脚本家の小山内美江子さん(1930~2024)がお亡くなりになった。心よりご冥福をお祈りいたします。

小山内美江子の作品では「マー姉ちゃん」(1979)など好きな作品が多いが、私くらいの年代ではやはり「3年B組金八先生」シリーズ(1979~)に思い入れが強い方も多いのではないか。「15歳の母」や「腐ったミカン」などはドラマ史に残る名作と言えるだろう。

 

小山内美江子は特撮作品、というか円谷プロ作品において数は多くないものの何本か脚本を執筆しているが、そのどれもが印象深い名作揃いなのである。「ウルトラ馬鹿一代」という拙ブログのジャンル的にもこれらの作品を振り返る事で追悼としたい。

 

「ウルトラQ」の異色作にして名作のひとつ第28話「あけてくれ!」(1967)。怪獣路線に舵を切る前の純然たるSF色の強い「ミステリーゾーン」風のエピソード。本放送では放送されず、再放送の際に抱き合わせで初放送された事によって、よけい伝説のエピソードになったともいえる。

「帰ってきたウルトラマン」第48話「地球頂きます!」(1972)。人々を無気力にする物質を撒き散らす怪獣ヤメタランスのせいで、誰もが、てかマット隊員もウルトラマンまでもが「やーめた!」と放り出してしまうのだ。リアルタイムで見た「帰ってきたウルトラマン」の中で最も印象に残ったエピソードの一つであり、放送翌日には遊んでいる最中に「やーめた!」と放り出す遊び?が流行りました(笑)

このヤメタランスを操る宇宙人がササヒラー。脚本では名前が決まっていなかったそうだが、プロデューサーが小山内の本名である「笹平」から命名したらしい。そのせいで小山内の姪っ子が学校で怪獣呼ばわりされていじめられたそうである。かわいそう・・。

円谷プロの怪奇ドラマ「恐怖劇場アンバランス」(1973)でも小山内は2本の脚本を担当している。まず第2話「死を予告する女」。正直言って雰囲気重視で細かいツッコミどころが多いエピソードだが、非常に「アンバランス」らしい作品で、夜中にひとりで見るのに最適な作品である。

第6話「地方紙を買う女」は怪奇色はほぼないものの、サスペンスとして一級の出来栄え。松本清張の原作の面白さももちろんあるが非常に見応えのある作品。ヒロインを演じた夏圭子の陰のある美しさも絶品である。何度も映像化されている作品だが、私は2016年のヒロスエがヒロインを演じたドラマとこの「アンバランス」版しか見た事がないが、断然こちらをオススメします!

 

小山内美江子さん、素晴らしい作品の数々をありがとうございました。どうぞ安らかにお休み下さい。

機会を見て「金八先生」についてもブログを書きたいと思います。