俳優の寺田農(てらだ・みのり)さん(1942~2024)がお亡くなりになった。心よりご冥福をお祈りいたします。

つい最近まで放送されていたウルトラ最新作「ウルトラマンブレーザー」(2023~24)において前長官であるドバシ・ユウ役でお元気な姿を拝見していたので、まさか、という思いであった。実相寺昭雄監督についてのドキュメンタリー「実相寺昭雄の世界~ウルトラマン創作秘話」(2022)でもナレーターも務め、インタビュー出演もしていたのだが。

今回の訃報に際して「天空の城ラピュタ」(1986)のムスカ役をあげているメディアも多かった。寺田農はチョイ悪的な渋いわき役が多いイメージだが、逆に言えば主役級は少ないため「○○の作品の○○の役」、という印象は薄いのかもしれず、天下の宮崎駿の初期代表作であり、公開から30年以上経っても繰り返しテレビ放送されている「ラピュタ」が挙げられるのも頷ける。ただ、声優としての仕事は決して多くはない寺田が代表作として「ラピュタ」を挙げられるのは本人も天国で苦笑いしているかもしれない。

私のような昭和育ちには「セーラー服と機関銃」(1981)のふとっちょの部下・萩原の印象も強い。今改めてこうやって見ると薬師丸ひろ子も寺田農も若いなあ。この映画のあと相米慎二監督の映画に多く出演するようになる。

「ウルトラマンジード」(2017)の朝倉錘役や

「ウルトラマンマックス」第24話「狙われない街」(2005)のメトロン星人(人間態)役などウルトラシリーズでもお馴染みの寺田農だが、そもそもこのエピソードの監督である実相寺昭雄監督の作品の常連であり、ウルトラ関係の実相寺作品だけでも「ウルトラマンダイナ」(1998)、「ウルトラマンティガ」(1997)「ウルトラQ dark fantasy」(2004)映画「ウルトラQ 星の伝説」(1990)に出演している。

そのスタートは「ウルトラマン」第14話「真珠貝防衛指令」(1966)のトラック運転手役というホントのチョイ役であった。ファンの間では有名なエピソードではあるが、よく見ていないと気づかないくらいの短い出演である。

 

今頃は天上で盟友・実相寺昭雄監督と再会しているだろうか。たくさんの作品で、特に実相寺昭雄監督作品やウルトラシリーズの常連として我々を楽しませていただきました。ありがとうございました。安らかにお休み下さい。