声優の増山江威子さん(1936~2024)がお亡くなりになった。心よりご冥福をお祈りいたします。

増山江威子の代名詞とも言うべき

「キューティーハニー」(1973)の如月サニーや

「ルパン三世」第二シリーズ(1977)から2010年まで長きにわたって担当した峰不二子のセクシーボイスがいつでも脳内再生される唯一無二の声である。

「一休さん」(1975~)の母上さまや

「天才バカボン」(1971)のママ役など、優しい母親役も十八番だった。「天才バカボン」はその後リメイクアニメが作られる度に主要キャストが交代する中、増山のママ役だけは第4作まで不動であった。これは原作者の赤塚不二夫が「ママ役の増山さんは代えないで」と強く希望したためだという。

「巨人の星」(1968~)の”オーロラ三人娘”の橘ルミ役も、その歌唱曲「クールな恋」とともに印象深い。一時期飛雄馬とつきあうが、不治の病を患う悲劇のヒロイン・日高美奈の前にはヒールとして霞みがち。だが、最後まで高慢ちきだった原作と違い、アニメ版では足の負傷をおしてステージに立ち続ける女性へとキャラクターが変更されており、それが増山の声ともよくマッチしていた。

「ルパン三世」第二シリーズのレギュラーキャスト、ルパン・山田康夫、次元・小林清志、五右衛門・井上真樹夫、不二子・増山江威子、銭形・納谷悟朗はメンバー全員天に召されてしまったが、日本テレビでいまだに鬼リピされている劇場用作品「ルパンVS複製人間」(1978)と「カリオストロの城」(1979)がこのメンバーだけにこれからもきっとずっと世間的に最も認知度が高い”ルパンファミリー”であり続けるのではないだろうか。

個人的に非常に印象深いのが「ママとあそぼう!ピンポンパン」(1966~・一時期「みんなであそぼう!ピンポンパン」とタイトル変更されていた)の番組内人形劇で増山が演じていた「赤鬼ボンボ」である。他のメンバーも熊倉一雄(オラウータンのウータン)、向井真理子(けむしのモンロー)、富山敬(ペリカンのギョロ)と今思うと超豪華である。わが家にはこのレコードがあったのでそれこそ擦り切れるほど聞いたものだ。「いつか頭のツノが取れて人間になる日が来る」と信じている赤鬼ボンボという、ちょっと切ないストーリーが子供心に沁みた。このレコードに収録されていた挿入歌「なきたいときは」(作詞・吉永淳一、作曲・玉野良雄)が特に大好きだった。この歌は一番を増山江威子、二番を富山敬が歌唱している。この歌、是非ここに貼りたかったが、残念ながらYouTubeにはなかった。(てか、初代・直子お姉さんの時代のピンポンパンの歌は全然復刻されていない)

せめてここに歌詞を記します。

 

なきたいときは こらえてみよう けれど こぼれるなみだには しんじゅのような あじがする なくのはよそう なくのはよそう いくら ひとりで さみしくとも なくのはよそう こらえてみよう

 

増山江威子さんありがとうございました。安らかにお休み下さい。