「ゴジラー1.0」がアカデミー賞の視覚効果賞を受賞した。この快挙に日本は朝から沸いた。

「ゴジラー1.0」は日本アカデミー賞でも最優秀作品賞をはじめ8冠を達成しており、国内外の賞を総ナメした格好である。

また、ゴジラシリーズとしては前作である「シン・ゴジラ」も日本アカデミー賞の最優秀作品賞を受賞しており、2作連続の受賞となっている。

 

私のような古くからの怪獣映画ファンからすると、隔世の感があり、感無量である。1954年の「ゴジラ」は今でこそ名作の誉れ高いが、公開当時はゲテモノ映画扱いされて、評価も一部を除いて低かったようだ。その後も「怪獣映画」は基本的に「映画」としての評価をしてもらう土俵にすら上がらせてもらってなかったように思う。

 

そこに風穴を開けたのは間違いなく「ガメラ 大怪獣空中決戦」(1995)だったと私は思っている。数々の映画祭などで高評価を受け、作品賞などを受賞していたが、中でも驚きだったのは、日本アカデミー賞において中山忍が優秀助演女優賞を受賞した事だった。いまだかつて「怪獣映画」での演技が評価の対象になった事があったのだろうか。確証はないが、初めてではなかったか。私は驚きと共に大変嬉しかった。

 

ゲテモノ映画扱いだった不遇の時代を経て、日本アカデミー賞で2作連続で最優秀作品賞を受賞して「映画」として評価され、今回は本家アメリカのアカデミー賞で受賞し、「日本映画」がハリウッド映画と同じ土俵で勝負できる事を示した意義は大きい。

 

私は賞などを受賞する事によって作品の評価が上がるような風潮を良しとしないし、そういう権威第一主義は嫌いですらある。だが、今回の受賞は、「怪獣映画」がやっと正当に「映画」として評価される時代がやってきたという意味において大変喜ばしい。1作目の「ゴジラ」から70年目の吉報である。

 

日本の怪獣映画のパイオニアと言える円谷英二特技監督と本多猪四郎監督は今頃天上で喜んでいらっしゃる事だろう。

円谷監督は技術的に当時から評価されていたが、本編監督としての演出力が生前には完全には評価されていなかった本多監督は今生きていらっしゃったら喜んだだろうと思います。「やっとこういう時代が来たか」と。ファンとしても感慨深い受賞のニュースであった。山崎貴監督をはじめとした白組のVFXは素晴らしかったが、それは円谷・本多両監督をはじめ、70年間に「怪獣映画」を作ってきたたくさんのスタッフの努力の延長線上に今回の受賞があるように私は感じます。