを「落ち着け」にかかったのを感じたので、それがなんか寂しかった。

 

さて、今回令和版最終回「ボーイ ミーツ ガール」で久しぶりにこのエピソードに再会したわけだが、当時とは印象が異なり、「ああ、これは「うる星やつら」の集大成のようなエピソードなのだな」と強く感じたのだ。

まず、あたるがラムの結婚を阻止するために乗り込んでいく基本ストーリーが初期の名作「見合いコワシ」(アニメ版「スペースお見合い大作戦」)に似ている事に改めて気づいたのだ。これってある意味高橋留美子によるセルフリメイクと言えるのではないだろうか。

カルラを奪還するために恋人のルパがやってくる構図が

「見合いコワシ」でユニを奪還するためにやってくるディアナ、という構図に大変似ている。また、あたるのみならず、ラン、お雪、弁天たちまでがラムとカルラの結婚式に乗り込む件は映画「オンリー・ユー」をも思い起こされる。

「オンリー・ユー」は星の女王ではあるが、女王であるが故の虚しさも抱えており、幼少の頃唯一「自分の意思で」(と思っていた)自分を選んでくれたあたるを愛しつづけていた悲しい女性である。「ボーイ ミーツ ガール」でカルラが自分があずかり知らぬところでとはいえ、曽爺さんがラムと結婚の約束を取り付けていたところは、この設定の裏返しとは言えまいか。

第1話から続く「鬼ごっこ」、そして一生続く「痴話ゲンカ」。「好き」と言って欲しいラムと「今更言わなくてもわかっているだろう」と頑なに言いたくないあたる。この「一生続く馬鹿騒ぎ」こそが「うる星やつら」の魅力なのだろう。

永遠に繰り返される馬鹿騒ぎ、と言えば映画「ビューティフル・ドリーマー」である。この映画のラストでもラムの事を好きと認めないあたるが、またラムと痴話ゲンカを始め、無邪鬼が「一生やっとれ」と言うわけだが、このラストと「ボーイ ミーツ ガール」のラストは同じテイストをまとっている。原作者の高橋留美子は「ビューティフル・ドリーマー」はお気に召さないと言う話だが、こんなところに共通点が見えるのも面白い。

 

私も歳を取ったのか、ラストのあたるとラムがハグして壮大な鬼ごっこが終わりを告げるクライマックスは涙を止める事が出来なかった。昔は泣かなかったのになあ。じじいになったのだろうか(笑)

ラムとあたるのシーン以上に泣かされるのはあたるにテンが別れを告げにくるシーンだ。劇中では犬猿の仲であるあたるとテンだが、ケンカするほど仲が良いとはまさにこの事。「魔法使いサリー」の最終回、カブとの別れに涙する三つ子のシーンに並ぶ名シーンだ。

「夜を二人で!!」で素直にあたると風呂に入ろうとしてるテンちゃんがかわいい!結局あたるが好きな(?)テン

 

なんだかんだ言ってやっぱり私は「うる星やつら」が好きなんだなあ!

 

久しぶりに「完結編」も見返したくなりました!