俳優の中尾彬さん(1942~2024)がお亡くなりになった。心よりご冥福をお祈りいたします。

近年はバラエティ番組でも活躍されていたが、様々な役柄をアクの強い演技で演じ分け、印象の強い俳優だった。

大河ドラマ「炎立つ」(1993)の後白河法皇役など、押しの強い役がハマっていた。伊丹十三の映画など、現代劇でももちろん活躍された。

ゴジラシリーズの常連でもあり、「ゴジラVSメカゴジラ」、「ゴジラVSスペースゴジラ」、「ゴジラVSデストロイア」(1993~95)の3作で麻生司令官役

「ゴジラ×メカゴジラ」、「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」(2002~03)の2作で五十嵐総理役で出演している。「ゴジラファイナルウォーズ」(2004)にも別役で出演、計6本の出演を誇る。

あまり有名なドラマではないと思うが、「いのちの絶唱」(1978)の中尾彬も印象深い。高校教師役の大原麗子と生徒役の国広富之の禁断の愛を描いたドラマで、中尾彬は大原麗子に思いを寄せながらも、ふたりの愛の行方を見守る同僚の教師役で出演していた。残念ながら今回画像を発見出来なかったので、大原麗子、国広富之のツーショット写真でご勘弁いただきたい。当時わが家は新し物好き・機械モノ好きの父が世間よりかなり早くビデオデッキを買っていたので、私と兄は喜んでこの「いのちの絶唱」の再放送を録画して見たものです(本放送の時は見ていたがビデオデッキはなかった)。ところが父には「こんなくだらないメロドラマの再放送を録画して見るためにビデオを買ったんじゃない!」と怒られてしまいました(笑)まあ、今思うと録画テープが残っていたらもう一度見たかったドラマでしたな。当時ビデオテープはメチャクチャ高価だったので、無理でしたけど。

 

そしてやっぱり私は中尾彬、と言えば「本陣殺人事件」(1975)の金田一耕助役の印象が強い。「犬神家の一族」(1976)以降の石坂浩二の金田一耕助が大人気になってしまったので、陰に隠れてしまった感もあるが、静かな演技で金田一耕助役を好演している。Gパン姿の金田一耕助は賛否あったが、そんな事は全く気にならないくらい素晴らしい映画である。

私の住む地方都市は「犬神家の一族」が「本陣殺人事件」との2本立てだった。この映画を同時に映画館で見られた私はなんて幸せものなんでしょう!横溝正史の金田一耕助映画は石坂浩二版5作と、この「本陣殺人事件」を私はこよなく愛しており、この6本のみDVDを所蔵している。

 

中尾彬さん、たくさんの作品で楽しませていただきました。ありがとうございました。安らかにお休み下さい。