「ゴジラー1.0」が大ヒット公開中である。前作「シン・ゴジラ」(2016)に続き、マニア以外の一般層にも幅広く見られているようである。それまでゴジラとか特撮映画に全く興味がなかったが、この2本を見たおかげで、ゴジラに興味を持った人も少なくない。そんな彼らは私たちにこう聞くのだ。

 

「過去のゴジラシリーズでオススメの作品はなんですか?まず何を見たらいいでしょう?」と。

 

残念ながら私はこう答えるしかないと考えていました。

「いや、何も見なくていいと思います」、と(泣)

 

だって、そうじゃありませんか?私や皆さんが大好きなゴジラ映画、この近作2本しか知らない人が見て面白いと思うのか甚だ疑問なのです。唯一オススメ出来そうなのが、ゴジラシリーズの原点にして最高傑作である「ゴジラ」(1954)だと思うのだが

さすがに70年前の映画であり、いろいろな面で古臭さは否めず、白黒映画である事も現代の若者にはとっつきが悪いかもしれない。(もちろん見てもらいたい映画ではあるのだが)

だが、先日「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」を見ていたら、16歳の女性の「ゴジラ博士ちゃん」が登場。10歳の時に「シン・ゴジラ」を見てゴジラファンになり、そこから過去の昭和ゴジラにまで遡り、全作で100回は見たというのだ。これは驚きであり、「ゴジラ」(1954)にもかなり思い入れがあるようだった。

ああ、こういうファンもいるんだな、と考えを改めるきっかけになったのだ。最初から諦めずにどんどんオススメしていこう、と。

 

「シン・ゴジラ」や「-1・0」が面白かった人はまずはリアル指向の作品やシリアスなストーリーが合うと思うので、やはりまずは「ゴジラ」(1954)や

「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(2001)

「ゴジラ対ヘドラ」(1971)

あたりがオススメだろうか。

GMKは「-1・0」にも影響を与えたと思われる傑作だが、ストーリー的にやや弱く、特に終盤は主人公があまり活躍しない印象。「ヘドラ」も公害問題を扱ったり、前衛的な演出をしたりと意欲的だが、こちらも人間ドラマがやや弱く、登場人物が誰一人として印象に残らないのが残念。

 

「ゴジラ」(1984)で終わってしまいそうだったゴジラシリーズに新風を吹き込み、平成シリーズ継続の立役者になった

「ゴジラVSビオランテ」(1989)も必見。ゴジラの着ぐるみのカッコ良さや、斬新な特撮は魅力的。

 

昭和シリーズ、平成シリーズ、ミレニアムシリーズに三度(みたび)登場した人気怪獣・メカゴジラ。理屈抜きでカッコイイその雄姿を見るだけで楽しめるメカゴジラ登場作品もオススメ。

「ゴジラ対メカゴジラ」(1974)

「ゴジラVSメカゴジラ」(1993)

「ゴジラ×メカゴジラ」(2002)

それぞれフォルムもメカとしての立ち位置も違うメカゴジラを比べるのも楽しい。少なくとも「ゴジラVSコング」(2021)に出てくるアレに比べたら段違いにカッコイイ!

 

エンターテインメント系映画のゴジラだったら、昭和の円熟期に作られた4作品をやはりオススメしたい。

「キングコング対ゴジラ」(1962)

「モスラ対ゴジラ」(1964)

「三大怪獣地球最大の決戦」(1964)

「怪獣大戦争」(1965)

 

この辺りの映画は今の若者たちにも食わず嫌いしないでとにかく見てみてよ!といいたいところだが、ゴジラ云々以前に昭和30~40年代の邦画の雰囲気が好きな人にオススメだよなあ。

 

そして最後に番外ではあるのだが、私が愛してやまない大好きな映画もやっぱりオススメしたい。

「ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃」(1969)

 

オール怪獣というほど怪獣は出てこないし、ガバラはカッコ悪いし、殆どの特撮シーンはバンクだし、怪獣映画としてはホントにサイテーの映画。でも、そんな低予算を逆手に取って上質のファンタジー映画に仕立てた本多猪四郎監督の手腕は特筆すべきものである。是非多くの人に見て欲しい映画だが、「-1・0」見たあと初めにこれ見たらたまげるだろうなあ(汗)