日本のマンガ・アニメ文化を支え、世界中で愛されたクリエイター、声優さんが相次いでお亡くなりになった。この喪失感をなんと表現すればいいのか、私にはわからない。

漫画家の鳥山明さん。(1955~2024)

「ドラゴンボール」(1984~・原作)の作者として説明不要な方だが、私は年代的に「Dr.スランプ」(1980~)の印象がまず強い。マンガの内容以前にその絵の巧さ、オシャレでセンス溢れる描線は驚きだった。「Dr.スランプ」のアラレちゃんはメガネをかけたヒロイン?として、「眼鏡っ子」キャラの元祖のひとりなのではないだろうか。私が子供の頃はメガネをかけていた子はとても少なく、男女ともに「ダサイ」「ブス」の代名詞的に言われており、いじめやからかいの対象だった。そんな時にアラレちゃんは、同時期に江口寿史が描いたかわいい眼鏡キャラクターとともに、世の中の眼鏡をかけた女子に勇気と希望を与え、一気にメガネは「ダサイもの」から「ファッションアイテム」へと進化を遂げた。私の当時の友人だったふたりの女子、T子ちゃんとA子ちゃんは「アラレちゃんメガネ」をかけてから一気に垢抜けていった覚えがあります。鳥山明はファッションリーダーでもあったのではないだろうか。

声優のTARAKOさん。(1960~2024)

34年間にわたり「ちびまる子ちゃん」(1990~・アニメ版)の主人公まる子をを演じた事はこちらも今更説明不要だろう。あの唯一無二の声質、雰囲気でまる子そのものだったTARAKO。私は1982年にTARAKOがアニメの初レギュラーを務めた「戦闘メカ・ザブングル」のチル役がまず印象深い。

今回の訃報の後、「戦闘メカ・ザブングル」のワードがトレンド入りしたらしいので、チルを思い出した人も多いのですね。まる子と並んで、チルも間違いなくTARAKOの代表作のひとつでしょう。

また私事ですが、オリジナル特撮ビデオ「プリティエグゼクター」(1987)に私はスタッフとして参加していたのですが、俳優として出演していたTARAKOさんは少ないスタッフを気遣い、お昼のお弁当を運んだり配ったりするのを手伝って下さった思い出があります。とても優しいお人柄でした。改めてお礼を申し上げます。

鳥山明さんは「戦闘メカ・ザブングル」の大ファンだったそうで、「Dr.スランプ」の中で「ザブングル」の絵を描いたりしていたようです。その「ザブングル」でチルを演じていたTARAKOさんと訃報が続いた事で覚えていたファンがXなどに画像をアップしたので、私は初めて拝見しました。今頃天上でおふたりはそんなエピソードで盛り上がっているかもしれませんね。

 

昭和の偉人が亡くなるとああ、昭和が遠くなっていく、と感じますが、「ドラゴンボール」、「ちびまる子ちゃん」と平成の時代に大人気だった作品に関わった方の訃報が続き、ああ、平成も遠くなっていってしまうのか、と悲しくなります。

 

鳥山明さん、TARAKOさん。心よりご冥福をお祈りいたします。ありがとうございました。